お椀をふせたような要害山へ
要害山の山頂で記念撮影
2月15日 木曜日 晴れ
山梨県上野原市にある要害山(標高536m)ハイキングに妻とともに出かけた。今回のハイキングは楕円形に、要害山・風の神・コヤシロ山・実成山・尾続山と標高500m〜600mの山頂をぐるりと回るものだった。上野原駅への途中の八王子駅で突然電車が止まってしまった。車内放送によると、高尾駅と西八王子駅間の踏切で非常ボタンが押されたため、安全確認が取れるまで停車するとのことだった。このことにより高尾駅で2分の乗り継ぎによる大月行き電車には乗れないことになった。ハイキングのタイムスケジュールは崩れた。
バス内の要害山ハイキング案内
停車中の電車内でスマホで下車駅の上野原駅からのバス時刻表を確認すると、本来乗る予定のバスを逃すと次の便は15時までないことがわかった。過疎地のバス便は1日に2便なのだ。そのためバス路線を切り替えて、当初下りる鏡渡橋バス停よりも手前の道路が分岐する場所の新井バス停に変えて、9時13分発というバスに乗った。アクシデントは突然やってくるものだ。
お椀を伏せたような要害山
バスは当初の予定よりも40分ほど遅い出発になった。バスのなかに要害山ハイキング案内が表示されており、それはバス便の多い新井バス停から出発するコースだった。新井バス停からしばらく歩くと、正面にお椀を伏せたような丸い山が見えた。これから登る要害山だろうと想った。山頂に針葉樹が1本立っているのが見えた。昔、子どもたちに人気のあった漫画で『オバケのQ太郎』というのがあった。Q太郎は頭に3本の毛が生えていたが、この山は毛が1本なのかと想った。新井バス停から15分ほど歩いて鏡渡橋登山口に着いた。予定からは約1時間の遅れだった。
山神社でハイキングの安全を祈った
やはり想った通り、お椀を伏せたような丸い山は要害山だった。要害山に向かって歩いていくと、紅梅や白梅が満開で優しい香りに包まれていた。ロウバイの黄色い花も満開で、微かな甘い香りが漂っていた。降りた新井バス停から30分で山神社に着いた。赤い鳥居をくぐって、これからのハイキングの安全を願ってお参りした。風が止まっている神社の境内は静かで、キンカンを2個食べた。
上野原の町並みが遠望できた
針葉樹のなかの山道が広葉樹に変わったところで2度目の休憩をとった。周りの山々に囲まれ、旧甲州街道に沿った上野原の町並みが遠望できた。休憩している場所はクヌギなどの落葉樹の林のなかである。あと20分も登れば要害山の山頂に着くだろう。暑いのでウインドブレイカーも長袖シャツも脱いでTシャツ1枚である。2月中旬のハイキングでTシャツ姿になるとは異常な気候である。それでも汗びっしょりとなっていた。関東地方に春1番が吹き、4月上旬の気温だと気象庁が発表したのを帰宅後に知った。
要害山536mの山頂に着いた
2月5日に降った大雪は、南斜面は溶けているが北斜面には残っていた。今回のハイキングには安全面を考えて、軽アイゼンやチェーンスパイクを持ってきたが、山道は南斜面を登っていくために、雪はなく快調だった。バス停から歩き始めて1時間10分で要害山の山頂に着いた。山頂には火の神様として秋葉大権現が祀られていた。その神木とも想われるのが山頂に立っていた1本のスギの木だった。正面に雪化粧した富士山が見えた。左側の石老山から丹沢の山々、さらに富士山から三つ峠山までがパノラマとなって見渡せた。富士山の山頂部に雲がかかり、周りにも雲が湧いてきていたので富士山の輪郭がはっきりとしなかった。
要害山山頂に立つ1本のスギ
山頂に要害山の歴史というのが表示されていた。それによると、「戦国時代に要害山は甲斐国・相模国・武蔵国境において最大級の山城である大倉砦が築かれていた。山頂には秋葉大権現が奉られ、今も土塁や堀切などの跡を見ることができる」とのことだった。20分ほど休憩してから、風の神、コヤシロ山、実成山、尾続山へと進んでいった。
周りが絶壁の風の神に着いた
尾根を20分ほど歩くと風の神様に着いた。風の神様とは不思議な名前の山頂だった。この辺りの尾根道は両側が切れ落ちて狭く、トラロープが張られた危険な場所で、風の神様の周りは絶壁である。風の流れる吹きさらしの場所だった。小さな壊れかけた社と石に書いたお地蔵様が祀られていた。ここからの富士山も素晴らしい眺めだが、雲の白と富士山の雪が混じり合って富士山の輪郭が見えないのが残念だった。空には雲が広がり、薄曇りになっていた。中央高速道路の談合坂サービスエリアに停まる乗用車と大型バスがはるか下に見えた。
木の間越しに見えた富士山
風の神様からコヤシロ山に向かって歩いている時に、夫婦と思われる年配の方に出会った。道を譲ると男性からは「ありがとうございます」という声がかかり、女性からは「今日、初めて人に出会いました。静かでいいですね」という声が返ってきた。私たちも初めて出会った登山者で、平日のハイキングは静かでのどかだ。
コヤシロ山(標高600m)で食べたおにぎりが美味かった
12時少し前にコヤシロ山(標高600m)に着いた。山頂にはコヤシロ山の展望という表示板があり、それを読むと、「以前この場所は木立に覆われ、周囲の視界は全くなく広場もなかったが、平成24年に市の活性化の一助として有志が集い、八重山トレイルレース大会を開催する運びとなり、この山頂がコースの通過点になった。これを機に実行委員会はランナーやハイカーの皆さんに雄大な富士山を展望していただきたいとの思いから、地権者の理解を得て、有志一同で大掛かりな伐採を行い、現在に至っている」とのことだった。正面の富士山を眺めながらお昼ごはんにした。暖かな陽射しを受けながらコーヒーを淹れて、おにぎりを食べた。気持ちがリフレッシュできた。広場にはツツジの木がたくさん生えていたので、5月になったら赤紫の花に彩られるだろう。
雪化粧の富士山は輪郭がぼやけていた
お腹を満たしたところで尾続集落に向かって歩きだした。途中の実成山(標高609m)で休憩を取った。この実成山が今回のハイキングでは、一番標高が高い場所だった。休んでいるとハンターが発砲する音が連続して何発も聞こえてきた。下手なハンターだ。巧いハンターならば発砲音は単発ですむが、連続しての発砲音は獲物に逃げられた下手の証明である。落ち葉を踏みながら尾続集落に向かって下山していった。今日の天気予報は午前中が晴れで、午後から曇りとなっていたが、暖かな南風が吹いてTシャツ姿でハイキングを楽しむことができた。
休憩を取った実成山(標高609m)の山頂
13時30分に尾続集落まで降りると、目の前を焦げ茶色のガビチョウが横切った。奥多摩の鳩ノ巣駅でもガビチョウに出会ったが、この地域にもガビチョウが棲域を拡げているのだった。朝、バスを降りた新井バス停に向かって車道を歩いた。途中で振り返るとお椀を伏せたような要害山と山頂のスギの木が眺められた。
下山後に入ったラーメンと餃子の『一徹』
新井バス停に着いたのは14時だった。上野原駅行きのバスの時刻表を確認すると、14時台は1本もなく、次は15時19分だった。上野原駅まで歩くと50分である。歩く途中で食事処を見つけて、15時19分の通過バスに乗ることにした。食事のために入ったのは、ラーメンと餃子の『一徹』だった。頼んだのレバニラ炒めと餃子、それに瓶ビールが2本だった。運ばれてきたビールで無事に下山できたことに乾杯した。
下山後のニラレバ炒め、餃子、瓶ビールが美味かった
2本を飲み終わった時にバスの通過時刻まで10分あったので追加のビールを頼んだのは言うまでもないことだった。食事をしながら妻に足腰や膝の具合を尋ねると、疲れも殆ど感じずに問題ないとのことだった。時々渡される2個のキンカンが新鮮で、山頂で食べたおにぎりが美味しく、下山後のビールも美味しかった、との感想だった。
今回のハイキングデータ
今回のハイキングも夏山登山のためのトレーニングである。冬の間は標高500m〜600mほどの低山に登って足を慣らし、徐々に標高を上げていき6月〜7月ころに1500m〜2000mほどの山小屋泊をして、今年の夏に予定している1914mの早池峰山や2038mの岩手山に向かおうと想うのである。