雨の徳沢園

徳沢への道

9月21日(曇りのち雨)

一晩中テントを雨が叩く。

昨日、中央高速道路の談合坂SAも諏訪SAも松本料金所を出るときも曇り空だった。それが沢渡で低公害ハイブリット車に乗り換えるときからポツポツと雨粒が落ちだした。

大型の台風15号が沖縄から北上し日本列島を縦断する進路予報が出されていた。今回の山行はお彼岸の連休を利用して上高地の秘境である霞沢岳へ登る計画であった。考えていたルートは上高地から明神分岐に至り白沢沿いを徳本峠へ登りキャンプ。翌日往復8時間で霞沢岳へ登頂しキャンプ。翌日上高地へ下山して温泉ホテルで入浴後の帰宅を予定していた。この計画も全て天候しだいであることはいうまでもないことだが今回は台風の進行が早すぎた。私は下山する22日に雨に巻き込まれるだろうと予想していたが、雨が1日早くやってきたようだ。

 

昨日、上高地から明神へ歩く50分の間に今回の霞沢岳への登頂は断念し徳沢園か横尾でのキャンプへと切り替えたのであった。1日早くやってきた雨は悪くなることはあっても良くなることは全くないと判断したからである。案の定、徳沢園に到着する頃には雨足もだいぶ早くなり横尾まで行っても仕方がないので徳沢園でテントを張ることにした。

天候さえ良かったならば連休で明るく広い徳沢園キャンプ場は色とりどりのテントで賑わっていたであろうが、私が到着したときは僅か6張りのテントが雨の中にひっそりと佇んでいるだけであった。キャンプ受付で500円を払って手続きを済ませ大きな木の下に平らな場所を見つけてテント設営に取り掛かり5分弱で終了する。ドーム型の1人テントなので2本のポールを組み立てテントに差込み立ち上げ、フライシートを被せるだけで完成である。面倒なので風が全くないこともありテントを固定する金具も打ち込まなかったし固定ロープも張らなかった。そのテントの中に断熱シートを敷き寝袋を広げると設営終了である。

雨に煙る梓川

早速、徳沢園売店に行って500mlの缶ビールを2本買って来て、上高地バスターミナルで買った「若笹寿司」をツマミに飲みだす。14時30分だったので遅い昼飯である。「若笹寿司」と言うのを初めて食べたが旨かった。昨晩は大手町で飲み、今朝は寝過ごし慌てて家を飛び出したので文庫本1冊も持ってきておらず、上高地、明神、徳沢園と売店を覗いてみたが目ぼしい読み物が見当たらず、昨晩の影響で体が疲れていたこともあり、寝袋にもぐりこんだら寝入ってしまい目が覚めたのは23時であった。

その後は2時間おきに目が覚めうつらうつらとした頭でテントを打つ雨音を聞く。サーッという草の上に落ちる雨音と私のテントが大きな木の下に張られているために木の枝や葉っぱから落ちる大きな雨音とが混じりながら朝まで続いたのであった。

 

今朝は5時に撤収を開始する。握り飯を4個食べたあと、雨にびしょ濡れのテントを手早く解体する。私のテントは夏用軽量テントのため防水がしっかりしておらず、雨量が多いとナイロン地に滲みこんでくる。寝袋も濡れてしまった。雨の中での撤収は面倒だったが5時30分には徳沢園を後にし、昨日歩いた道を明神、上高地へと戻っていく。雨降りの朝まだ早い時間帯では行き交う登山者はおらず、明神までやってきてちらほら出会いがはじまる。明日のバス予約席をキャンセルし松本からスーパーあずさで帰る。

                                         2003、9、21、     

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