小笠原母島乳房山登山

 

乳房山山頂での記念撮影

 

小笠原諸島での最高峰は母島にある乳房山です。私は母島に行ったら乳房山に登ろうと思っていました。標高は463mです。母島観光協会のホームページにはアクティブコースとして7時間30分のコースタイが案内されていますが、一般的には4時間〜6時間の健脚コースとなっています。

 

乳房山の登山口は2ヵ所あります。どちらの登山口から登っても山頂を経由するループ状になっています。私は右回りのコースで登っていきました。登り口には外来種を山に持ち込まないように登山靴の靴裏の泥を落とす設備があります。

 

8時に登山口からシュロの仲間のオガサワラビロウが生い茂る道を登っていきました。間もなく旅行会社のスタッフとともに年配の女性が2人下山してきました。後で聞くと体調不良とのことでした。

 

静かな登山道を登っていると小笠原諸島に数十羽しか生息していない絶滅危惧種のアカガシラカラスバトに出会いました。今回の旅で出会いたいと思っていた幻の野鳥に早くも出会えたので本当にビックリしました。実にラッキーでした。

 

登るほどに蒸し暑く周りは霧に包まれ展望は全く望めません。梯子も2か所あり、急登も含めて汗みどろの登り1時間で山頂に到着しました。頂上には晴れていた時の展望写真がありましたが、四方八方が真っ白でした。前日に母島観光協会で登頂記念証をもらうための申請をしたときに渡された「登頂キット」をザックから取りだし、山頂標柱のプレートでクレヨンによる拓本を作りました。これで山頂まで登った証明になります。

 

大剣先山展望台から港と集落を望む

 

下りは登山道が濡れていたためにスリップによる転倒と捻挫に注意しながらゆっくり降りました。標高が下がってくると徐々に展望が開けてきました。大剣先山展望台からは沖港と村が展望できました。

 

父島を含めてですが母島にも太平洋戦争当時の建物、塹壕、高射砲跡などの遺跡がたくさん残っています。米軍が帰途に要らなくなった爆弾を投下した大きな窪地などもそのまま残されています。やがて当時の人たちが亡くなると同時に記憶の彼方に忘れ去られ徐々に朽ち果て自然の一部へと帰っていくのでしょう。

 

自宅に送られてきた「乳房山登頂記念証」

 

小笠原諸島が世界自然遺産に登録されたのは7年前の2011年のことでした。私が初めて小笠原を訪れたのは43年前ですが、その当時から兄島に飛行場の設置要望が出ていましたが、世界遺産登録後も飛行場設置要望の旗は降ろしていないようです。小笠原の良さは東京都でありながら24時間の船便でしかいけない場所であり、自然がいっぱいというところです。観光客増加のための飛行場設置は小笠原を一気に俗化させてしまうでしょう。

 

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