最高だった紅葉と雪化粧の富士

 

雪が降った山の景色

自動的に生成された説明

1丁平展望台から眺めた富士山

 

 11月24日 金曜日 晴れ

フランスのタイヤメーカーのミュシュランが大きなお世話で料理店に星ひとつとか、星みっつとかの評価をし、そういう評価に弱い日本人はわれもわれもと飛びつき、目も当てられない状況になっており、東京近くの観光地として高尾山を取り上げたために、ミーハーの多い日本人はわれもわれもと高尾山まいりに出かけたために、高尾山は大賑わいとなってしまった。50年前の静かな高尾山を知っている者としては大迷惑なことである。

 

木の枝

自動的に生成された説明

紅葉は真っ最中だった

 

そのようなかで高尾山ハイキングに出かけた。今回の計画は高尾山から小仏城山まで奥高尾を歩き、相模湖に下山することだった。目的は3つあった。1つ目は高尾山山頂で雪化粧した富士山を眺めること。2つ目は奥高尾で華やかな紅葉を見ること。3つ目は相模湖に下って相模湖駅前のかどや食堂の2階で開催されている陶芸絵画展を見ることだった。相模湖駅前の陶芸絵画展を見るためだけに出かけるのはもったいないので、ついでに高尾山から小仏城山ハイキングを計画したのが実情である。

 

空港のターミナル

中程度の精度で自動的に生成された説明

早朝の京王線高尾山口駅に着いた

 

自宅を5時前に出ると7時22分に京王線高尾山口駅に着いた。気温は7℃だった。早朝にもかかわらず駅前のあちこちに登山者がたむろしていた。私は高尾山には何回か訪れているが、今回はケーブルカーを使わずに1号路から山頂に向かうことにした。まだ気温が冷えているのでダウンジャケットを着ていた。

 

屋外, 建物, 木, ウォーキング が含まれている画像

自動的に生成された説明

高尾山ケーブルカー清滝駅前

 

天気予報通りに全く雲のない快晴である。トレイルランナーが短パン姿で追い抜いて行った。間もなくケーブルカーの清滝駅に着いた。平日の早朝なので人はまばらだが、これが土休日だとケーブルカーは1時間待ちとなり、紅葉を観るのではなく人を見に来る混雑ぶりだという。カエデの紅葉が素晴らしい。高尾山薬王院の大きな石柱の横から1号路を登り始めた。山頂まで3.8kmという表示がされ、「東海自然歩道起点、関東ふれあいの道」の看板があった。

 

夕日と木々

中程度の精度で自動的に生成された説明

金毘羅宮の展望台から都心方向の眺め

 

平日だが紅葉を求めて来ている人が多いようだ。私の後ろには6人の若者グループが3脚やカメラを担いで登ってきている。何かの撮影のようだ。若者の歩みは早く、私を追い抜いていった。歩き始めて30分も経っていないのに、3人のトレイルランナーと出会った。高尾山は登山道が整備されているので走りやすいのだろう。金比羅宮の分岐にかかると、迷うことなく展望台を経由しての金比羅宮への道を選んだ。

 

森の中にある消火栓

中程度の精度で自動的に生成された説明

金毘羅宮には1升瓶が奉納されていた

 

展望台について東京方面を眺めたが、霞がかかりスカイツリーは確認できなかった。隣に金比羅宮があったのでお参りした。社殿の中央に奉納と書かれた1升瓶が置かれていた。奉納した人の名前が石原明順と書かれていた。それにしてもお地蔵さんの数が尋常な数ではない。

 

リフトの山頂駅は営業準備中だった

 

時刻はまだ7時台であるが下山してくる人とすれ違う。ケーブルカーの始発は8時である。下山してくる人たちはどんなに早く高尾山山頂まで登っているのだろう、不思議でならない。いずれにしてもザックや水は持たず、靴はスニーカーの軽装な人たちばかりであり、明らかに登山者とは違う服装をしている。8時12分にリフト山頂駅に着いたら、まだ営業はしていなかった。係員が落ち葉をブロワーで吹き飛ばして運行準備中だった。

 

屋外, 人, 建物, 男 が含まれている画像

自動的に生成された説明

やってきたぜ、高尾山

 

高尾山と掲示された三角屋根の休憩所があったので、テーブルでおにぎりを食べていた女性にお願いしてスマホのシャッターを押してもらった。私は1号路を登るのは初めてなので新鮮な気持ちだった。子どもたちが喜ぶだろう『さる園』にやってくると、まだ開いていなかった。チケット売り場を確認すると9時30分から16時30分が開園時間だった。

 

屋外, 木材, テーブル, 座る が含まれている画像

自動的に生成された説明

マリオの折り紙が置かれていた

 

しばらく歩いて行くと折り紙で作ったマリオが木の柱の上に置いてあった。なかなかの出来栄えだった。びっくらぽん。こういう遊び心も楽しいものだ。ひとつ触ってみると、折り紙の中に重しがついていて、風に吹き飛ばされないようになっていた。

 

「霊氣満山」の扁額がかかっている浄心門

 

 「霊氣満山」の扁額がかかっている薬王院の浄心門をくぐった。参道には両側に赤い行燈が並ぶようになり、未修学児の家族連れが多く見受けられた。男坂と女坂の分岐があったので、せっかくなので男坂の急階段を登って行った。3段に別れている階段は結構きついものだったが、前を行く子どもの声に励まされて1段1段と登っていった。疲れを知らないように子どもは元気だ。

 

屋外, 建物, ストリート, ウォーキング が含まれている画像

自動的に生成された説明

杉苗奉納者名簿

 

「杉苗のご奉納」という立て札があり、その先に杉板に杉苗の奉納金を納めた人の名前が記載されたものが立てられていた。凄い量である。杉苗奉納は1口3千円から出来るようだが、参道に名前が掲示されるのは1万円以上奉納した人で、名前は1年間掲示され年を越すと新しいものに作り替えられるとのことだ。昔は薬王院信徒の人の願い事が成就した際のお礼詣りに杉苗料を奉納していたが、現在では奉納したお金は山林整備に使われているようだ。

 

花が咲いている木

自動的に生成された説明

山門脇の鮮やかに紅葉したカエデ

 

 鬱蒼とし空気も冷え冷えとした杉木立のなかを歩いていくと薬王院の山門に着いた。山門前の石段で家族連れが写真を撮っていたので、山門をくぐらずに右側から境内に入っていった。山門脇のカエデの紅葉が実に見事で、今までの深緑の世界から一気に艶やかな世界へと変化した。烏天狗が2体置かれていたので紅葉・烏天狗・山門という構図で写真を撮った。「高尾山もみじ祭り」が10月28日から12月3日まで行われており、紅葉は今が真っ盛りという感じだった。

 

建物, 持つ, 座る, 女性 が含まれている画像

自動的に生成された説明 テーブル, 座る, 建物, 持つ が含まれている画像

自動的に生成された説明

仁王門の阿形(右)と吽形(左)

 

仁王門に着くと、朱に塗られた門の両脇に阿形吽形の仁王が大きな眼を見開いて睨みを効かせていた。右側は物の初めを大切にという意味の「あ」で、左側は物事のけじめをしっかりという意味の「うん」である。仁王の後ろ側には2体の天狗が立っており、こちらも参拝者を睨んでいるように感じられた。

 

薬王院本堂

 

薬王院本堂の柱には四文字熟語で「世界平和」「万民豊楽」「身体健全」「寿命長寿」と書かれていた。せっかくなので本堂にお参りした。境内には烏天狗を含めて天狗がたくさんいた。飯綱権現堂から不動堂と通過して山頂に向かって進むと、舗装路から変わって木の階段が出てきて歩きやすい道となった。ここから15分もすれば山頂に着くだろう。山道は途中にベンチが置かれており、そこで休む人も見受けられた。やはり紅葉時期の高尾山は人気が高い。

 

歩道を歩いている男性

中程度の精度で自動的に生成された説明

高尾山山頂に着いた

 

9時10分に高尾山(599m)山頂に着いた。高尾山口駅から歩き始めて2時間弱だった。途中で写真を撮ったり登山メモをつけたりしながらのんびり歩いてきたので、このぐらいの時間で満足だった。山頂は想ったよりもすいていた。カエデも朱色、赤色に色づき美しかった。山頂標識の前で男性にスマホのシャッターを押してもらった。

 

雪が降った山の景色

自動的に生成された説明

高尾山山頂から望む富士山

 

富士山が見える場所に行くと、雪を被った富士山が大室山の向こうに姿を現していた。山頂には「山頂から見える山々」の写真で貼ってあり、左から三角形の特徴ある姿の大山、それから丹沢山、蛭ヶ岳、石老山と続き、富士山の手前の大室山、雪を被った富士山、 山頂がふたつ見えている三ツ峠山、奥には雪を被った塩見岳や農鳥岳などの南アルプスの山々も見えた。素晴らしい景色だった。これで1つ目の目的は達成できた。

 

屋外, 木, 立つ, 記号 が含まれている画像

自動的に生成された説明

『日本野鳥の会』創立者の中西悟堂の歌碑

 

奥高尾に向かって歩きだそうと階段を降りようとしたときに、右側に自然石に刻まれた『日本野鳥の会』を創立した中西悟堂の歌碑が目についた。歌は「富士までに およぶ雲海ひらけつつ 大見晴らしの 朝鳥のこえ」というもので、探鳥会のおりに薬王院に泊まり、翌朝に詠んだ歌だという。分かりやすく情景が眼に浮かぶ歌だと思った。私は現在日本野鳥の会の本部会員に登録しているが、中学生の頃から中西悟堂が書いた本を読んでいた。高尾山の山頂に中西悟堂の歌碑が置かれていることを初めて知った。

 

森の中の木

自動的に生成された説明

もみじ台の紅葉も見事だった

 

奥高尾の山道を小仏城山に向かって降りていくと、10分ほどで「もみじ台」に着いた。茶店はまだ開いておらず女の人が準備中だった。ベンチには20人くらいの人が休憩していた。もみじ台と言うだけあって、モミジがたくさん色づいていた。妻とハイキングに来たときにベンチでコーヒーを淹れたことを思いだした。

 

オレンジ色の木々

低い精度で自動的に生成された説明

色づくカエデ

 

もみじ台から一丁平までの間は木の階段で整備されているところが多く、その山道に両側から覆い被さるように黄色いモミジ、赤いモミジ、橙色のモミジ、クヌギの黄色などが入り混じって競演している。色づいた葉の横にヒノキやスギの青葉があると反対色となって、いっそう紅葉が際立ち心地よく感じられた。これで2つ目の目的は達成できた。

 

木の枝

自動的に生成された説明

1丁平園地に着いた

 

東屋が建ち休憩所となっている1丁平園地に着いた。カエデがたくさん育っており、赤色や橙色に輝いていた。10人ほどの人がテーブルや東屋に分散して休んでいた。黄色の大きなカエデの下にも小さな東屋が建っていた。ここで初めてタイムスケジュール表を確認すると、1丁平園地には20分ほど早く着いていた。この先の小仏城山で休憩することにして前に進んだ。

 

1丁平展望台から眺めた富士山

 

1丁平園地から展望台に進むと高尾山山頂から見た富士山よりもずっと大きく感じられた。快晴なので雲ひとつなく、富士山がスッキリ素晴らしい姿で見られた。ハイカーが次々にやってきて写真を撮っている。今日は本当にハイキング日和だ。

 

屋外, 立つ, 男, 持つ が含まれている画像

自動的に生成された説明

小仏城山に着いた

 

10時40分に小仏城山に着いた。パラボラアンテナが建ち、広場の中央に城山小屋という茶店があった。東側の都内方面は霞んでいたが、反対の西側には富士山がよく見えた。「小仏城山」の標柱前でスマホのシャッターを押してもらった。広場が休憩所になっており、たくさんのテーブルに陣取ったハイカーは、それぞれの話題で盛り上がり、楽しんでいるようだった。富士山の写真を撮ってから相模湖に向かって東海自然歩道に指定されている山道を降りて行った。

 

店の上にある数種類の木

中程度の精度で自動的に生成された説明

茶店の城山小屋が建つ広場

 

相模湖に向かって降り出すと、今までの高尾山から陣馬山への奥高尾縦走ルートと違い、行き交う登山者が全く途絶え、私ひとりでの山道となった。実に静かである。こういう静かな山道だとクマさんが出てくるかもしれないので、ザックにクマ鈴をつけ、首からホイッスルを下げた。本当に静かな晩秋の山道をひとり降りていった。

 

屋外, 公園, ベンチ, 立つ が含まれている画像

自動的に生成された説明

お地蔵さんが祀られていた峰尾山(540m)

 

峰尾山(540m)の標柱が立っていた。標柱には「もう一度 タバコの火に 注意する心が 緑を守る」という火の用心の注意書きがあった。標柱の脇にお地蔵さんが祀られていた。赤い毛糸の帽子はずいぶん古いようで綻びがあり、赤い前掛けをしていた。前の白い茶椀に落ち葉と雨水が溜まっていたので、落ち葉を取り除いた。お賽銭が挙げてなかったので、お賽銭をあげて手を合わせた。

 

店の看板と店の入り口

自動的に生成された説明

家族のお土産に酒まんじゅうを買った

 

国道20号に降りて相模湖駅に向かっている途中の旧甲州街道小原宿のに『寿堂』という酒まんじゅうを売ってる和菓子店舗があった。その店に入ると酒まんじゅうを作っているところがガラス越しに見えた。家族のお土産に6個で960円の酒まんじゅうを買った。手渡された包みが想ったよりも大きく、帰宅してから包装紙を開くと、行楽地で売っているものよりも、倍もするような大きさだった。小豆の美味い酒まんじゅうだった。

 

建物の入り口

中程度の精度で自動的に生成された説明

お昼ごはんは相模湖駅前の「かどや」に入った

 

相模湖駅に着いて今回のハイキングは終了した。駅前の「かどや食堂」に入って注文したのは、エビフライ・チキンカツ・コロッケ定食と餃子と瓶ビールに300mlの生酒だった。頼んだ料理が出てくるまでの時間で2階のギャラリーを覗いてみた。2階では「陶芸絵画展」を開いているのである。

 

テーブル, 座る, 異なる, 写真 が含まれている画像

自動的に生成された説明

陶芸絵画展に展示されていた作品

 

2年前にこの駅前食堂を訪れた時に、偶然「陶芸絵画展」を見て、出品してある作品を購入したことがあり、今回は陶芸教室の責任者から案内の絵葉書が届いたのである。この陶芸絵画展を見るのが今回のハイキングの主目的であった。陶芸教室といえども素人とは思えない素晴らしい作品が並べられてあった。びっくりである。即売でコーヒーカップ、湯吞み、ぐい呑み、盃などがあったので、ひとつ100円の盃を2個買った。これで3つ目の目的も達成できた。

 

美味かった

 

1階の食堂に降りると瓶ビールと生酒がテーブルに出ていた。早速、ビールが乾いた喉をグビグビ落ちていった。しばらくすると餃子が運ばれてきた。美味い餃子だった。生酒を2階で買った盃で飲んでいると、エビフライ・チキンカツ・コロッケ定食が出てきた。揚げたばかりのフライは実に美味い。最高の酒のツマミとなった。

 

マップ

自動的に生成された説明 グラフ, 折れ線グラフ

自動的に生成された説明

今回のハイキングデータ

 

ミシュランが大きなお世話で高尾山を宣伝したために観光地と化してしまい、高尾山からは気持ちが遠のいていたのだが、今回は晩秋の1日を有効に使えて満足だった。失敗だったのは買ったばかりの盃を割れないように包んでテーブルの上に置いたのだが、そのまま忘れて帰宅してしまったことだ。気に入った盃だっただけに残念至極だった。ま、こういうこともあるさ。

 

戻る