大房岬でソロキャンプ

 

第1キャンプ場にツェルトを張って乾杯

 

4月12日 月曜日 晴れ 1日目

房総半島内房の大房岬へ1泊2日のソロキャンプにでかけることにした。昨年12月に下見をしていたので、今回の目的は桜の花を見上げながら酒を飲み、夕日に暮れゆく富士山を観ることである。桜の花が咲く4月上旬を考えていたが、3月下旬から4月10日までは学校が春休みのためかテント場が満杯で予約が取れなかった。

 

「バスタクん」に乗って大房岬キャンプ場へ

 

JR富浦駅に降りて4分の待ち合わせで、南房州市市営循環コミュニティバス『バスタクん』に乗って大房岬キャンプ場のインフォメーションセンターに向かった。乗客は私1人だった。防災広報無線から「本日は市長選挙、市議会議員選挙の一般選挙が行われており・・・」という放送が流れていた。

 

今回もインフォメーションセンターは無人だった

 

バスタクんの乗車には事前の電話予約が必要なため、私は2日前に市の総務部企画財政課に予約を入れておいた。料金は200円だった。インフォメーションセンター前で降りると駐車場には自家用車がたくさん停まっていた。穏やかな天候のもとで家族連れが公園で寛いでいるのだろう。インフォメーションセンターに入ったが、今回も無人だった。テント場のチェックインは13時からとなっているので、それまでの間は花見をしながらのんびり過ごすことにした。

 

八重桜が満開だった

 

周りからはウグイスの囀りが絶え間なく届いていた。ウグイスも恋の季節なのだ。ウグイスは普段は藪のなかで生活しており、滅多に姿を観ることができないのだが、春の季節だけは藪から抜け出してソングポストで高らかに縄張り宣言をするので、楽にウグイスの姿を見ることができる。

 

タンポポが一面に咲いていた

 

ソメイヨシノの花は終わりに近づき、青葉の季節へと移っているが、白や桃色の八重桜が満開の時を迎えていた。遊歩道をゆっくり歩いて芝生運動広場に着くとタンポポが一面に咲いていた。春を感じさせる風景である。ここでも八重桜が大きく枝を広げて満開だった。

 

イノシシ捕獲用の箱罠の入り口は閉じられていた

 

昨年12月に下調べで大房岬を訪れた時、芝生広場脇にイノシシ捕獲用の箱罠が設置されていた。その場所に行ってみると、箱罠は現在も設置されていたが、箱罠の入り口は閉じられていた。春休みに訪れた子どもたちのことを考え、危険回避のために箱罠の入り口を塞いだのだろうか? それともイノシシを捕獲したのだろうか?

 

トビが上昇気流を捕まえてゆったりと舞っていた

 

第1展望台から東京湾を眺めると目の前の浦賀水道の向こうに三浦半島が横たわっていた。ゆっくり進むタンカーが見えた。上空にはトビが上昇気流を捕まえてゆったりと舞っていた。トビの数を数えると10数羽の多さだった。

 

花はサクラからツツジへと変わっていた

 

第2展望台に向かうと正面にうっすらだが富士山が見えた。空の青さが反射して海が真っ青に輝いていた。メジロがチィチィ鳴きながら木から木へと飛び交っていた。花はサクラからツツジへと変わっていた。第2展望台の下に第1キャンプ場があるので寄ってみた。2つのグループが荷物をまとめて帰り支度をしていた。さらに海に近い第2キャンプ場に向かってみると3つのグループがテントを撤収していた。こちらは家族グループと高校生グループのようだった。今日のテント場の受付はまだ開始されていないので、どれだけテントが張られるのかは分からないが、日曜日なのでキャンパーの数は少ないだろう。

 

館山湾は波静かでたくさんの漁船が漁をしていた

 

第2キャンプ場から海の方に降りていくと南芝生広場がある。館山湾は波静かでたくさんの漁船が漁をしているのが見え、漁船の向こうに薄く霞んだ大島が見えた。遊漁船が行き交いカヌーで遊んでいる人も見えた。砂浜では家族連れが波と戯れているのが見え、ここでもトンビが大空に円を描いて舞っていた。

 

寄せては返す潮騒が耳に心地よかった

 

芝生脇の梢のソングポストでホオジロが盛んに囀りを繰り返して縄張りを主張していた。ホオジロの鳴き声を聴くのは久しぶりだ。芝生に寝転んでしばらく休んでいると、寄せては返す潮騒が耳に心地よかった。30分ほど寝転んだあとは13時のキャンプ場の受付まではビールの乾杯で始まる宴会のスタートだった。芝生広場にはピクニックの人たちが徐々にやってきていた。私が広場を去るときには7組が食事や会話を楽しんでいた。

 

ビジターセンターでテント場の受付を済ませた

 

13時にビジターセンターでテント場の受付を済ませた。1張り630円だった。私は日の入りを見たかったので、西側が展望できる第2展望台下の第1テント場にツェルト(簡易テント)を張ることにした。ツェルトは公共交通機関を使う人にとっては、コンパクト軽量化に必須のビバークテントだと思う。

 

ツェルトの支柱は妻のポールを借りてきた

 

ビジターセンターの受付時にイノシシ捕獲用箱罠について訊いてみると、「イノシシは捕獲できませんでしたけれど、今年に入ってからイノシシの目撃情報は無く、掘り返し跡も見られないために、この場所からイノシシはいなくなったと判断し、箱罠の入り口を閉めています」とのこのことだった。ここはイノシシもクマもいない最高のキャンプ場だ。また、「第1キャンプ場に私の他にテントを張る人がいますか?」尋ねたところ、「1グループいます」とのことだった。海に近い第2テント場は予約無しとのことだ。

 

10分あればツェルトは張れる

 

私はテントではなくツェルトをよく利用している。ツェルトの支柱に使うトレッキングポールは、昨年の日光白根山登山の下山時に1本折ってしまったので、今回は妻のポールを借りてきた。10分でツェルトを張り、シュラフを含めて荷物を整理し、13時半から昼食を兼ねた2回目の宴会がスタートした。

 

今回持ち込んだ酒のラインナップ

 

今回持ち込んだ酒のラインナップは、レモンサワー500ml1本、発泡酒500ml2本、ワイン赤180ml1本、ワイン白180ml1本、日本酒180ml1本、キンミヤ焼酎90ml1本、ウイスキーはジャックダニエル180ml1本だった。ツマミは鯖味噌煮、ソーセージ、赤唐辛子カルパス、柿ピー、カロリーメイト、カマンベールチーズ、夕ご飯はアルファ米とレトルトカレーだった。

 

アルファ米の賞味期限が1年過ぎても問題なし

 

山仲間のエンジニア小林がLINEで「テン場は貸し切りですね」と連絡をくれた。トトロ碓井が「尾西の賞味期限は1年前だけど、問題なし!」のメッセージをくれた。当然である。私は自分の身体で賞味期限表示の無意味さを実体験しているので、密封されているものは1年期限が切れていても平気なのだ。食べ物に関して重要なのは自分の身体の臭覚や味覚などのセンサーを信じることだ。

 

満開の八重桜

 

現代は賞味期限表示によって、ずいぶん食品廃棄が増えていると想う。全世界で異常気象や戦乱によって飢えている人がたくさんいるのに、実にもったいないことである。私は過去の体験から自分の身体のセンサーを信じている。密封されていれば100年前のウイスキーやワインも美味しくいただけるのだ。

 

キャンプファイヤーの焚き火台

 

宴会の途中で他のグループがやってきてテントを2つ張った。私は太陽の動きを考慮してツェルトを張ったが、遅れてやってきた人は太陽の移動を考えなかったようで、テントが大きな木の陰となって寒そうだった。夏は太陽を避けて木陰にテントを張るが、春や秋は太陽を求めてテントを張る必要がある。風が出てきていた。私は上下のダウンを着ていたのだが、日陰の場所は寒いと思う。周りに木々が生えているテント場は、太陽の移動を考えてテントを張らなければならない。

 

富浦漁港の眺め

 

トイレに行く時にテント脇にいた2人と話してみると、50代と思われる男性と30代と思われる男性だった。2人はそれぞれ自分のテントを張っていた。若い男性に「何泊ですか?」と尋ねると「3泊の予定です」と言った。テント生活が好きなのだろう。このテント場は半日もあれば岬の全てを回ることができ、あとはのんびりした時間となるのだろう。でも天気予報では明日から天候は崩れていくのだ。大丈夫か?

 

テント場の一番奥にツェルトを張った

 

トビの鳴き声が絶え間なく聞こえて来ていた。トビは急降下して食べ物を奪い去っていくので十分注意が必要である。空は晴れて青空が広がり、トビはピーヒョロピーヒョロ鳴きながら舞っているが、16時を過ぎると太陽の力がずいぶん弱くなってきたのを感じた。13時半から飲み始めて3時間も飲むと、ずいぶん酔ってしまう。 

 

展望台から眺めた日の入り

 

ネットで館山の日の入りを調べると18時11分だった。酒盛りを中断して18時に第2展望台に行くと、徐々に太陽が消えていくところだった。雲が多くて日の入りは想像していたよりもイマイチだったが、天候は崩れる方向に向かっているので仕方ないことだった。ずいぶん飲んだのでツェルトに潜りこんだ。

 

 

4月13日 月曜日 晴れ 2日目

4時47分に甲高いトビの鳴き声によって起こされた。昨晩は19時にシュラフに潜り込んだので10時間ほど寝たことになった。夜中にトイレで目覚めた時に星空が綺麗だったことを思い出した。4時ころに漁船のエンジン音も聞こえてきていた。トビの鳴き声に続いてヒヨドリが鳴き、ウグイス、ハシブトガラス、コジュケイも合唱に加わって早朝の音楽会は一気に賑やかになった。

 

東京湾越しの三浦半島も微かに見える程度だった

 

今回のキャンプは天気予報で最低気温が10℃を切っていなかったため、荷物のコンパクト軽量化でシュラフはやめてシュラフカバーのみを持ってきた。寝てみた結果は熱すぎるくらいで朝方に冷え込んでから上半身をカバーに入れる状態だった。ダウンの上下を着込んでいたので、春から秋までのキャンプはツェルトとシュラフカバーだけで十分だと感じた。ツェルトのなかに太った3匹の蚊が飛んでいたので潰してみたら、どの蚊も大量に血を吸っていた。昨夜は暑くて上半身をカバーから出して寝ていたので私の血を吸ったものだろう。

 

定置網で作業をする漁船があった

 

富士山が見えるかどうか展望台に向かったが、残念ながら雲のなかだった。東京湾越しの三浦半島も微かに見える程度だった。足元に見える定置網で作業をする漁船があった。近くのソメイヨシノの木で1羽のメジロが花の蜜を探しているのが目についた。メジロさん、ソメイヨシノの花は終わったのだよ。

 

ウイスキーを飲みながら朝食の味噌ラーメンを作った

 

テント脇のベンチでカマンベールチーズをツマミにウイスキーの水割りを飲みながら朝食の味噌ラーメンを作った。周りの森からはひっきりなしにウグイスの鳴き声が聞こえて来ていた。静かなテント場の朝である。

 

アダム・スミスの『感情道徳論』と『国富論 』

 

ツェルトを撤収し荷物をまとめたあとは11時過ぎの巡回バスのバスタクんに乗るまで間があったのでベンチで読書時間となった。今回のテント旅で読んでいる本は、アダム・スミスの『感情道徳論』と『国富論 』を解説した本である。アダム・スミスは18世紀中ごろに活躍したイギリスの経済学者かつ大学教授であり、日本では暴れん坊将軍でおなじみの徳川8代将軍吉宗の時代の人である。

 

展望塔からの展望

 

『感情道徳論』の解説を読み終わったところで展望塔に向かった。展望塔に上り360度周りを眺めてみると、空は曇っているものの館山湾から東京湾が一望のもとに見渡せた。周りからは外来種のガビチョウの高く複雑な鳴き声が聞こえて来ていた。

 

昼食は刺身6点盛り定食と地酒

 

11時14分発のバスだったが、予約制のため11時にバス停に着いたらすぐ出発してくれた。乗客は私を含めて2名だった。循環バスに乗って向かった先は、道の駅『とみうら元気クラブ』である。ここの食堂で海鮮料理を食べ、家族へのお土産を買うためである。元気クラブで下車し『海鮮食堂ISOBA』に入った。私が頼んだのは刺身6点盛り定食と缶ビールに地酒・寿満亀の1カップだった。私が最初の客で食事中に次々に客が入ってきた。この店の名物は1日に1000個売れるという「いかメンチ」らしく、道の駅に立ち寄る客が次々に「いかメンチ」を注文し、ほおばりながら歩いていくのだった。私が注文したなかでは、とろろ昆布の味噌汁が1番美味かった。会計は2730円だった。ほろ酔い気分が最高だった。

 

みのや総合水産で鮮魚の土産を買った

 

食事を終えたあと、物産館内にある『みのや総合水産』で魚を選んでいると、聞いたことのない外国語を話す女性グループがやってきたので、「どこの国ですか?」と訊くと「フィリピンです。君津に住んでいます」ということだった。賑やかな女性たちだった。私は生サバ、太刀魚、スミイカを買った。更に土産物店でピーナッツ味噌、みぞれはねだし(ピーナッツに砂糖をまぶした菓子)を家族の土産に買った。

 

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