富士山の雪が消えちゃった?

 

雪が降った山の景色

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富士山の雪が消えてしまった

 

11月8日 水曜日 晴れのちくもり

富士山駅に降りて驚いた。ホームから見える富士山から雪が消えてしまった。先月16日に同じ山梨県の雁ヶ腹摺山から眺めた富士山は5合目まで雪を被っていたが、先月末から今月にかけて夏のような気候が続き、ついに富士山の雪が融けて消えてしまったのである。全くの異常気象で本当にビックリした。今回のハイキングは山梨県富士吉田市の杓子山(1597.5m)である。中級者向けのハイキングコースで、杓子山は富士山が最も雄大に見える角度だというので期待を持っていた。天気予報を確認し快晴だったので日帰りハイキングに出かけることにしたのである。

 

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富士山駅には外国人が多かった

 

幕張駅発5時16分の電車に乗るために自宅を4時55分に出た。空にはたくさんの星が瞬き、月は下弦の三日月だった。御茶ノ水駅、三鷹駅、西八王子駅、大月駅で乗り換え、8時45分に富士急行線の富士山駅に着いた。駅のホームからは雲ひとつなく雄大な富士山が見えたが、驚いたことに雪が消えていたのである。改札口を出て2番線のバス乗り場から9時15分発の市内循環コミュニティーバスに乗りかえ、9時55分に不動湯入口に着いた。ここまでで自宅を出てから5時間だった。

 

道路を走るバス

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料金100円のコミュニティーバス

 

今回のハイキングの登山口は不動の湯温泉であるが、不動湯入口バス停から1時間歩かないと登山口に着かないのである。私は不動の湯温泉までバスが入ると思っていたが、実際に歩いてみると道は細くバスなど入れない道路だった。不動の湯温泉から1時間ほど林道を歩いて大権首峠に着き、そこから山道を登って30分で杓子山の頂上に着くのだった。帰りは同じルートを戻るが、バス通過時刻の関係でコミュニティーバスに乗れないため、下吉田駅まで歩くことになり徒歩時間は不動の湯温泉から2時間半となる。

 

木の枝

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色づく木々

 

紅葉が標高の低い里山まで降りてきており、民家の裏山も黄色・橙色・赤色に色づいていた。その紅葉を眺めながら不動橋を渡ると、不動の湯まで1.5kmの表示がされていた。この辺りもイノシシやシカの世界らしく、農作物を守るために田畑には金網が張り巡らされていた。林道歩きだが人に会わず静かな山のなかへ続いているため、ザックに獣よけのためのクマ鈴を着け、鈴が着いたストックを出し、首からホイッスルを下げ、いよいよ動物たちの世界へと入って行った。

 

建物の前に立っている家

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硯水不動の湯に着いた

 

バス停から歩き始めて1時間で不動の湯温泉に着いた。不動の湯から富士山が見えたが、左側から白い雲が湧き上がってきていた。これから山頂まで1時間半かかるが、果たしてそれまで富士山は美しい姿を現してくれているだろうか? 不動の湯から林道がふたつに分かれていた。いずれの林道も車両は通行止めである。最初、右の林道を歩き出したが、しばらく歩いてから地図を確認すると、左の林道を歩いた方が短いことが分かったので、不動の湯の分岐点まで戻り左の林道を登りだした。

 

山の景色

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富士山の左側から雲が出てきた

 

林道を登っていくと大規模なスギ林の伐採地が現れた。そこから振り返ってみると、やはり富士山は左側からの雲が山頂に迫っていた。昨日降った雨が太陽に照らされて、水蒸気となって山を覆い始めているのであろう。3人連れの若い登山者が陽気に降りてきたので挨拶をした。

 

家の庭

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林道のゲートには鍵がかかっていた

 

林道のゲートには鍵がかかっていたため、広場に1台の車が停まっていた。下の車両通行止めを無視してここまで上って来た人がいるのだ。その場所はビューポイントとなっていたが、富士山は山頂部が見えるものの、大半は雲の中に姿を消していた。周りの木々は紅葉から落葉へと移っていくようだった。木々の大半は葉を落としていた。可愛いエナガとシジュウカラの混成群が枝から枝へと渡っていった。

 

森の中の道

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静かな大権首峠に着いた

 

11時55分に大権首峠に着いた。峠には登山者はひとりもいなかった。右手の高座山方面から複数の人たちの声が届いた。私は左に折れて杓子山に向って100mほど進むと、杓子山へ登る分岐が現れた。ここで林道と離れて山道に入り、急な登りとなっていった。林道はこの先でストップとなっていた。

 

森の中にいる

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カラマツ林のなかの急登を一歩一歩登っていった

 

大権首峠からカラマツ林のなかの急登を10分ほど進んだところで、ふたりの女性ハイカーが降りてきた。「頂上に人はいますか?」と尋ねると、「私たちが登った時は誰もいなかったけれど、12時のお昼近くになったら団体さんが登ってきたので、今はたくさんいます」と返ってきた。せっかく静かな平日にやってきたのだが、どうやら今回は外れらしい。あと20分もすれば山頂に到着する。

 

山の景色

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山中湖が光って見えた

 

山頂までの間で降りてくる人に7人出会った。追い抜いたのは女性ひとりだけだった。山頂直下は登山道から外れないように虎ロープが張られ、木の長い階段が続いていた。土は黒色をしており滑りやすいので、擦れ違う登山者に十分注意して道を譲った。雲に姿を隠した富士山の左下に山中湖が光って見えた。

 

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山頂には天空の鐘と山梨百名山の標柱があった

 

12時半に杓子山山頂に着いた。頂上には「山梨百名山」の標柱と「天空の鐘」が設置されていた。そこから5mほど離れたところにも、大きな山頂表示が立てられていた。山頂には11人がお昼ご飯を食べながら休憩していた。テーブルが3つあり、ふたつのテーブルは団体客で使用されており、残りのテーブルが男性登山者ひとりだけが座っていたので、そこにお邪魔した。山頂標柱の横で男性にスマホのシャッターを押してもらった。残念ながら富士山は雲のなかだった。逆に男性登山者がスマホのシャッターを押して欲しいというので3か所で写真を撮った。

 

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頂上には11人が休憩していた

 

甲府市から来たという単独男性登山者との話題は、やっぱり日本全国で話題となっている熊出没だった。登山でどういう対策をしているかが話の中心だが、クマ鈴、ホイッスル、ラジオの音量などの対応以外には特になかった。クマに出会うのも運次第なので、自分のできる対策をやっていて、クマに出会ったら仕方ないという結論だった。登山はクマが棲息している山に入っていくのだから、クマと出会うのは当たり前なのである。

 

落ち葉が積もる登山道

 

東側は青空が見えていたのだが、西側の富士山側は全くの雲である。眼下には山中湖が見えており その手前に忍野村の家並みが見えた。このまま山頂にいても雲は飛ぶことは期待できないので、おにぎりをひとつ食べ、飴玉をひとつ舐めて長居は無用と判断し、登ってきた道を不動の湯温泉に向けて下っていった。

 

森の中の木

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葉を落とした登山道

 

葉を落としたなかに伸びている登山道を、サクサク落ち葉を踏む音を聴きながら歩くのも実に気持ちがいいものだ。これが黒土の急坂だと、つるつる滑ってしまって始末に負えない。特に下りが要注意で、スリップによる転倒と捻挫に十分注意しながら降りて行った。

 

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硯水不動尊にお参りした

 

14時15分に不動の湯温泉に着いた。せっかくなのでお不動さんが祀られてるお堂に参拝した。お堂のなかは暗くてよくわからなかった。お不動さんの前の霊水を18Lのポリタンクに水汲みをしていた男性がいた。水汲み場には「硯水不動尊からのお知らせ」ということで、「硯水不動尊では霊水をご利用される皆様に、旅館不動湯の入浴券を購入し、不動湯をご利用して頂くことになりました。券は旅館のフロントに用意しておりますのでお買い求めください。尚、霊水のご利用はお一人様ポリタンク5個までとしますので御協力下さい。この霊水は塩素滅菌はしておりません。不動尊委員会、平成20年7月8日」という看板が立っていた。日帰り入浴券は1000円である。山の湧き水を「霊水」と名づけて1000円で売るなんて、何だか「がめついなあ」と思った。

 

 

壁に掛けられた看板

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葭池温泉前駅まで車で送ってもらった

 

 不動の湯温泉から下吉田駅まで2時間の車道を歩いていると、私の脇に乗用車が止まり、運転手が顔を出して声をかけてきた。「山頂で会った後姿が似ているので、もしかしたらと思って声をかけました。車に乗って行きませんか?」という山頂で話をした単独男性登山者からの思いがけない声かけだった。実にラッキーだった。渡りに船とばかりに申し出を快く受けて、葭池温泉前駅まで送ってもらったので、歩く時間を1時間以上も短縮できたのである。乗換の大月駅で家族にお土産を買って帰路についた。

 

グラフィカル ユーザー インターフェイス, アプリケーション

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今回のハイキングデータ

 

 今回のハイキングはインターネットから『やまなしハイキングコース100選』をダウンロードし、記事内容を読んでいたなかで見つけたものだった。実際に歩いてみると車道と林道歩きが長く退屈しがちになったが、周りの木々が色づきだしており、おまけに富士山が徐々に雲に隠れていったとはいえ、要所要所で美しい姿を見ることができたので満足だった。

 

山の中の花

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クワの葉も黄色く色づいていた

 

ひとりハイキングの良いところは、周りの景色との会話とともに、自分自身との会話ができることである。「自然のなかに入って遊ぶ」という言葉があるが、山や川や海で遊ばせてもらうことにより、精神・心がリフレッシュしてくるのである。四季折々の自然の生命力の力強さを感じ、人間の生命力もどこに源があるのかを考えるきっかけを与えられていると感じるのである。

 

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