大雪・新雪の尾瀬岩鞍スキー
女子国体沢コースのスタート地点
2月6日 大雪
ドドドドドという異常な音に目が覚めた。明け方の4時ころだった。何の音だろう?と一瞬考えたが、すぐに屋根に積もった雪が滑り落ちたのだと理解した。雪は昨日から降り続いており、屋根にも雪が厚く積もっていたのだった。今シーズン2度目のスキーに、前回と同じ尾瀬岩鞍スキー場にやってきて、定宿のロッジさんらいずに泊まっていたのである。今回の参加者は5人で、先発の私たち3人は前日からの片品村入りだった。
大雪でも元気なボーダーたち
8時半にスキー場に向かった。日曜日のために既にゴンドラには長い列が出来ていた。前回は月曜日から木曜日の日程で訪れていたためにスキー場はガラガラだったが、今回は土曜日から火曜日の日程だった。新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大が止まらず、群馬県も蔓延防止適応県となっているのだが、ボーダーもスキーヤーもオミクロン株など、どこ吹く風とばかりにスキー場にやってきているのだった。ゴンドラやリフトが混んでいるので時間がかかる。6人乗りのゴンドラはコロナ対策として、4人乗りに制限されていた。混み具合から前回の倍の時間がかかっているように感じられたのは、久しぶりのことだった。
ゴンドラから眺める雪の華
ゴンドラの山頂駅に着き、ミルキーウェイから滑り出す。平均斜度14度、最大斜度18度は足慣らしには丁度いいのだが、新雪の雪は実に滑りにくい。スキー板が雪に埋もれてしまい、うまく板をコントロールできない。両脚の太腿と膝の上の筋肉に負担がかかっているのが分かる。2800mを滑り降りてくると、太腿が痺れるように熱くなっている。降る雪の量が多すぎて、圧雪した後に10cmも新たな雪が降り積もっているのである。せめてもの救いは風が吹いていないのでマイナス4度という気温も寒くは感じられないことだった。滑り降りてくると、身体から湯気が立ち昇っているのがわかつた。
まずは琥珀の生ビールを大ジョッキで乾杯
ミルキーウェイ、女子国体、西山、女子国体と滑ったところで、想ったよりも時間がかかり11時30分になったので休憩した。30分後に、再度ミルキーウェイから女子国体、チャンピオンを2本滑って13時30分に終了とした。人が多くてゴンドラやリフトの待ち時間が長く、しかも新雪は滑りづらかった。スキーのあとはお祭り広場で乾杯だった。琥珀の生ビールは美味かった。15時に迎えの車が来るまで宴会は続いたのである。
2日目の夕食
2月7日 大雪
翌日も雪が降り続いていた。予定通り8時半に宿を出発し、車でゲレンデまで運んでもらった。月曜日になったのでスキー場に人はあまりいなかった。ゴンドラは既に運行を開始していた。それほど待つこともなくゴンドラに乗り込んで山頂駅に着き、準備体操をしたあとミルキーウェイを滑り出した。滑り出して間もなく身体のバランスを失い転倒した。同時に両脚の2本のスキー板が外れた。初めての転倒だった。気持ちを持ち直して立ち上がり、山麓駅まで滑り降りた。身体が目覚めておらず、バラバラの感じだった。
大雪のゲレンデ
再び山頂駅までゴンドラに乗り、女子国体コースを滑り降りた。女子国体コースは2本あり、上部の西山コースの距離は850mで最大斜度は27度。男子国体コースのスタート地点で傾斜が一旦緩くなるが、右側に落ちていきながら急斜面となるため、スタート地点からゴール地点は見えない。下部の沢コースの距離は800mで最大斜度は23度。スタート地点からゴール地点はおろか、先のファミリーコースからゴンドラ山麓駅も眼下に見下ろせて、実に気持ちのいいコースなのだが、雪が降り続いているため眺望はなかった。徐々にスキー板が身体に馴染んでくるのが分かった。西山に向かうと風が強く、寒さが身に染み風が冷たかった。時折り木の枝に乗っている雪が風に吹き飛ばされ、リフトに乗っている私たちに落ちてきた。西山のとちの木コースを滑り降りると、再び女子国体沢コースを滑ったあとで、お祭り広場で休憩となった。本来ならばチャンピオンコースに向かうのだが、圧雪のために2時間ほど封鎖されていたのである。
日中の気温はマイナス4度
お祭り広場の小屋の入り口で、小屋の持ち主のおじいさんが食事をとっていた。小屋の入り口の寒暖計では水銀柱がマイナス4度を示していた。おじいさんは、「このぶんだと山頂はマイナス10度を切っているだろうが、寒さだけはどうしようもないからなぁ」とつぶやいた。スキーヤーもボーダーも一日中、氷点下の世界で遊んでいるのだった。
圧雪されたチャンピオンAコースの下部
30分の休憩のあと、再び第1回目と同じようにミルキーウェイから女子国体、西山、女子国体と滑っているうちに、チャンピオンコースの圧雪が終了しゲレンデが開放された旨の放送があった。それを聞きチャンピオンコースへと進んでいった。チャンピオンコースを2度すべって2日目の滑降は終了し、お祭り広場に戻ったのは13時15分だった。
大雪のゲレンデ
それから2日目の宴会がスタートである。まずは昨日同様に琥珀の生ビールの大ジョッキから飲み始めた。休憩時に缶ビール、瓶ビール、中ジョッキなどを飲む人は見かけるが、大ジョッキを飲む人はあまりいないので、私たちを見ている視線を感じた。生ビールの次は地酒である。1時間半ほど飲んで、お祭り広場を出て宿の親父さんが迎えに来てくれた車に乗り込んだ。途中の酒屋で宿での宴会用に地酒の1升瓶を買い込んだのである。全くよく飲む連中である。
来シーズン尾瀬岩鞍スキー場は開設50周年を迎える
2月8日 晴れ
空は気持ちよく晴れていた。尾瀬岩鞍に来てから大雪が続いていたが、4日目でやっと快晴になったのである。しかし、私は部屋で持参した本を読んで過ごすことにした。理由は昨日女子国体コースからチャンピオンコースへ向かう途中、ターンをするたびに身体の奥からピキーンという違和感が伝わってきたのである。初めてのことだった。膝の感覚ではなく、身体の中心から出てくるピキーンという変な感覚に襲われたのである。それがどこから来るのかわからないが、ターンをするたびに身体の奥底からピキーンという音が聞こえてくるような感覚にとらわれたのだった。その感覚はチャンピオンコースを滑った時には出てこなかったが、身体のどこかがおかしいように思われた。最終日は午前中だけ滑る予定だったが、滑るのを見合わせて持ってきた山の本の『花守記・北八ヶ岳しらびそ小屋主人の半生』を読むことにしたのである。
花守記・北八ヶ岳しらびそ小屋主人の半生
『花守記』は北八ヶ岳にある「しらびそ小屋」を引き継いだ2代目の主人が、小屋の1代目の主人だった実兄が小屋の近くの稲子岳で大切に保護していたコマクサを兄の遺志を引き継ぎ、コマクサを育て花園までに広めるための30年以上の努力を記録したドキュメンタリーである。新米の2代目の山小屋主人が様々な登山者との交流を通しながら結婚し成長していく過程で、コマクサを守り育てるなかで盗掘者、シカの食害、雑草との戦いなど様々な苦労をしながらの山小屋の成長物語でもある。スキーを滑りに行った仲間が14時に戻ってくるまでに、270頁の単行本を一気に読み終わってしまった。私は八ヶ岳には何度も訪れているが、しらびそ小屋やコマクサの咲く稲子岳を訪れたことはなかった。しかし、地道な努力で砂礫地に広がるピンクの大群落が想像できた。素晴らしいコマクサの花園となっているのだろうと想う。
家族へのお土産
帰宅途中に寄った赤城高原サービスエリアで家族へのお土産を買った。今回は「赤城南麓しぼりあんころ餅」と「上州名物あげうどん」だった。帰宅して妻に渡すと、すぐにあんころ餅に飛びついた。