奥秩父主脈縦走C

雁坂小屋から「道の駅みとみ」へ下山

 

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霧が舞う雁坂峠に着いた

 

4日目 7月11日 木曜日 小雨のち曇り

今朝も元気に鳴いているホトトギスの声で目が覚めた。両目が腫れぼったいが、寝不足にしてはおかしい感じなので、虫に刺されたのだろう。雨は夜半に止んだようだった。小屋の外に出てみると、地面は想ったよりも乾いていた。最終日の今日のコースは、雁坂峠まで登り返したあと、『道の駅みとみ』までの下山である。所要時間は約3時間か4時間だが、登山道が濡れているので、捻挫などしたら洒落にもならないから慎重に降りていこう。

 

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夜景スポットにあった手作りの展望図

 

5時30分に雁坂小屋から雁坂峠に向けて登りだすと間もなく、谷川岳・燧岳・赤城山・白根山・男体山・両神山などの山々が手描きされたパノラマ展望図があった。展望図と眼前に広がっている山々を見比べてみると、確かに展望図通りだった。かつて歩いた山々の姿があり、ノコギリの歯を立てたような両神山はすぐ目の前だった。ここは夜景スポットにもなっているらしく、前橋や日光の灯が見えると書かれていた。

 

雲がかかった山

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雁坂峠から望む霧に霞む富士山

 

朝一番の急登に喘ぎながら雁坂峠まで登ると、埼玉県側とは違い峠の反対側の山梨県側は濃い霧に包まれ、風が吹き上がってきていた。左側の霧のなかに富士山が見えていた。雁坂峠は北アルプスの針ノ木峠、南アルプスの三伏峠とともに日本三大峠のひとつであり、日本書紀にも記されている日本最古の峠と言われている。

 

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雁坂峠に立つ「秩父往還の歴史」を記す看板

 

雁坂峠は甲斐の国の武田信玄の軍用道路のひとつとして、また、武州と甲州を結ぶ交易路は秩父往還と呼ばれ、秩父の人は富士山や身延山への参拝の道として多くの人々が通り、江戸時代から大正時代までは秩父の繭を塩山の繭取引所に運ぶ道としても利用されてきたという。

 

森の中の道

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広葉樹林のなかの登山道

 

また、1998年4月に峠の下に雁坂トンネルが開通されるまでは、山道のため車の通れない国道140号として地図に記されていたのである。現在では奥秩父主脈縦走路として登山者に利用され、峠の標高は2082mである。

 

岩の上にある滝

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登山地図に記載がなかった第1の渡渉点

 

山梨県側の雁坂峠入口登山口に向けて小雨が降るなかを降りていったが、足元が濡れて滑りやすいので、ゆっくり降りていった。登山地図には2カ所の渡渉があり、増水時は注意と記されていた。ひとつ目の井戸沢を渡った。昨夜の土砂降りを集めて水かさが増しているようだったが、この渡渉点は地図には無いものだった。沢を渡ると広葉樹の歩きやすい道となった。

 

森の中の岩

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沢床の微かな踏み跡を探して歩いた

 

登山道は峠沢の流れに沿って下っていった。3度目の渡渉を過ぎると登山道は沢から離れてずいぶん高い道となった。登山道には落ち葉が積もっており、雨に濡れて滑りやすいので、転倒などすれば沢まで急な崖を転がり落ちるので注意しながら進んだ。このあと4カ所目の渡渉があった。登山地図では渡渉は2カ所だったが、実際は4カ所だった。

 

山に囲まれた家

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『道の駅みとみ』に下山した

 

  林道終点の沓切沢橋まで降りたのは9時だった。バス停のある『道の駅みとみ』までは1時間となっていた。これからは林道歩きとなるが、昨晩の雨でアスファルトが濡れていて、下っていく林道は滑りやすくてまいった。道の駅に着いたのは9時50分だった。山梨市駅行きのバスは10時13分の通過なので間に合ってほっとした。これから『笛吹の湯』で途中下車して温泉に入り、湯上がりにいっぱいである。朝起きた時から上まぶたが変だなと思っていたが、雁坂小屋には鏡がなくて確認できなかったが、道の駅のトイレで鏡を見ると両まぶたが腫れていた。虫に刺された結果だろう。

 

建物の前の家

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ゆったり入った『笛吹の湯』

 

予定通りに途中下車して笛吹の湯に入った 。以前、甲武信ヶ岳から下山してきたおりに入った温泉だった。JAF割引で100円割引となり、入湯料は600円だった。湯上がりにビールを飲もうと事務員に尋ねたところ、この湯は昔からアルコールは販売していない、とのことだった。 仕方がないのでカルピス・メロンクリームソーダを飲んだ。風呂上がりに体重をはかったところ、普段よりも5kg減って60kgだった。1時間後のバスに乗り、山梨市駅で降りて、そこでいっぱいやるつもりだ。

 

マップ

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最終日の雁坂小屋から道の駅みとみまでの登山データ

 

4日目の雁坂小屋から道の駅みとみまでの行程は、距離が7.1km、行動時間が4時間10分、標高差は登り337m、降り1269mだった。こうして3泊4日の奥秩父主脈縦走の東側半分の雲取山から雁坂峠までを歩き終えたのだった。

 

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縦走中の朝ごはん

 

75歳という年齢からテント山行は厳しいのではないかと想ったが、タイムスケジュールとは若干遅くなったが予定通りの行程を歩きとおせた。しかし、想像していた通りに背負う荷物が重かったことが足腰に負担をかけ、両足のむくみは1週間経っても引かなかったのである。若いころとは体力的にも違っていた自分があった。今回歩いた山域は秩父多摩甲斐国立公園に指定されており、人があまり歩かないがゆえに文字通り豊かな太古の自然に包まれていることを実感した山旅だった。

 

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