乳頭温泉郷で、の〜んびり

 

田沢湖駅で「なまはげ」のお面を被った

 

9月2日 火曜日 雨

昨夜の21時ころから降り出した雨は、やがて避難小屋の屋根や窓ガラスが壊れるのではないか、と心配するような強烈な風を伴い、雨は音をたてて打ち続け、遠くからイナビカリも絶え間なく続いていた。大荒れの秋田駒ヶ岳8合目避難小屋の一夜だった。朝起きた時には小雨が降っており、室内の温度は20℃だった。

 

避難小屋の壁に貼ってあった観光ポスター

 

避難小屋の壁面に春・夏・秋の3枚の田沢湖観光情報センターのポスターが貼ってあった。

・春は田沢湖:春の日差しが瑠璃色の湖面に触れたとき、金色に輝く彼女が一瞬笑ったような気がした。

・夏は秋田駒ヶ岳:あけすけの緑の大地で、心地よい初夏の風を吸い込む。心に深くしみるのは自然からもらう安堵感。

・秋は玉川温泉:湯に浮かび、私の背中に触れた紅いもみじを手形に、また来年ね、と再会を誓った。

冬のポスターはなかった。この地方の冬は大雪だろうから、スキー客は別として観光客は訪れないのだろう。ポスターに記されたキャッチコピーというのは、どれも一行で読んだ者の心を掴むものでなければならない。ポスターの3箇所は今回の山旅で計画した場所だった。

 

雨のためサイクリングは中止し乳頭温泉郷へ

 

昨日、頼んでおいた迎えのタクシーが9時前にやってきたときには、一度止んだ雨が再び降り出していた。田沢湖駅に着いたときには雨は上がっていたが、今にも雨が落ちてきそうなので田沢湖一周サイクリングは中止し、乳頭山(烏帽子岳)の麓にある乳頭温泉でひと風呂浴びることにした。ネットで乳頭温泉郷を検索し、休暇村、鶴の湯、妙之湯、大釜、蟹場、孫六、黒湯と7湯あるなかで、広々とした露天風呂の蟹場温泉が魅力的と考えたが、露天風呂が混浴とのことで女性陣のことを考慮し、乳頭温泉郷の一番手前にある休暇村温泉に入ることにした。

 

ブナの森に囲まれた温泉

 

乳頭温泉行のバスに乗り休暇村前バス停で下車し、フロント受付に行くと日帰り温泉は11時からだった。日帰り温泉入浴料は800円である。風呂を出た後に寛ぐ大広間の有無を尋ねたところ、大広間はありませんが売店で買ったものであればフロント脇の喫茶スペースで飲食はできます、とのことなので、風呂を上がったあとは喫茶スペースで休憩することにした。

 

休暇村温泉の内湯

 

シャトルバスで乳頭温泉郷7湯巡りというのが行われており、若者4人がバスに乗ってやってきた。私たちは11時になったので温泉棟3階の風呂場に向かった。温泉は「ナトリウム炭酸水素塩泉の乳頭の湯」と「単純温泉のブナの雫」という2つの源泉から引かれたもので、露天風呂があったので入ってみると、少し温めだが乳白色をしており、ブナの森のなかの静かな湯だった。入浴中に雨はますます強くなってきたので、三角形の編み笠を被って入浴を続けた。雨粒で跳ね返る温泉が目に入るのが煩わしかった。

 

いい湯だった

 

温泉に入り身体を暖めて気持ちよく湯上がりのビールを飲んでいると、12時になりレストランが開店した。まんまるアッコ、マドンナ紀美江、ポパイ吉原の3人は生ビールと稲庭うどんを食べに、ちびっこ小沢はカツカレーを食べにレストランへと向かった。1時間後に4人ともに満足の顔をして戻ってきた。4人のなかには再び乳白色の温泉に入る者もいた。

 

田沢湖駅で龍の歓迎を受ける

 

一方、喫茶スペースで飲んでいたでぶっちょ碓井、エンジニア小林、エイトマン岩井の3人は、ビールのあとは栗焼酎の4合瓶を買ってきて、水割りにしながら飲み続けたのだが、窓の外の雨の降り方は土砂降り状態となっていた。私たちが乗る予定の秋田新幹線「こまち30号」は、秋田から盛岡間が大雨のため運休とネットで表示された。田沢湖駅まで戻り在来線が動いていれば盛岡まで出て、新幹線で東京に向かうことにしたが、在来線も止まっていれば田沢湖で1泊である。いやはやなんともの今回の山旅である。こういうアクシデントがあると山旅は実に面白い。

 

田沢湖線で盛岡へ移動

 

大粒の雨のなかをバス停に移動し、休暇村14時48分発の田沢湖駅行きのバスに乗り田沢湖駅に着くと、在来線の田沢湖線が動いていたので盛岡駅に行き、盛岡駅から東北新幹線で東京に帰ることにした。秋田新幹線が運休となったため、在来線で盛岡駅に向かう人たちでローカル線の乗客はいっぱいだった。盛岡駅近くになると雨は峠を越したようで、車窓からは群青色の山波が眺められた。

 

東京駅行き「はやぶさ32号」に乗れた

 

盛岡駅で17時50分発の東京駅行き「はやぶさ32号」に乗ることが出来た。新幹線内では6人の対面座席にしてウイスキーの水割りを飲みながら今回の山旅の感想などを話し合っていたが、興が乗ると話し声が大きくなり周りの乗客に迷惑をかけたかもしれなかった。何はともあれ4泊5日の山旅は、事故もなく楽しい思い出が残ったことを喜ぶ7人だった。

 

山旅のお土産は「なまはげフィギア」

 

 秋田のお土産といえば、「いぶりがっこ」「稲庭うどん」「きりたんぽ」など多々あるが、今回の山旅のお土産は田沢湖駅で買い求めたご当地キャラ人気ナンバーワンの「なまはげフィギア」だったとなるのだが、このフィギアは田沢湖駅で撮った写真をエンジニア小林がチャットGTPで加工したものである。スマホの画面を見ながらものの数分でフェイク画像が出来てしまうのである。このことを知ったのも今回の山旅のお土産である。

 

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