富士山山開きの日に

 

三ツ峠山山頂

 

 7月1日は富士山の山開きである。その秀麗な姿を望む絶好の展望地の三ツ峠山に出かけた。東京駅八重洲南口バスターミナルから7時20分に発車する河口湖行きの乗客は13名。河口湖行バスに乗る乗客のほとんどは新宿バスターミナルを利用するので東京駅発は穴場なのである。

 

 中央高速道の都留を過ぎるあたりからバスの左側車窓に富士山が大きく見えだした。山頂に雲はなく雪もほとんど残っていないが、5合目あたりから下が雲で隠れていた。今日の山開きを山頂で迎えた登山者は素晴らしい御来光を目のあたりにしたであろうことが想像できた。

 

山頂部まで見渡せた富士の高嶺

 

 三ツ峠山は木無山、開運山、御巣鷹山の3つの山の総称である。バスで三ツ峠登山口まで行き、林道を歩いて15分ほどで登山口に到着した。ここからの登山道は裏登山道とされており、コースは木無山山頂を踏んでから開運山へと続いている。登山口から登り始めて青葉のしげる登山道を2時間歩き「三ツ峠山」の石碑が建つ開運山1785m山頂に到着した時、麓の河口湖では快晴の富士山頂が望めたのだが期待は裏切られ、周囲は真っ白の霧の中だった。あ〜ぁ残念!晴れていたら裾野を大きく拡げた雄大な富士が眺められるのだが、その光景は自らの想像に任せるほかなかったのである。

 

ミヤマオダマキ         アヤメ

 

山頂で晴れるのを待っても無駄と判断し、4時間歩いて天上山(カチカチ山)を通って河口湖までの山道を歩いた。出会った登山者は数えるほどしかいなかった。足元の赤く熟した木苺を食べ、ミヤマオダマキ、アヤメなどの高山植物を眺めながら長い府戸尾根を歩いていると、数千キロを旅するアサギマダラに出会った。アサギマダラのひらひらゆったり風にふかれたように舞う姿は独特のものだ。その場所からほど近くで今度は吹き上げてくる谷風に乗って、1匹、2匹、3匹、4匹とお互いが絡み合いながら舞い上がってくるアサギマダラに出会った。蝶は自由に舞っているように見えるが、飛ぶ道筋は決まっている。これらの蝶たちは最初に出会った場所まで飛び、尾根を西側から東側に越えていくのだろう。 

 

羽を休めるアサギマダラ

 

かよわく見えるアサギマダラのどこに数千キロも旅する力が秘めてあるのだろうか。まったく脱帽せざるを得ない。 頑張れ!旅する蝶!