雨と強風の南アルプス白峰三山縦走

 

霧の中で全く展望がない北岳山頂

 

 今年の夏は異常気象続きだった。7月中旬の梅雨明けから日本列島は九州から北海道までの全国で天候不順が続いた。九州や四国での集中豪雨被害、広島の土砂崩れによる死者数と行方不明者数は合わせて82名、東北地方や北海道での集中豪雨、礼文島では観測史上初の豪雨による土砂崩れによる死者、北アルプスでも集中豪雨による遭難が相次ぎ死者も出ている。そのような中で私たちMCC(ミーハー・クライミング・クラブ)は8月下旬に3泊4日で南アルプス白峰三山縦走登山に出かけた。今回のメンバーは7人。ポパイ吉原、ちびっこ小沢、独りよがり山本、エンジニア小林、デブトラマン碓井と息子のピンポン翔馬、それにエイトマン岩井であった。

 

 山行行程は甲府駅から広河原にバスで入り広河原山荘で1泊目、大樺沢を登り二俣から小太郎尾根に出て肩の小屋で休憩後に北岳山頂を踏んだ後に北岳山荘に下り2泊目、間ノ岳、西農鳥岳、農鳥岳の3000m峰を縦走し大門沢を下って大門沢小屋で3泊目、大門沢を更に下り奈良田温泉に下山し女帝の湯で汗を流した後はビールで乾杯、その後、身延に出て甲府に戻るというコースを設定した。ところが台風による土砂崩れによって広河原までバスが通らず身延を遠回りしてから広河原に入るように変更せざるを得なかった。ここでも異常気象の影響を感ぜざるをえないスタートであった。私が今回のコースを歩くのは3度目であり、吉原と碓井は2度目、他の4人は初めてのコースであった。

 

 山梨県の週間天気予報では3泊4日の行程中は曇りの予報が出ていたが、この予報は山行中に次々に悪い方へと変化し3日間ともレインウェアが離せない状況となり、結果として展望のない山旅となってしまった。天候ばかりは個人ではどうしようも対応できないことだが、3000mの大展望を期待して参加したメンバーには誠に残念なことであった。

強風濃霧の縦走路

 

 景色が望めないとなると残りは山小屋と食事と酒だが、今回の3泊4日行程を例年通り8月最終週に設定すると仕事に支障が出るメンバーが出たため1週間早める日程に変更した。この変更によって山小屋の宿泊状況は最悪の状態となってしまった。いわゆる夏山盛況の混み具合となり布団1枚に2名の割り当てになり、寝返りもままならぬ状態となったのだった。例年だと私たちの日程は夏山が終わり秋山までの狭間期に設定しているため余裕の空間で快適な山小屋生活が保障されていたのだが今回はいやはやの状態であった。食事については3泊目の大門沢小屋では全てボッカに頼っているため佃煮、甘露煮、漬物、卵、焼海苔などであることはしかたないことだが、ご飯も汁もお替りした1泊目の広河原山荘と2泊目の北岳山荘は比較的に良かったと思う。特に北岳山荘の鯖の味噌煮は素晴らしく美味かった。残りはアルコールだが縦走路が晴れておらずあまり汗をかかないため山荘到着後にビールの消費が少なくウイスキーへと手が伸びた。私たちのメンバーは山行参加条件として酒を飲む人はボトル1本持参が暗黙の了承となっており、今回も5人がウイスキーボトルをザックに忍ばせて参加していた。そのウイスキーを河原のせせらぎのなかで飲み、あるいは山小屋の広場のベンチに腰掛けながら飲み、下山後の温泉入浴後には全て飲みきってしまった。

 

酒を飲みながら翌年の山行をどこにするのか話し合うのだが、北アルプス・中央アルプス・南アルプスの代表的な山は既に登ってしまった。北海道・東北の山々でも良い山が沢山あるのだが避難小屋宿泊のため自分で寝袋と食料を担いでいかなくてはならないのがネックとなっている。検討した結果、来年の夏山は九州阿蘇山に決定した。

 

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