梅雨時の上高地は実に静かだ
嘉門次小屋の囲炉裏ばたで焼かれる岩魚
梅雨の季節は観光客も少なく静かな散策が楽しめると思い、先月に続いて上高地散策に出かけました。当初は上野駅発着のバスを予約しましたが、ツアー携行人数に満たないということで中止になった旨の連絡が旅行会社からメールで届いたため、新宿発の上高地ツアーを確認すると曜日は変わるものの催行決定となっていたので、旅行会社に連絡し新宿発に変更し上高地散策に出かけました。
今回の目的は嘉門次小屋で一杯飲むことでした。今回のツアーでは上高地に滞在する時間は3時間です。上高地バスターミナルから嘉門次小屋が建つ明神池までは梓川左岸を歩くと約50分、右岸を歩くと約60分の行程です。それに嘉門次小屋で休憩しながら一杯やるのに40分と見込んで散策スケジュールを立てました。
上高地に到着した時は穂高連峰の山頂部は雲に隠れ、空は時たま薄日が射す曇り空でした。早速、梓川左岸を明神に向かって歩き出しました。この小路は北アルプスの峰々への登山で何回となく歩いた道です。1ヶ月前は梢の葉もまばらでしたが、今回は周りの木々はすっかり緑に変わっていました。その中を行き交うハイカーも少なく、ゆったりした気持ちで明神に向かいます。ニリンソウの清楚の真っ白な花も時季を過ぎ全く見当たりません。予定通りに50分で明神に到着しました。嘉門次小屋に向かうために梓川に架かる明神橋を渡ると、橋下の河川敷に中学生の一団が休憩していました。どうやら修学旅行に来ていたようです。
明神池の畔に建つ嘉門次小屋ではいつも若者がテキパキ働いています。14番テーブルに席を取り、日本酒と岩魚の塩焼きを注文しました。横では嘉門次小屋の若者が岩魚の延髄を叩いて仮死状態にし、腹を捌いて串に刺す作業を行っていました。何度となく見ている作業ですが実に手際よく捌いています。暫くすると塩を振った岩魚が焼き上がってきました。その岩魚と蕗味噌を肴に、鶯、駒鳥、郭公などの美声を競う野鳥の共演と渓流のせせらぎに耳を傾けながら静かに杯を重ねるのは中々いいものです。これで今回の上高地散策の目的は達成できました。
上高地で野猿に出会う機会が増えた
バスターミナルへの帰路は梓川右岸の遊歩道を歩くことにしました。左岸に比べてハイカーの数も少なくより静かな時間を過ごせます。穂高連峰から流れてくる清流を幾筋も渡ると朱色も鮮やかなレンゲツツジが咲いているのに出会いました。緑の葉と朱色は補色関係にあるので朱色がよけいに目立ちます。そのレンゲツツジの花の脇で10頭ほどの野猿の群れが餌を食べながら移動して行きました。最近、上高地で野猿に度々出会うようになりました。1mほどの距離に近づいても逃げようとしません。野生動物が人間を恐れずに近づくことが日常的になって来るとペット化につながるので危険なことです。