の〜んびり散歩の上高地
5月8日、5月連休も終わり車の渋滞や観光客も少ないだろうと考え今シーズン2回目の上高地へ出かけた。思惑通り高速道路の渋滞もなく上高地での観光客も疎らでのんびりした休日となった。今回も大正池ホテルで下車し河童橋まで歩いた。半月前とは変わって自然研究路に雪はひとかけらも残ってはいなかった。歩きやすかった。雑木林にはあちらこちらで枯葉の下から芽を出した蕗の薹が花を咲かせているが、木々の芽吹きはまだ始まったばかりだ。
田代橋の直前で20頭ほどの野猿の群れに出会った。赤ちゃん猿を腹に抱えたお母さん猿の微笑ましい姿も見られた。彼ら彼女らは笹の葉や芽吹いたばかりの若芽をしきりに食べていた。当然のこと赤ちゃん猿はまだ若芽も食べられない。お母さん猿は赤ちゃん猿が飲む母乳の分まで必死になって植物をあさっている。カメラを向けると子どもを守るため母猿が威嚇する姿にも出会う。頼もしい母子愛だと思う。昨今、児童虐待が度々報道される人間界とは雲泥の違いだ。
梓川沿いを右岸に渡り上高地温泉ホテルの前までやって来ると六百山、三本槍、霞沢岳を眺めながら観光客の母娘がベンチで休んでいる。のどかな雰囲気だ。私は挨拶しながら母娘の横を通り抜け、日帰り入浴券を800円で購入し売店の女性に渡して風呂場へと上がっていく。
風呂場での先客は3人で、いずれも内風呂にいた。私は身体を簡単に洗ったあと露天風呂「焼の湯」に進んでいった。露天風呂に入っている客はいなかった。上高地温泉ホテルの露天風呂は夏山の下山時によく利用するが、夏季に比べて外気が冷えているせいかお湯が熱く感じる。今日の外気温は15度とのことだった。湯につかりのんびりした時間が流れる。脱衣場、浴場内での写真撮影はご遠慮下さいの張り紙があったが、露天風呂の客は私ひとりなのでセルフタイマーで写真撮影をした。丁度、雨天時に利用する菅笠が置かれていたので、それを借用しての写真となった。樽風呂も設置されていたので入ってみた。こちらのお湯は鉄分を含んでいるとのことで湯の色が薄い茶色だ。飲んでみると確かに鉄の味がした。
湯上りは当然ビールである。売店で缶ビールを買い、母娘が座っていた梓川堤防のベンチで六百山、三本槍、霞沢岳を眺めながら喉元を湿らす。最高にいい気分だ。一番右に位置する霞沢岳は徳本峠から往復7時間かかり、縦走は出来ないため登る人は殆んどいない。そのため静かな山旅が出来る山である。私が霞沢岳に登ったのは2010年10月だった。往復7時間の行程で出会った登山者は3人という実に静かな山旅だったことを思い出す。すでに13時を過ぎていたのでコンビニで買ってきたオニギリをザックから出し昼食とした。修学旅行の女子学生グループが挨拶しながら目の前を通り過ぎる。女子生徒に比べ男子生徒のグループは挨拶なしだ。次にやって来た女子生徒グループも元気に挨拶をしながら通り過ぎて行った。このぐらいの年代は男子の方がシャイなのかな。