紅葉真っ盛りの上高地を楽しむ
紅葉の明神岳をバックに
10月の体育の日を過ぎると天候は秋雨前線に刺激され雨模様の日々が続きましたが、日帰り上高地ハイキングを申し込んでいた10月18日だけは晴れました。晴れの1日に4時間半の上高地散策を楽しむことができ実にラッキーでした。集合場所の東京都庁駐車場には3台の観光バスが待機しており、私が乗ったのは2号車でした。
前日までの雨が止み、新宿を出発する時は雲一つない晴れ上がった空でした。中央高速道路は全く渋滞もなくスムースに上高地に到着しました。散策時間が長かったので大正池で下車し田代湿原を歩き、河童橋を通り明神の嘉門次小屋まで歩き、そこで折り返すコースを選択しました。白樺の黄色の葉は既に散りかけていましたが、草紅葉は今が盛りという状況でした。早春の上高地にも毎年訪れていますが、日本には四季があっていいと実感します。
当日は平日の水曜日でしたが沢山の観光客が散策していました。観光客の中から特に耳に届くのは中国語でした。日本人の場合、散策中はあまり話しながら歩きません。話しても周りの人たちのことを考えて小さな声で話しますが、中国人の彼ら彼女らはいつも大声で何かを話しています。その声が耳に届いてくるのです。静かな秋景色を楽しみながら散策しようという思いは打ち砕かれてしまうのが実情でした。
大賑わいの河童橋を通過し静かな岳沢湿原を通り嘉門次小屋に到着しました。歩いてくる途中の楓の葉が黄色や赤に色付いていましたが大半は既に散っていました。嘉門次小屋前のテーブルもお客さんでいっぱいの状態です。いつものように岩魚の塩焼きを頼みましたが、30分の待ち時間と言われましたので、その後のスケジュールを考えて残念ながら諦めて缶ビールだけにしました。
嘉門次小屋からの帰り道は明神館の前に出て梓川左岸を歩くコースを選びました。梓川を明神橋で渡った林の中で足元に山鳩(キジバト)が餌を啄んでいました。首のところの羽毛が成鳥ではなく若鳥でした。私がいることに全く気が付いていないために手を伸ばして捕まえ、スーパーの袋に入れ帰宅後に酒の肴にすることに決めました。
捕まえた山鳩
今回も梓川沿いをそぞろ歩きしながら川柳が4つできました。
落葉松の落ち葉を見ながら
・みぎひだり 別れ悲しき 松葉かな
上空を飛ぶヘリコプターを見上げて
・聞こえ来る
ヘリコプター音 遭難か
岩魚の泳ぐ姿を見て
・岩魚みる
清き流れの 梓川
バスの前を堂々と歩く猿の群れを見て
・上高地 我がもの顔の 野猿たち
今年の6月・7月は全く雨が降らない空梅雨で、8月に入ると逆に連日の雨で気象庁始まって以来の長雨となり、10月に入ると異常高温の次は再び雨模様の日が続くというように、全く例年とは異なる天候が続きました。上高地の落葉松の黄葉も心なしかいつもの輝く黄色ではなく、くすんだ黄色に感じられました。
大正池から望む穂高連峰
梓川の畔では緩やかに泳ぎながらマガモが餌を食み、水中では岩魚がゆったりと泳ぐ姿を眺めながら歩いてきたハイキング最後の締めは、小梨平キャンプ場内にある「小梨の湯」にゆったりと入り、歩いてきたコースを頭の中で振り返ることでした。
風呂上がりは観光客の姿も少なくなった河童橋のたもとのベンチに座り、岳沢を囲むように屹立する穂高連峰を肴に一献かたむけることでした。静かに飲む酒は心地よい酔いをもたらせてくれました。