富士山の展望台・石割山へ

 

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石割山山頂から富士山は見えなかった

 

 10月28日 曇り

雪化粧した富士山の姿を見るために、山中湖の北側に連なる石割山・平尾山・太平山・長池山の縦走に出かけた。高速バスが新宿を出る時には青空だったが、徐々に曇りだし山中湖に到着した時は、富士山の裾野が微かに見える程度で、本体は厚い雲の中に閉ざされていた。

 

壁に掛けられた看板

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石割神社登山口

 

山中湖平野バス停から石割山に向けて出発した。気温は10℃だった。紅葉に彩られた山が前方に見えた。バス停から5分ほど歩くと石割神社の大きな石柱が立っており、ここが石割山登山口である。周りの木々は黄色あるいは朱色に色づき始めていた。落葉がひらひらと散っていく中を歩いて行った。

 

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石割神社の神橋を渡り赤い鳥居をくぐった

 

石割神社の参道に着いた。神橋を渡り赤い鳥居をくぐった。目の前に長い石の階段が続いていた。途中まで階段を上ると急傾斜となったために手すりが出てきた。先の見えない長い階段を一歩一歩登っていった。額に汗が滲んだ。結構強烈な階段は、中ほどまで上がると、更に傾斜が増してきた。途中で降りてきた黄色いジャンパーの男性と挨拶すると、「いやきついですね。この階段は」と私の心を読んだような男性の言葉だった。本当にきつい階段である。汗が滲んできて、額から落ちるようになった。

 

森の中の橋

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長い長い石段が続く

 

長い石の階段を上りホッとする気持ちを打ち砕くように、階段はさらに90度曲がって、再び長い階段が登場した。これには詐欺に引っかかったような気持ちだった。その階段を上ったところに休憩所が建っていた。流れる汗を拭いていると、単独の女性登山者が私を抜いていった。50歳くらいと思われた。登山道に覆い被さる木の葉は黄色の度合いが増していった。ここから1時間ほど登れば石割山山頂である。登山道は整備されいて広く歩きやすかった。元気な若い登山者が挨拶をしながら下っていった。

 

森の中の岩

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登山道脇にあった注連縄が張られた割り石

 

黄色に色づく登山道を歩いていくと、大小の石が現れ注連縄が張ってあった。大きい石をよく見ると、真ん中から2つに割れていた。これも石割神社に関連しているのだろうか。登るにつれて木々の葉の色づきは、黄色やオレンジ色が増々増していくのが感じられた。登山道にも落ち葉が積もるようになってきた。

 

森の中のベンチ

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石割神社の御神木の桂

 

クマザサの中の登山道を登っていくと、石割神社の上り口に桂の御神木というのが立っていた。説明板には「桂の巨樹は日本で非常に珍しく、地元民からは御神木として崇められています」とのことだった。桂の葉はハート形をしており、黄色く色づいた可愛い葉が樹の周り一面に落ちていた。

 

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御神体の巨石と石割神社

 

やがて石割神社に到着した。神社では今の拝殿の横に2人の大工が新しい建物を建てている最中だった。神社の右手に大きな石があり、真っふたつに割れていた。石の高さは10mほどだろうか。苔むした巨石には太い注連縄が張られていた。御神体の巨石が割れているので石割神社と名前が付いたのだろう。巨石の割れ目を潜ることができるらしく、「順路」という表示が目についた。

 

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石の割れ目から出てきた登山者

 

順路に沿って登っていくと、割れている隙間が狭くてザックを背負ったままでは通り抜けることができなかった。仕方ないので片手にザックを吊るし、やっとのことで割れ目をくぐり抜けた。足元は階段状になって幅が狭く、体が太っている人はくぐり抜けることができないだろう。3回通るといいことがある、などと言って女性単独登山者が3回まわっていた。私は1回で止めてひと休みし、石割山山頂に向かって登山を再開した。

 

壁に掛けられた看板

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石割山山頂に着いたが、富士山は雲の中

 

木の根を掴んで登るような急登を越えて石割山山頂に着いた。山頂からの景色は、本来ならば見下ろした山中湖の向こう側に富士山が見えるのだが、山中湖はうっすらと見えているものの、富士山は全く雲の中である。晴れた場合の写真看板を2人のハイカーが眺めていた。女性単独登山者が行動食のゼリーを食べ終わるのを待って、山梨県百名山・石割山1423mと書かれた山頂標識と一緒にスマホのシャッターを押してもらった。私も行動食のソーセージ、バナナ、あんこ餅を食べ、プロテインを飲んだ。10分休憩し、次の平尾山へ向かった。

 

森の中を歩いている

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落ち葉の積もる登山道は歩きやすかった

 

落ち葉の積もる登山道はふわふわして歩きやすかった。登山道の横には鹿よけの柵が張り巡らされているところもあった。その網には「鹿が侵入して植した樹を食べてしまうことを防ぎ、健全な森林を育成するために、植生保護柵を設置しました。柵の保護にご協力お願いします。鹿が柵内に侵入していたり、柵の破損に気づかれた方は下記にご連絡ください。山梨県吉田林務事務所」と書かれていた。鹿の被害は甚大である。増えすぎた鹿は、罠や猟銃で捕獲しなければならない。

 

ススキが生い茂る平尾山山頂

 

ススキが生い茂る平尾山山頂に着いた。年配の夫婦にシャッターをお願いしたところ、女性の方が快くシャッターを押してくれた。返礼に「おふたりの写真を撮りましょう」と提案すると、男性は「いいよ」と言ったが、女性が「たまには一緒に写真を撮りましょうよ」と夫を引っ張ってきて、2人で平尾山山頂標識の横で仲よく写真に収まったのである。仲よきことは美しきかな。平尾山山頂から次の大平山に向けて、登山道は急激に下っていった。正面には傾斜のきつい斜面に別荘がいくつも建っているのが見えた。

 

丘の上に置かれている

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太平山に向かうススキの中の登山道

 

平尾山山頂から急激な階段を下ってきて鞍部に降り立つと、登山道は別荘地の上を通るため、長い木の登りの階段が設置されていた。この登山道は東海自然歩道に指定されており、歩きやすいように登山道が整備されているものと思われた。登山道には枯れ葉がうず高く積まれていた。その登山道を荒い息を吐きながら一歩一歩登っていった。右の林の中から騒がしいガビチョウの大きな鳴き声が耳に届いた。実にガチャガチャする騒がしい鳴き声だ。

 

草の上に雲のある空

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太平山山頂からも富士山は雲の中だった

 

濃いピンクの花が咲き、実がたくさんなっているマユミの木があった。周りの木々が葉を落としているので、濃いピンクがとても印象的だ。ススキの白い穂が大量に出ている登山道を歩き大平山山頂に着いた。正面に富士山が見えるはずだが、まったく雲の中だ。大平山山頂に2基建っているアンテナは、テレビ中継用のアンテナだった。山頂からは山中湖の全体を見下ろすことができた。ワカサギを釣っているのであろうか、幌舟が湖面に浮かんでいた。

 

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毎週水曜日はイノシシ・シカの捕獲中

 

長池山に向かうと登山道の脇には、イノシシが餌を探すために掘り返した跡がいたるところに見られるようになった。毎週水曜日はシカとイノシシを捕獲するようになっているらしい、猟友会の黄色の看板が表示されていた。それほどイノシシやシカが多数繁殖しているのだろう。大平山から下って行くのにも長い丸太の階段を降りて行かねばならなかった。登山道の保護とはわかっていても、長く続く階段は足腰に負担がかかり、げんなりしてしまう。やはり靴裏にクッションが伝わってくる落ち葉の登山道が素晴らしいと改めて思う。

 

木の幹

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調査中のクヌギ

 

大きなクヌギが枝分かれして立っていた。その周りに白い布のようなものが一本一本にかぶせられており、布には「調査中ですから剥がさないでください」という字が書かれていた。クヌギの木は枯れかかっており、おそらく木を枯らす害虫を調査しているのではないか、と思われた。男女ペアの登山者とすれ違った。今回の山行は金曜日なのだが、紅葉を楽しむハイカーとすれ違うことが多い。

 

フェンスに囲まれている建物

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長池山山頂の無線設備

 

長池山山頂に到着したのは予定通りの時刻だった。山頂にはアンテナが1本立ち、無線設備のようなコンテナが4個建っていた。稼働中設備の空調用のモーター音が外に漏れ出していた。山頂にはススキが生い茂り、山頂標柱は見当たらなかった。山頂から降り出すと、ここも木の階段となっているのだが、その階段は随分古いようで苔がついていた。階段は歩きにくいので、脇に登山者が歩く細い道がついていた。

 

草の上に置かれた花

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トリカブトの花

 

登山道から突然舗装道路に出た。このまま山道を歩いて下る道はないのだろうかと探すと、ピンクのテープが目に付いた。これだろうと思って降りていくと、道は杉林の中で消えてしまった。カケスが嘲笑うようにジャージャー鳴いていた。地図を確認すると間違っていることが分かったので舗装道路まで戻った。再度登山ルートを確認すると、舗装道路を山中湖畔まで降りることがわかった。のんびりと舗装道路を歩いて山中湖まで降りた。

 

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山中湖に白鳥がやってきた

 

バス停に向かうため山中湖畔を歩いていると3羽の白鳥が岸辺に来ていた。世話人が餌をやっているようで、観光客が写真を撮っていた。餌をやっている人が言うには「今朝は雨が降っていて富士山は全く見えなかった。裾の方が見えだしたのはラッキーなことだよ。明日は分からないなぁ」などと話していた。予定通りバス停に着いた。バスを待っている間に空を見上げると青空が広がっていた。明日の天気は良くなる予感がした。

 

マップ

自動的に生成された説明グラフ, 折れ線グラフ

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今回の石割山縦走登山データ

 

 今回は雪化粧をした富士山の姿を見るために計画した山行だったが、富士山は雲の中に姿を隠し見ることが出来なかった。しかし、河口湖畔に宿をとったために、日没後に大石公園から雲の中から姿を現した富士山に出会うことが出来た。更に翌朝は30m先も見えない濃霧だったが、霧が消えると30分間だけ青空のもとで雪化粧した凛々しい富士山に出会うことが出来た。30分後に再び富士山は雲のなかへと姿を消したのだった。山頂からの富士山を眺めることはできなかったものの、河口湖畔から5合目まで雪化粧した姿が見えたので満足の山旅だった。

 

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