台風22号の直撃前夜

台風22号、接近の伊豆諸島は最大級の警戒を
10月7日 火曜日 曇りのち雨 台風接近 八丈島2日目
底土キャンプ場は海のそばに造られている。寄せては返す漣のような潮騒ならば快いBGMだろうが、海が荒れ強風が吹いているために一晩中ザザザ〜・ドバ〜ンという大きな音が途切れることはなかった。昨日のうちに芝生の上から頑丈な東屋のなかにテントを移していたので、雨が降りだし風に叩かれても被害はなかった。

打ち寄せる波も堤防を乗り越える状況だった
7時を過ぎると雨は上がったが風は相変わらず強く、港に打ち寄せる波も堤防を乗り越える状況だった。果たして迎えの船は桟橋に着岸できるのだろうか? フェリーターミナルは8時30分から開くので、とりあえずテントをたたみ乗船準備をしてターミナルに行くことにした。

テントをシャワー棟の更衣室に移した
7時30分に町の防災無線で今日の定期船は欠航になったと放送があった。昨夜竹芝桟橋を出航した定期船『橘丸』は、八丈島底土港桟橋の波が高くて着岸できないために、三宅島でUターンして竹芝桟橋に戻ってしまったのだ。昨日乗船予定を前倒しに変更したのだが、船が欠航して東京へ帰れなくなってしまった。残念だが仕方がない。雨の降っていない時に歩いて15分の商店に行き、缶ビール500mlを6本と島焼酎1本と缶詰、ラーメンを買いたした。さらに強烈な台風の襲来に備えて東屋内にあったテントを、非常事態のためシャワー棟内の更衣室に移した。本来ならば東屋内や更衣室内でのテント設営は禁止されているのだが仕方がない。ここならば風雨に対して万全だろう。

町立『樫立向里ふれあいの湯』に出かけた
テントを移動し温泉入浴準備も整ったところでフェリーターミナルに出かけ、バス通過時刻までスマホと予備バッテリーの充電をした。やがて島内巡回バスに乗って八丈町立『樫立向里ふれあいの湯』に出かけた。バス運転手が島内バス乗り降り自由で3箇所ある町立温泉の入場券がついた1000円のフリーパスを勧めてくれた。ふれあいの湯は少し濁ったナトリウム塩化物強塩泉なので口に含むと塩味がした。源泉温度は58℃という表示が玄関に掲げられていた。

樫立向里ふれあいの湯
温泉に入り身体がポカポカいい気持ちでキャンプ場に戻ると、キャンプ場を管理している観光案内所からの着信通知が入っていたので連絡すると、「強力台風22号がやってくるので、明日8日と明後日9日はキャンプ場を閉鎖します」とのことだった。今晩まではキャンプ場の使用は可能だが、台風が迫るなかで明日は出ていかなければならない。いろいろ起こるけれど、すぐにキャンプ場の近くの宿に連絡を入れて、明日からの宿泊予約を取った。

民芸店が経営する『やましたのお宿』
宿に電話を入れた際に、「現在、キャンプ場でテント生活をしているが、台風の接近でキャンプ場が閉鎖されるため、明日午前中に退去しなければならない」ことを伝えると、「大変なことですね。9時前に掃除が終わるので9時過ぎから入れるようにしておきます」と暖かい返事をいただいた。「地獄に仏」とはこのことである。素泊まりで1泊7000円だったが、宿が取れてホッとしたところで更衣室での宴会のスタートだった。じたばたせずに状況を正確に捉えるなかで、あまり深刻に考えずにやっていこう。

キャンプ場は私と外国人夫婦の2組だけだった
外は風も雨もますます強くなってきていた。こういう体験もなかなか得がたいものだ。いい気持ちで飲んでいると、私と同じ6日からテントを張っていた外国人夫婦の夫がシャワーを浴びにやってきた。私が更衣室でいっぱいやっていたので、相当びっくりしたようだった。私が温泉から戻ってきた時に、外国人夫婦のテントがなかったので、既に帰ったと想っていたところ、外国人夫婦は台風襲来のために私が今朝退去した東屋内にテントを移したのだという。それにしても外国人はシャワーが好きなようだ。

台風が近づき誰もいないキャンプ場
私がいる底土キャンプ場は八丈島の東側にある三根地区に位置しているが、西側の大賀郷地区では16時より海岸線道路が次々に封鎖されている。町の防災無線が明日の定期船も欠航になった、と伝えた。これから八丈島に台風はやってくるのだから、この風と波では当然だろう。こちらとしては早く台風が過ぎ去ってくれるのを待つだけである。

深い眠りに落ちていった
キュウリのピリ辛漬け、ソーセージ、チーズ、柿ピーをツマミに500ml缶を2本飲んだあと、島焼酎を5-5割りにして飲みながらカレー味噌ラーメンを腹に収めると、身体全体がポカポカしてきた。さらに焼酎の水割を飲んでいると眠気が襲ってきたので、18時にテントのなかに潜り込んだ。外は風と雨の音が強くなっていたが、今日も色々あったけれど満足な1日だった。ま、こんなこともあるさ。
10月8日 水曜日 台風接近 八丈島3日目
昨夜は20時に目が覚めた。将棋の藤井聡太と伊藤匠の王座戦の第4戦が気になっていたので、AMEBAテレビをつけると既に勝負は終わり藤井聡太の勝利だった。これで2勝2敗のタイになったので次の最終第5戦が楽しみとなった。

シャワー棟の更衣室は快適な場所だった
次に目が覚めたのは早朝4時だった。8時間ぐっすり眠ったことになった。小用でトイレに起きると、風は止み雨も落ちていなかった。雷鳴で目が覚めたのは5時だった。雷鳴は間欠的に続いており、風も雨も強くなっているようだった。しかしこのシャワー棟の板張りの更衣室は風雨に耐えられるので快適な場所だった。非常事態なので更衣室を使わせてもらっていたが、ここを出て行かなければならないのは残念なことだが、キャンプ場を管理する観光案内所の責任として、安全面からキャンプ場を閉鎖するというのは正当な判断だと想う。

宿に入った

手前にフローリングがある8畳の和室だった
宿のチェックインは通常は14時からだったが、非常事態のため9時からにしていただき、ありがたかった。宿は白いコンクリート製の3階建てで、フロントの受付は昨日電話に出た男性だった。私の部屋は2階で手前にフローリングがある8畳の和室だった。これでどんな強力台風が来ても万全だ。台風のため明日は公共施設も休むとのことだ。町の防災無線が度々厳重注意を繰り返し、テレビでは気象庁が臨時会見し、今まで経験したことのない大型台風なので厳重な注意を呼びかけ、最大瞬間風速は70mという放送を流していた。

再び、樫立向里温泉ふれあいの湯へ
空からは薄日が差しており、宿の近くから11時50分の末吉行き島内巡回バスに乗り、途中でバスを乗り換えて昨日に続いて『樫立向里温泉ふれあいの湯』に向かった。この温泉は町立なので入浴料が300円と安く、たくさんの方々が湯を浴びに来ている。明日は強力台風がやってくるのだが、町民は普段と変わらない生活パターンで、風速70mが話題になっていた。

館内は禁酒・禁煙です
10畳の休憩室があるが館内は禁酒・禁煙である。テーブルに置かれた温泉案内には八丈町福祉健康課とあるので、「健康のためには禁酒・禁煙」がいいのだろう。八丈島には『樫立向里温泉ふれあいの湯』の他に2箇所の町立温泉があるのだが、2つともに更に南部の中之郷地区と末吉地区にあるので、今回は台風が来ていることもあって昨日と同じ温泉にして、次回の東山(三原山)登山で再び八丈島を訪れたときに2つの湯を浴びることにした。外では風は止まり青空が見え、白い雲が出ていたのは、嵐の前の静けさなのだろう。バスのなかから西側海岸が見えるところがある。運転手が「海は静かで風は吹いていないけれど、うねりがすごいでしょ。うねりは横から見ると3mの高さですよ」と言った。確かにうねりに伴う海岸に押し寄せる白波が凄い勢いだった。

八丈島で最大のスーパーにいった
手持ち無沙汰なので今月10月1日にリニューアルオープンしたばかりの歴史民俗資料館を見学しようと想ったが、バス運転手に降車バス停を告げると「13時から休館になった」と伝えられた。バスを三根出張所で下車し、スーパー雨森商店で島寿司を買いたいと思ったが、生鮮食料品は殆ど品切れで島寿司もなかった。レジ係の方に「島寿司はどこで買えますか?」尋ねたところ、八丈スーパーを教えていただいた。

島寿司は美味い
雨森商店から歩いて10分ほどで八丈島最大のスーパーに着き、食料品コーナーでヒラマサの島寿司とピリ辛ナス漬けを買った。スーパーの駐車場は食料品を求める人たちの車で満杯だった。やっぱり島の人たちも食料確保に必死のようだった。キャンプ場の近くには生ものを扱う商店がなかったので、生ものを食べられなかった。島寿司は漬け寿司だが、久しぶりに生ものが食べられるので嬉しかった。宿に戻って早速乾杯だった。

大変なことになった八丈島
八丈島は大変なことになった。町の防災無線によると、明日は小中高等学校、保育園、島内巡回バス、郵便局、町役場・各出張所、公民館、博物館、町立温泉など、あらゆる公共機関が停止するという。船も飛行機も止まる。町立病院も外来は休診する。避難所を島内の地区ごとに5箇所設置するようで、島民は只々台風が過ぎ去るのを待つようだ。私は酒と食料を買い込んだので飲み放題だが、今回はとんでもない体験をすることになった。

島内は緊迫さを増していた
15時30分 空は曇っているが全く無風状態である。
16時10分 今回の台風22号で特別警報が出されるかもしれない、とニュースが伝えている。伊勢湾台風や東日本大震災に匹敵する特別体制とのことだ。
16時50分 暴風高波に最大級警報という台風の『特別警報』が発せられた、と町の防災無線が流れた。テレビも同じことを報じた。窓の外は全く無風であるが、これから強烈な台風がやってくるのだろう。
17時35分 外は暗くなり全く見えないが、風は止まっているように感じた。念のために窓を開けても全くの無風状態だった。テレビは伊豆諸島に最大限の注意を呼びかけていた。私は旅人なので島寿司を食べたあと、焼酎を飲みながらカレーラーメンに移ったが、島民の台風に備えた対応からすれば気楽なものだ。
17時45分 ANAの飛行機が着陸する音が聞こえた。羽田と八丈島を結んでいる便は1日3便あり料金は26850円である。前日までに予約すれば19840円だが、忙しい人は飛行機を利用するのだろう。私は時間に余裕があるので半額以下の定期船の9850円で八丈島に来ている。しかし台風22号が去っても、すぐに23号が伊豆諸島を直撃するようで、台風余波のうねりの関係で12日までに幕張に帰れなければ、13日は熱海花火大会の予定が入っているので、船をキャンセルして飛行機で帰ろうと想う。定期船は東京から八丈島まで10時間であるが、飛行機は50分である。

大型台風22号が迫っていた
18時18分 防災無線から明日のゴミ収集は中止する、という放送が流れた。
18時35分 防災無線から明日は断水する可能性があるので、十分な水の確保をお願いします、と流れた。私も念のために空きとなった島焼酎瓶、宿のポット、ジェットボイルに水を確保した。今晩中は度々防災無線が流されるだろうが、担当者はご苦労なことである。
19時00分 NHK放送によると、最大瞬間風速70mは時速に換算すると250kmで、新幹線のスピードに該当するという。いやはや凄い台風が来るものだ。伊豆諸島、八丈島、青ヶ島村には暴風波浪特別警報が発出されている。私は2箇所のスーパーを訪れたが、定期船が運行されていないので食料品が枯渇してきているようで、いずれも食料品コーナーは品薄状態で空っぽのところもあった。
19時15分 今まで聞いたことがないヒョーという吠えるような風の音が聞こえてきた。これから風がますます強まっていくのだろう。今回の台風22号は雨よりも風が強力だと伝えている。
20時00分 眠くなったので床につく。明日は強力台風が直撃するので、読書やテレビで静かにしていよう。この時点では分からなかったが翌朝目が覚めると、とんでもないことが身に降りかかってきていたのだった。