快晴、絶好調の済州島ハンラサン(漢拏山)登山
2010年4月22日〜25日の3泊4日の日程で済州島のハンラサン(漢拏山)登山に出かけました。ハンラサンは韓国一の標高1950mの山でユネスコ世界自然遺産に登録されている山です。
到着した22日はホテル近場の散策とNANTA(乱打)鑑賞です。私は2度目の鑑賞でしたが、NANTAという劇は一見の価値ある素晴らしい藝術だと思います。劇の内容は、結婚式料理の準備中にマネージャーの甥っ子が厨房にやってきたときに生じるドタバタ劇ですが、厨房にある様々な道具を使ったパフォーマンスは素晴らしく、特に包丁を使ったドラミングは凄いの一言です。日本を出発する前にインターネットでVIP席を予約しeチケットを印刷して行きました。入場料金は3300円でした。
ハンラサン登山は23日と24日の2日間、コースを変えて登りました。
1日目はコースタイム3時間30分の足慣らし半日トレッキングでした。ハンラサン西側にある御里牧登山口から入山し南西の霊室登山口に下山しました。先月、家族旅行に済州島を訪れた際に世界自然遺産の一つとして漢拏山観光が繰りこまれており、その折に訪ねた場所が御里牧登山口にある「漢拏山自然館」でした。今回は御里牧登山口まではホテルからタクシーを頼みました。乗車時間30分で料金1000円くらいだったと思います。このコースは1700mのウィッセオルム休憩所までしか登ることができません。登山道は整備し過ぎている感じをうけます。常にロープが両側に張られており、たとえ霧に巻かれても道を迷うことはないと思われます。クヌギ林を抜けると熊笹が覆う広々とした高原で、とても気持ちよく歩くことが出来ました。ウィッセオルム休憩所から頂上までのコースは現在封鎖されています。休憩所からはどっしりした饅頭形の北西壁が望め、漢拏山の紹介写真に登場する場所でした。休憩所でホテル近くのコンビニで買ったオニギリと休憩所で販売していたカップラーメンを食べました。韓国のカップラーメンなのでスープが辛めでしたが、冷えた身体によく沁みこみ胃だけでなく心も温かくなりました。ラーメンの値段は130円でした。
下山は霊室登山口に向かいました。途中には岸壁や岩塔、あるいは滝が現れました。北側に谷沿いには残雪が見受けられました。周りの木々はまだ芽吹いておらず山全体が薄茶色に包まれています。私たちは霊室登山口から登ってくる登山者とすれちがって下山していくわけですが、来ている登山服の色が男女で明確に色分けされています。男性は黒、青、灰色系です。女性は赤、朱、桃色系です。反対の色を着ている登山者を見かけません。私たち二人はともに赤の上下のウインドブレーカーを着こんでいました。これもお国柄ですね。霊室登山口には11時30分に下山し、入山時のタクシーに12時予定の迎えを頼んでおいたので、そのまま総合レジャーランドである「大侑ランド」に向かいました。向かった目的は38口径のリボルバー実弾射撃を体験です。私は拳銃の実弾射撃は初めての体験でしたが思ったより手への衝撃は軽いものでした。標的は前後に移動できる20cm位の的です。初体験なので的は前方5mほどの距離に設定されました。実弾射撃は回転式6発の弾倉で2回体験できるのであわせて12発を撃ち3500円です。120点満点で59点でした。照準の合わせ方がよく分からず発射された弾は標的の下側に集中していました。今回の体験で実弾射撃のコツは掴めたので次回はもっと距離が離れた的の中心を打ち抜くことができると思いました。
昼食はキジのしゃぶしゃぶを食べながらビールと焼酎を飲みました。キジ肉は初めて食べましたがさっぱりした味で美味かったです。昼食後は島の南側観光です。最初は天地淵瀑布に行きました。静かな公園の奥に2本の滝が落ちていました。日本の観光客には会いませんでしたが韓国の家族連れが沢山いました。その後、海に落ちる正房瀑布を観に行きました。先月も訪れましたが見上げる滝は見事のものでした。海岸で海女さんが獲ったばかりの貝類を刺身にして食べさせてくれるので焼酎を飲みながらアワビ、サザエ、ナマコ、ホヤ、タコに舌鼓をうちました。刺身は一皿2000円で焼酎は一瓶300円でした。真っ青な透き通った静かな海に海女さんが潜って貝を獲っているのを眺めながら、ゆったりした気分は最高でした。
2日目は9時間を越えるロングコースです。
前日と同じにホテルからタクシーでハンラサン北側の観音寺登山口に向かい、そこから入山し1950mの頂上を経由して城板岳登山口に下山しました。登山道は耽羅渓谷に沿うかたちで高度を上げていきました。まだ芽吹いていない静かなクヌギ林の登山道に時折シジュウカラやウグイスの鳴き声が聞こえてきます。登山者も数えるほどしか会いません。途中、耽羅渓谷に架かる橋を渡り急激な階段を登りきったところに避難小屋がありました。耽羅渓谷避難小屋と呼ばれているものでしたが2ヶ所ある扉に鍵がかかっており中には入れませんでした。昔の登山道は耽羅渓流まで降りて対岸に渡るものでしたが、たびたび大水で渡れないときに避難小屋で水が引くのを待ったわけですが、現在は立派な橋が架けられたので避難小屋の必要性がなくなったようです。小屋の裏に回ると「淑夫人梁氏之墓」という墓標が立ち、綺麗に手入れの行き届いた円墳がありました。私の名前と同じ「淑」という文字が彫られていたのでハッとしましたが、「淑」という文字本来の意味は「しとやか」、「徳のあり善良」、「美しい女性。美人」という意味を持つっているので、そのような女性の墓なのだろうと想像しました。クヌギ林が赤松林へと変わり、その赤松林を抜けると三角峰が視界に登場し、その三角峰の元に移設新築された立派な竜鎮閣退避所が建っていました。この休憩所からは昔は狼煙台となった王冠陵と漢拏山山頂の北壁が遠望できます。ここからのコースはいままでの林の中のコースとは異なり漢拏山山頂の北壁を仰ぎ見ながらの明るい気持ちの良いコースです。
竜鎮閣退避所から急激に谷底まで降りていくと耽羅渓谷に立派な鉄の吊り橋が架けられていました。竜鎮閣退避所でも感じましたが、この吊り橋も同じ時期に建設したばかりの新しさを感じました。吊り橋を渡ったところで旧登山道と合流し、テラスだけが残っている旧竜鎮閣退避所跡に突きました。ここから仰ぎ見る漢拏山北壁はアルペンムードたっぷりで素晴らしい眺めです。と同時にあまりにも厳しい登りに感じられるので、どのようなルートで山頂に到達するのか判りませんでした。登山道は北壁に向かうのではなく左に回り込むルートになっていました。漢拏山山頂には思ったより簡単に到着してしまいました。特に竜鎮閣避難所跡からの登山道は階段の連続で高度を稼ぐには都合がいいのですが、単調なために嫌気が差す登りでした。山頂には予定より1時間も早く到着してしまったため登山者も疎らでしたが、30分の昼食時間が終わるころは城板岳コースから次々に登ってくる人たちで溢れかえるようです。山頂には白鹿譚と呼ばれている碧色の水をたたえた火山湖が望めました。水は少なかったです。以前は噴火壁のお鉢廻りができたのですが現在は危険地域として柵が設けられて歩行が禁止されています。山頂まで登ってきた観音寺コースは登山者も数えるほどで静かな山旅を楽しめましたが、頂上から下山に選んだ城板岳コースは雲ひとつない快晴の土曜日とあって物凄い登山者数でした。山頂から1時間下ったところにある「つつじ畑休憩所」も人でごったがえしていました。登山シーズン前にもかかわらず凄い人数なので、5月のツツジやシャクナゲの咲くシーズンがおもいやられます。城板岳登山口に降りる登山道は石ころだらけで歩きづらい道でした。城板岳登山口には済州市と西帰浦市を結ぶ道路があり、済州市内へは10分ごとに市外バスが走っているのでこれを利用しました。バスターミナルまで30分で料金は150円です。済州島の交通はバスかタクシーですが日本に比べてとても安いと思います。
今回の旅行はツアー会社に頼らず登山コースもNANTA鑑賞も観光タクシーも全て自前で計画しツアー会社より半額料金で楽しむことができました。