いわきの岩峰「二ツ箭山」に登る

 

早春の岩峰(左:男体山、右:女体山)

 

 今年のゴールデンウィークは4月30日、5月1日に年休を取得し8連休とした。5月1日は福島県いわき市にあり、岩峰で有名な「二ツ箭山」に登ることにした。難しい山名だが「ふたつやさん」と読む。標高は709mと高くはないが、男体山、女体山という岩峰が聳えている。その岩峰に鎖を頼りに登るのである。

 

 『毎日新聞旅行・山の旅』の中から二ツ箭山登山を見つけ出し週間天気予報で登山日の天候を確認し登山申し込みを行った。が、既に申込者は22名の定員満杯でキャンセル待ち1番との連絡が入った。しかし翌日にキャンセル者が出ましたので手続きをとってください、と連絡が入ったので、参加料金の9500円を振り込んだ。

 

 福島県いわき市にある「二ツ箭山」の登山口までは車で行く。JRで行った場合は、いわき駅からバスに乗車し一番近いバス停で下車してから1時間歩くと登山口に到着する。二ツ箭山登山は登山口までのアクセスに時間がかかる山なので、今回は旅行会社のツアー登山に申し込んだわけである。私は、登山ツアー参加は初めてだった。東京駅丸の内側に7時30分に集合し、マイクロバスで首都高〜常磐道を通過して登山口まで3時間だった。JRを使った場合はこのようにはいかない。ツアー登山も使い方次第だと思った。

 

 根本登山口に降車した登山者は22名。男性が5名、女性が17名である。前後に登山ガイドが付いて総勢24名の集団となった。最近はどこの山に出かけても男女比率は男性25%〜30%、女性70%〜75%というものだが、今回の男女比率にも当てはまる。私の隣の席の女性は62歳だったが、とにかく中高年の女性は元気だ。

 

女体山山頂

 

 登山コースは一般コースをとった場合、登りが2時間半、下りが1時間半の合計4時間のコースである。修験場の脇を通過し二股を左に取り杉木立の中を暫く登っていくと「御神体の滝」に出会う。かなりの水量が流れ落ちている滝である。早くも鎖が登場した。10mほどだろうか、その鎖場を通過し沢伝いに登っていくが、岩が滑りやすい。ボルトの足場や鎖が度々現れる。〆張り場から左に折れ尾根コースに入る。40分ほど登ると男体山と女体山の間に登る30mの鎖場に出た。ほぼ垂直の30mの岩場というのは結構長く感じるものだ。鎖は持たずに岩角を確認し手足を移動させていく。周りが木々に囲まれているので北アルプスのような見晴らしは利かない。30mの岩場を登りきったところで、最初に登る男体山山頂が狭く一度に全員が登るのは無理なので登山者を2班に分けた。私から後ろが後半になった。

 

後半になった12人は隣の女体山に登って昼食を摂って欲しい、というので更に鎖場を登って女体山山頂に向かう。山頂からの眺めは見事なものである。360度の展望である。芽が吹きだしたばかりの山は薄茶色から白へ変わり、やがて葉の青さが増してくる。山桜の薄いピンクがひときわ目を引く。私たちが登っている女体山山頂のほうが男体山山頂よりも標高が高いので男体山山頂が見下ろせる。その山頂を見ながらコンビニで買ってきた握り飯を2個食べた。空気もこころなし美味い感じがする。盛は過ぎたとはいえ濃いピンクのアカヤシロが咲いている。見事なものだ。1ヶ月後にはシロヤシロが咲き誇るという。

 

男体山山頂

30分ほど過ぎたころ私たちが男体山に登るため女体山を降りた。交代である。男体山への登りの岩場は女体山の岩場に比べて難しい。岩場が急でホールド位置が見つからず腕の力で強引に体を引き上げていく場所もある。女体山山頂は2段3段となっていたが、男体山山頂は平の一枚岩だ。縁によると絶壁なので危険だ。10分ほど周りを眺めていたが、すでに昼食を摂りながら女体山山頂で360度の眺望を楽しんでいたので下山する。下りも厄介なものだ。足を置く岩角がよく分からないのだ。滑ったら命がないので慎重に降りた。

 

再度、女体山に登り返し、木々のために展望のない二ツ箭山山頂を踏んでから月山にまわった。月山山頂からは、先ほど登った男体山と女体山の眺めが見事だ。今は芽吹きの季節だが、紅葉の秋に登ったら今回とはまた違った美しい眺めだろうと思う。

 

アカヤシロ

 

今年初めて登った山が二ツ箭山である。私にとって二ツ箭山は面白い山だった。男体山と女体山の岩場は、ハイキングとは異なる緊張感を持たせてくれた。幸いなことに1週間ほど好天が続き、岩場が乾いていたことがラッキーだった。登山ガイドの方と下山帰りに話したところ、2週間前のツアーは雨で鎖場は危険なのでコースを変更したとのことだった。私たちはラッキーだった。

 

                                    2009年5月5日