ガス噴出する活火山・恵山へ

 

恵山山頂の権現堂前で

 

駒ケ岳登山の翌日は渡島半島の最東端に位置する恵山岬に立ち上がる活火山・恵山に登った。恵山に登るには函館駅前から石田温泉行きのバスに乗車し進行方向右側に展開する津軽海峡の波を見ながら揺られながらの2時間はとても快い気持ちだ。

恵山登山口で下車し舗装された車道を賽の河原に造られた駐車場まで登っていく。登山口から駐車場までは40分ほどの道のりだが途中右側に恵山大権現の表示と焦げ茶色の鳥居が建っている。恵山は霊山として古くから地元の方にとっては信仰の山でもあるのだ。実際、山頂に到着した時、祀られている権現堂内では地元の方たちが一心不乱にお経をあげていたのである。

恵山大権現を過ぎると今度は左側に槍を高々と掲げた2人の騎士戦士と女神が真っ白な凱旋門の前に立っているホテルらしき建物が登場してきた。突如現れたこの建物は全く周りの風景に馴染んでいない。道路は14度の斜度で駐車場に向かい後方には津軽海峡の静かな海面が広がっている。

 

駐車場に到着し一休みしたあとに整備された歩道を歩むと函館営林支局が立てた「恵山展望台コース」の道標が現れ、それに沿って歩いていくとやがて「権現堂登山コース」の道標が現れ、それに沿って右折し本格的な山道へと登っていく。恵山は活火山で今も蒸気が噴出しているところがいたるところにあり、辺りは活火山特有の茶色の地肌が剥き出しとなっている殺伐とした風景が展開しており緑はない。地崩れを防ぐために木材で階段状に整備された火山灰や火山礫の登山道を登っていくと「危険!!足元に注意!!」の標柱が立ち山頂まで1000mの辺りまで登ってくると、周りはいつ崩れるのかと思う奇岩が次々に現れてくる。昨日登った駒ケ岳には緑があったが恵山は少ない。

 

風が強く周りの展望は望めない状態になってきた頃に恵山山頂に到着した。山頂は思ったより広く、白く塗られた鳥居が立ち、隣に赤い屋根の権現堂が建っていた。中から声が聞こえてくるので戸を開けて中に入ると7〜8人の地元の方が恵山講なのだろうと思うが、お経のようなものをあげていた。あまり眺めているのも失礼だと思い権現堂の外に出たが、このまま待っていても天候の回復と展望は望めないと思い下山することにした。快晴ならば遠くは津軽海峡を挟んで下北半島は悠に及ばず昨日登った駒ケ岳を遠望し、近くは恵山と向かいあう海向山や恵山の町並みが眼下に望めたであろう。残念であるが仕方のないことである。

 

戻る