快晴の鳥海山へ

 

8月28日()〜29日()で秋田県と山形県の県境にある鳥海山に登ってきました。鳥海山は山形県側では「出羽富士」、秋田県側では「秋田富士」と呼ばれ、秀麗という言葉が実にマッチする美しい姿の独立峰です。

 私が鳥海山に登るのは昨年に続いて2度目です。昨年は雪渓が残り春の目覚めの匂いが漂う7月中旬でしたが、今回は秋の風情が忍び込んでくる8月下旬です。いつもは一人で山に出かけているのですが、今回は20数年前に「山に登り、温泉に入り、酒を飲む」ことを目的に設立した『ミーハー・クライミング・クラブ』という山の会の7人で出かけました。例年の夏山登山では2、3泊する山小屋行程ですが、今回は私が来月キリマンジャロ登山に行くため日程を短縮したものです。

 夜行バスで22時50分に東京駅を出発すると翌朝7時40分には山形県酒田駅前に到着です。酒田駅前で立ち食い蕎麦を食べたあと鳥海山5合目鉾立登山口までは路線バスです。空は快晴でくっきりと鳥海
山山頂が望めます。鉾立登山道はとてもよく整備され、小学生が集団登山を行っていました。周りの景色を楽しみながら、ゆっくりゆっくり登って行きます。高度をかせぐほどにベタ凪の日本海が足元に静かに拡がっていきました。

 今年の夏は異常に暑すぎ紅葉ではなく焼け焦げて枯れた葉が時折り目に止まります。御浜では鳥海湖まで降りていきましたが、昨年に比べて物凄く水が減っていました。湖水の脇で昼食です。水の中には小さなゲンゴロウがたくさん泳いでいました。夏から秋へと移り行く高山植物の可憐な花を見ながらの昼食はおむすびが美味しく感じられます。

 今回は山頂への登りに外輪山を縦走していく「外輪コース」を選んだため、鳥海山頂を常に眺めながらの快適な登山でした。時折り千蛇谷を見下ろしますが雪渓は殆ど名残を見せません。今年の夏が暑すぎて雪渓が解けてしまったのです。山頂小屋に荷物を預けて大岩が重なり合うのを踏み越えて頂上を目指しました。鳥海山頂上は噴火ドームとなっているため、噴出した岩・岩・岩が積み重なっており、眺望は360度の素晴らしさです。山頂の標識の前の箱に100円、50円、10円、5円、1円の硬貨が整然と並べてありました。昨年は湧き出すガスのため山頂が分からず結果的に隣の岩山に登っていました。距離にして30m程でした。

 2日目も快晴でした。日の出とともに日本海に映し出される影鳥海が見事でした。写真では見たことがありますが端正な三角形の形をした影鳥海でした。下山は千蛇谷を下って御浜から「吹浦コース」を選び、大平山荘まで笹原の中を快調に降りてきました。途中、オニヤンマに度々遭遇しました。自然が多く残っているため都会では出会うことがない虫たちにも度々会うことが出来ます。大平山荘で入浴し登山の汗を流した後は生ビールで乾杯です。山頂小屋では中ジョッキが1杯1000円でしたが、大平山荘では1杯550円でした。汗を絞り出した身体に喉元を過ぎたビールが急速に沁みこんでいく感覚が私は好きです。

 これで9月のキリマンジャロ登山に向けた登山トレーニングは全て終了です。あとは持参する登山用具の準備とイメージトレーニングです。先週25()に旅行会社から最終説明会が行われたので出席し細かい登山日程の説明を受けました。今回の登山参加者は9名(男性6名、女性3名)で添乗員1名の合計10名で成田を出発します。

 旅行は11日間ですが、ゆったりしたアフリカ大陸の一端を身体で感じてこようと思っています。新たな体験、異文化への接触は自分自身が発展していく契機となっていくものと思っています。