千葉県のグランドキャニオンへ

 

千葉県グランドキャニオン(チバンドキャニオン)と呼ばれている

 

 今回のスケジュール ハイキング歩行時間 6時間10

幕張駅536→541稲毛駅555C番線・君津行き→649君津駅654安房鴨川行き→739保田駅 保田駅758鋸南町営循環バス・青バス→809小保田バス停

小保田バス停810→50→900小保田峠→60→1000チバンドキャニオン→10→1010白狐山1020→25→1045小鋸山・休憩昼食1100→85→1225小保田峠→50→1315小保田バス停→60→1415保田港

@   YAMAP地図に登山ルートなし、A国土地理院25000分の1地形図

 

3月12日 木曜日 晴れ

青森県の白神山地西部にブナ林に囲まれた湖沼群の「十二湖」がある。この十二湖エリアに白い岩肌の断崖が続く「日本キャニオン」と呼ばれている場所がある。私は2度訪れたことがあるが、アメリカのグランドキャニオンからの連想で日本キャニオンと呼ばれているのである。

 

JR保田駅

 

スケールは小さいが千葉県にも「千葉グランドキャニオン」がある。通称は「チバンドキャニオン」と呼ばれている。青森県の日本キャニオンは自然にできた景観だが、チバンドキャニオンは山を削った採石場の跡である。その景色を観るために白狐山から小鋸山までの縦走ハイキングに出かけることにした。

 

鋸南町営循環バス「青バス」

 

登山コースを確認するとYAMAPには表示されていないが、4年前の2022年3月に今回と同じJR保田駅で降りて鋸南町営循環バスに乗り、小保田バス停で降りて嵯峨山に登った記録があった。小保田バス停から小保田峠までは4年前と同じコースで、峠を右に折れれば嵯峨山に向かい、左に折れれば小鋸山に向かうのだった。

 

登山口のとんがり屋根の小保田バス停

 

以前は鋸山からの縦走コースとして小鋸山・白狐山・嵯峨山へと続くコースがあったのだが、2019年に房総半島を直撃した2つの大型台風のあと林道や登山道が崩れてしまい復旧されないままなので、そのルートを歩くことができなくなった。小保田峠から小鋸山コースの登山記録をネット検索すると、道標も整備されているようなので出かけることにした。

 

田んぼに水が張られ田植えの準備が始まっていた

 

ずいぶん日が伸びて、来週は春分の日がやってくる。天気予報は朝から夕方まで快晴だが、5時過ぎに家を出るときに空を見上げると厚い雲に覆われていた。幕張駅5時36分発の電車に乗り、稲毛駅・君津駅で乗り換え、房総半島の先端に向かうのに伴い雲が切れて青空が広がっていった。竹岡駅を過ぎると太陽が雲間から徐々に顔を出してきて、保田駅で下車するときには天気予報通りに快晴の青空が広がっていた。

 

菜の花が黄色の花をいっぱいに咲かせていた

 

登山口の小保田バス停まで鋸南町営循環の青バスに乗った。以前は青色に塗られたバスだったが、今のバスはクリーム色に「青バス」の表示だった。「頼朝桜」という名前のカワヅザクラが保田川沿いに多数植えられているが、花の時期はすでに過ぎて青葉が出ていた。小保田バス停で降りてGPSをセットして歩きだした。すでに田んぼには水が張られて田植えの準備が始まっていた。菜の花が黄色の花をいっぱいに咲かせ、その脇では2羽のツグミがちょんちょん飛び跳ねているのが見えた。

 

倒木をチェーンソーで切って登山道を開通させた

 

小保田峠までの途中にスイセン畑があり、1輪だけ残っていた花の撮影をしている時にイノシシよけに張りめぐらされた電線に指が触れてビリビリ感電してしまった。峠までの途中で耕作放棄された棚田が草茫々になっているのが見えた。登山道はしっかり踏み固められており、ピンクのテープを目印に進んでいった。台風による太さ50cmの倒木をチェーンソーで切って登山道を開通させているところが何カ所もあった。ありがたいことである。

 

小保田峠には新しい道標が立っていた

 

バス停から歩き出して50分後の9時に小保田峠に着いた。峠が整備されて新しい道標が立っており、4個の休憩用ベンチが置かれていた。ベンチは台風で倒れたスギかヒノキを輪切りにし、さらに縦に割って廃物利用したものだった。道標によれば小鋸山までは85分となっていた。地図を確認しながら尾根道を歩いた。千葉県内の登山コースは、標高は高くないものの10mほどの上り下りが連続して足腰にこたえる。今回のルートも同様だった。

 

千葉県グランドキャニオン(チバンドキャニオン)に着いた

 

小保田峠から郡界尾根伝いに登っては降り、降りては登りを繰り返し、嫌になるほどの時間を費やして千葉県グランドキャニオン(チバンドキャニオン)に着いた。写真で見るよりも実際に目で見ると立体感と迫力があり、なるほどという感じを受けた。この採石場は私有地で「許可なく立ち入りを禁止する」 となっているために谷底まで降りていくルートはあるのだが、川まで降りることができなかった。

 

展望台となったいる白狐山に登った

 

道標は無かったが地図から判断して崖を登っていき、チバンドキャニオンの展望台となっている絶壁の白狐山から全体を眺めた。私はアメリカのグランドキャニオンに行き、ダイナミックな景色を眺めたことがある。コロナド川が長い年月をかけてグランドキャニオンを削り掘ったのだが、眼の前の景色は人工的な採石場の跡だが、これはこれでいいのだろうと思った。

 

小鋸山山頂に着いた

 

テーブルマウンテンと呼ばれている平らな岩山の脇で動画を撮っている女性に会った。今日初めて出遭った登山者だった。挨拶をして小鋸山の登りにかかり、11時に山頂に着いた。山頂まではロープが多数張られており、木の根っこや岩を掴んで登っていく悪路だった。大きな岩がせりあがった山頂には紐のついた山名表示板が置かれていた。絶壁の狭い山頂で記念写真を撮った。山頂には漁師が奉納したアワビの殻が吊り下げられていた。またコアラのような顔をした木造の怪獣が木の枝に縛り付けられていた。怪獣は魔除けだろう。

 

コアラのような顔をした木造の怪獣は魔除けだろう

 

絶壁の山頂に20分ほどいて周りの景色を眺め、降りる時に夫婦と思われる2人が登ってきた。山頂までのコースが笑っちゃうほどの悪路であることや、鋸山までの縦走路は登山道や林道が崩れて通行止めになっていることなどを話し合った。さらに降りてくると50代と思われる空身の男性が登ってきた。男性は千葉市から車でやってきたとのことで、トレイルランナーのようだった。その方も「写真で見るよりも、ずっと迫力がありますね」と話していた。写真は平面な2次元だが、自分の眼で観る景色は3次元の立体なので、千葉グランドキャニオンの価値も上がるのだろうと思った。

 

鋸山から小鋸山の稜線

 

小鋸山で折り返して13時に小保田峠まで降りてきた。ベンチに座り、おにぎりと魚肉ソーセージを食べた。うまかった。小保田集落まで降りてくる途中でタヌキに出遭った。タヌキは眠たいのか、私と目が合ってもモサモサしていて逃げなかった。3mほどまで近づくと、のそのそ動いたが直ぐに止まってしまった。私からの距離はやはり3mくらいだった。動物は春と秋に毛が生え変わるので見栄えは良くなかったが、目をしばしばさせていたので、もしかしたら病気なのかもしれない。野生のタヌキに遭ったのは久しぶりだった。白狐のあとが狸とは、まるで落語のような展開だった。

 

下山途中で出遭ったタヌキ

 

14時に小保田バス停まで降りた。バスは15時台なので保田港まで1時間歩き、港近くの食堂に行こうと想って歩き出した。しばらく歩くと後ろから白い車が来て私の横に止まった。車内から顔を出したのが小鋸山山頂で挨拶をした夫婦だった。「駅まで行くのなら乗っていきませんか?」という思いがけない言葉だった。渡りに舟である。歩けば1時間のところを車では5分だった。夫婦は木更津に住んでいて毎月千葉の山を歩いているとのことだった。

 

昨年終了した保田漁協直営の高濃度炭酸温泉

 

JR保田駅の近くで車から降ろしてもらい保田港に向かった。下山後は温泉に入って登山の汗を流してから食事に進みたいのだが、保田港にあった漁協直営の高濃度炭酸温泉は、残念ながら昨年8月31日で終了してしまったのだ。そのため漁港脇にある定食屋の『栄丸』に向かった。

 

定食屋の『栄丸』

 

これまでに保田漁協直営の『ばんや食堂』は何回か利用したが、マスコミで人気食堂と報道されたために観光客が多く、広い食堂はガサガサして落ち着きがないので、今回は定食屋の栄丸にしたのだった。店内は落ち着いた雰囲気で、大きめな4人テーブルに両肘が置けるふかふか椅子だった。私が頼んだのは、地魚刺身と天麩羅の盛り合わせ定食、それに瓶ビールと地酒だった。隣のテーブルでは、おばあさんと孫娘がアジフライ定食と欲張り定食を頼んでいた。

 

地魚刺身と天麩羅盛り合わせ定食

 

ビールを飲んでいると運ばれてきた刺身はメジマグロ、ホウボウ、天麩羅はホウボウ、クロムツ、カボチャ、マイタケ、ネギだった。天麩羅は柔らかくてカリッと揚げてあり、口に含むとじゅわっと溶けていくようだった。ホウボウやクロムツの天麩羅を食べるのは初めてだった。漬け物と海苔の佃煮が付いていた。海苔の佃煮は黒いのが普通だが緑色をしていた。会計は瓶ビール1本、冷酒は壽萬亀180mlを2本飲んで合計3800円だった。レジ前にお土産として海苔の佃煮を500円で売っていたので家族の土産に1つ買った。

 

今回のコースデータ

 

 今回はYAMAP登山地図に載っていないコースを歩いたが、アップダウンが連続する足腰にこたえるものだった。久しぶりのハイキングだったので疲れたが、地魚の刺身と天麩羅、それに地酒が飲めて満足の山旅だった。

 

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