でぶっちょ碓井の息子の激励で赤岳へ

 

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赤岳2899m山頂に着いた

 

今回の八ヶ岳・赤岳登山はMCC(ミーハー・クライミング・クラブ)の番外編として企画された。先月8月下旬にMCC恒例の夏山縦走登山として前穂高岳・奥穂高岳・涸沢岳・北穂高岳登山を終了した時に、メンバーの「でぶっちょ碓井」の息子が八ヶ岳の山小屋でスタッフとして働いているとのことから、秋に息子への激励を含めて八ヶ岳の主峰・赤岳へ1泊2日の登山をすることになった。日程調整をして9月の3連休の前の9月15日16日で出かけることになった。

 

花が咲いている植物

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美濃戸登山口にツリフネソウが咲いていた

 

 9月15日 金曜日 曇り

 登山第1日目は時間の関係で美濃戸まで乗用車で入り、そこから歩き出すことにした。今回のメンバーは8月のMCC夏山登山に参加したポパイ吉原、ちびっこ小沢、でぶっちょ碓井、エイトマン岩井、それにマドンナ紀美江が加わり5名となった。でぶっちょ碓井の息子がスタッフとして働いている山小屋は稜線上に建つ『赤岳展望荘』である。赤岳展望荘までの最短コースを考えると、美濃戸登山口から南沢を行者小屋まで歩き、 行者小屋の北側から伸びている地蔵尾根を登って横岳から赤岳に伸びる稜線に上がり、そこを右折すれば赤岳展望荘へ到着する。地蔵尾根は急峻で岩は脆く、梯子や鎖が頻繁に出てくる上級者コースとされているが、あえてこのコースを歩くことにした。

 

森のなかを苔が一面に覆っていた

 

9時過ぎに標高1720mの美濃戸登山口から歩き始めた。登山道脇に黄色のツリフネソウが咲いていた。登山道は南沢に沿いながら苔がびっしり付いた針葉樹の静かな森のなかを歩いていく。今年の夏はほとんど雨が降らなかったために、森のなかを覆っている苔も緑が薄いように感じられた。30分に1度の水分補給を取りながら進んでいった。水の流れていない川原を歩く場所もあり、南沢コースは豪雨の後などは歩けないだろう。北アルプスなどと違い、コースの案内板や目印などは、ほとんど見受けられない自然のままのコースだった。

 

森の中の山の景色

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南沢から稜線に建つ赤岳展望荘が見えた

 

やがて横岳から続く赤岳の稜線が眺められる場所にでると、宿泊予定の赤岳展望荘が見えた。その手前の赤茶けた崖が地蔵尾根であり、上部に登山道整備中のオレンジ色の場所が2箇所あった。12時に標高2340mの行者小屋に着いた。美濃戸登山口から600mほどの標高を登ったことになった。コンビニで買ってきたおにぎりとバナナでお昼ごはんを済ませた。

 

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行者小屋の前でおどけるマドンナ紀美江

 

稜線では500mlのペットボトル1本の雨水が500円なので、水の豊富な行者小屋で水筒に水を補給した後の12時45分に出発した。地蔵尾根の最初は針葉樹の森を登っていくが、徐々に斜度を増して最初の梯子が出てくる辺りから周りの木々も少なくなり、脆い赤岩の崖に変わっていった。登ってきた登山道を振り返ると、緑の森のなかに赤い屋根の行者小屋が見え、遠くに静かな湖面の諏訪湖が望めた。

 

山の景色

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地蔵尾根からの眺め

 

3番手をゆっくり確実に登っていたマドンナ紀美江が突然「足がつりそうな予感がするので薬を飲んでもいいですか?」と叫んだ。しばしの休憩である。ザックのポケットのあちこちを探して『ツムラ芍薬葛根湯68番』を出して服用した。葛根湯は即効性があるので、飲んでから15分も経てば効き始めるだろう。再び地蔵尾根を登りだした。滑りやすい岩尾根は、山小屋のスタッフによる登山道整備のおかげで、石段が整備されているところや、崖崩れの場所には鉄筋を打ち込み、蛇籠で補修されている場所もあった。

 

岩の上に立っている男性

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お地蔵さんが出迎えてくれた

 

途中にお地蔵さんが置かれている場所があり、鎖場を登り詰めて稜線に出たところにも2体目のお地蔵さんが置かれていた。お地蔵さんが置かれていたことが、地蔵尾根の所以であろう。登っている途中では周りの景色が見えていたのだが、稜線に出る直前でガスが涌いてきてしまった。14時25分に標高2722mの赤岳展望荘に着く頃には、すっかり白いガスに取り巻かれており、山小屋の名前とは違って展望は望めなかった。

 

建物の前に立っている男女のグループ

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息子が山小屋の前で迎えてくれた

 

山荘に着けば当然のこと酒盛りである。談話室には4つのテーブルが置かれていた。その中のひとつに陣取ってビールの乾杯でスタートし、ウイスキーへと変わっていった。途中で夕ごはんのために食堂に向かったが、夕ごはんを食べ終わると再び談話室に戻って宴会が続けられた。山小屋のスタッフとして働いていた碓井の息子も、夕ごはんの後片付けと明日の朝ごはんの準備を終えたあと、19時20分に合流した。彼は今年の3月まで保育園の保育士をしていたが、4月から山小屋のスタッフとして働いているのである。山小屋スタッフ5カ月の経験が彼を成長させたのであろう。話している内容も自信に満ちたものであった。この日の宿泊者数は22名だったので、山荘内は空いていて余裕だったが、翌日の連休初日は125名の大賑わいとのことだった。4人のスタッフは大変であろうと想像した。

 

グラフィカル ユーザー インターフェイス, アプリケーション

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1日目の登山データ

 

 9月16日 土曜日 晴れのち曇り

 日の出の景色を期待して昨夜は20時すぎに床に着いたのだが、夜半はすごい雨と雷だった。5時に目覚めると、ガラス窓の向こうは無情にも真っ白な世界で、雲海が広がっていた。朝ご飯を食べながら天気予報を確認すると、午前中は晴れて午後から曇りとなっていた。

 

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急な鎖場を一歩一歩登っていった

 

6時30分に展望荘を出発する時は、野辺山や清里は雲海の下に姿を現してはいたのだが、私たちの周りや赤岳方面は白いガスの中だった。赤岳山頂に着く頃にはガスも晴れていることを願って登り始めた。急な鎖場を四つん這いになりながら登って赤岳の山頂に着いた。山頂は北峰と南峰に分かれており、北峰には頂上山荘が建っており、南峰に一等三角点が打たれていた。南峰が八ヶ岳の最高峰となり、標高は2899mで八ヶ岳連峰の主峰である。山頂には、かつての山岳宗教の名残である『弥栄』の標柱が立っており、賽銭箱が置かれていた。その裏側に小さな赤森神社の祠が置かれていた。

 

雲がかかった山

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突然、雲のなかに大きく富士山が現れた

 

山頂で20分ほど休憩していると、上空には青空が広がり、周りを取り巻くガスは消えたり復活したりの繰り返しだった。そのたびに周りで見える景色も変わっていった。突然大きく富士山が登場したかと思うとガスのなかに消え、北岳・間の岳・農鳥岳の白峰三山から塩見岳と連なる南アルプスの峰々も青いシルエットとなって眺められた。

 

雪が降った山の景色

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北岳・間の岳・農鳥岳・塩見岳と連なる南アルプスの峰々

 

文三郎尾根を降って行くと、秋の3連休の初日のせいか行者小屋から登ってくる登山者が実に多い。赤岳に登る場合、行者小屋から文三郎尾根を登るのが一般的なコースとして使われているために登山者数も多いのだ。登山者のなかには小学生と思われる子どももいた。9時40分に行者小屋に降りた。青空が広がり阿弥陀岳・中岳・赤岳・横岳・硫黄岳と連なるスカイラインがはっきり見えた。素晴らしい景色だと思った。

 

山の上の建物

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赤岳鉱泉から見上げた赤岳から横岳への稜線

 

行者小屋前で20分間休憩し、往時は南沢コースを歩いたので、復路は北沢コースを採って出発した。途中で山小屋の赤岳鉱泉に寄ると、午前中にもかかわらずテーブルにビールジョッキが乱立し、テーブル下には空き缶が転がっているグループがいた。のんびりと山小屋で遊んでいるのだろう。いやはやなんともの世界である。広いテント場には様々な色のテントが張られていた。北沢コースは常に沢の音を聴きながら、度々沢を渡り返しながらのコースとなっていた。

 

レストランで食事をしている人達

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無事に下山できたことに感謝して乾杯

 

自家用車を預けてある美濃戸登山口の山荘『やまのこ村』に戻り、ひと呼吸後にお風呂と食事のために美濃戸口の『八ヶ岳山荘』に向かった。貸し切り状態で風呂に入り、山旅の汗をさっぱり流したあとはビールで乾杯だった。今回も参加者5人が無事に下山できたことに感謝する乾杯でもあった。喉が乾いていたために瞬く間にジョッキは空となり、お代わりのジョッキを頼んだのは言うまでもないことだった。顔いっぱいに満足の笑みを浮かべながらジョッキを傾けているマドンナ紀美江はでぶっちょ碓井の恋女房である。夫婦で揃って息子の激励登山をしたわけである。

 

マップ

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2日目の登山データ

 

今回の赤岳登山は1泊2日という短いものであったが、参加者は口々に「来て良かった」「今回は登りが地蔵尾根で、降りが文三郎尾根というコース取りが良かった。逆だったらビビった」「素晴らしい景色が見られて感動した」「死ぬかと思う時もあったけれど、人生の記憶に残る山行となった」などという感想をそれぞれが述べた。私は2000年以来、23年のぶりとなる赤岳登山だったが、気持ちよく登れた登山だった。

 

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