ネパール山旅のスケッチ

 

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ぺリチェ村でのワイドスケッチ

 

 私の趣味の一つにスケッチがあります。ですから今回も山旅のザックの片隅にスケッチブックと水彩絵の具を入れて出かけました。1日の行程が終え、時間に余裕ができて描きたい風景があった場合にスケッチブックを取り出します。今回スケッチブックを取りだしたのは、1109日のモンラ村3973m1113日のマッツェルモ村4470m1115日のパンボチェ村3930m1116日のぺリチェ村4240mの4回で、描いたスケッチは6枚でした。

 

 スケッチで描く時間は1枚当たり20分ほどです。さっと描いて色を塗り時間が空いた時に水ペンでなぞると水彩画になります。前回まで使用していたスケッチブックがいっぱいになってしまったので、今回新しい小型のものを持って行きましたが画用紙が薄すぎて水を含むと皺がより失敗でした。次回は厚手のものを持っていこうと反省しました。

 

 スケッチを描いていて思わぬ出会いもありました。パンボチェ村の共同洗濯場の近くで、白く輝く雪冠を覗かせているタウェツェ6367mと流れてくる氷河水で回転するマニ車と空に翻るタルチョの旗をスケッチしていた時のことです。お父さん、お母さんの洗濯の手伝いをしていたふたりの子どもたちが私のところにやってきて、おじさん何をしているの? というふうにスケッチをする私の手元を覗き込んできました。

 

 暫くしてから描きためた5枚のスケッチを見せてやると、私たちの後方に聳え立つアマダブラムを指して「アッ アマダブラム」という声を同時にあげました。ふたりは何歳なのか?、名前は何というのか? つたない英語での会話です。スケッチした絵の余白にふたりの名前と年齢を書き込んでもらいました。ひとりは、Birjana Kulung RaiYear:eleven と書き、もうひとりは、Bipana Kulung RaiYear:eleven と書き込みました。ふたりは顔は汚れていましたが、とても整った顔立ちの可愛い11歳の少女たちでした。

 

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パンボチェ村で描いたアマダブラムのスケッチにふたりの少女のサイン

 

 私の名前と年齢を聞いてきたので、私も名前と年齢を書き込むと、67歳という年齢にふたりが同時に驚きの声を挙げました。ネパールにおける67歳は生活環境の関係で相当の老人と思われます。それがふたりの驚きの声だったのではないかと思われました。結婚しているのかと聞いてきましたので、妻の名前と年齢も書き込んだところで、洗濯場で作業を続けながらも娘たちは何を話しているのだろう、と心配の視線を投げかけていた父親が洗濯の手を止めて私たちのことを注視していたので、仕事の邪魔をしてはすまないとおもい、ふたりの少女と別れて宿泊するロッジに戻ってきたのでした。残念だったのはカメラを持っておらず少女たちの写真を撮影できなかったことでした。帰国してからネパールの平均寿命を調べてみました。資料はWorld Bank WDI 2012.6.13によると、2010年の平均寿命ですが日本の82.9歳に対して、ネパールは68.4歳でした。予想した通り私の67歳という年齢は、ネパールではそろそろ亡くなる年齢だったのです。

 

 今、ネパールで撮影してきた写真をもとにして水墨画を描き始めています。絵の対象となるのは世界一のエベレストではなくダイナミックな姿のお母さんの首飾りと呼ばれているアマダブラムです。アマダブラムの水墨画を3枚描こうと思っています。

 

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