4か月ぶりのバードウォッチング
水面を睨み獲物を狙うカワセミ(雌)
10月20日 曇りのち晴れ
家の周りの木々が色づきはじめ、葉を落とす木もではじめたので、6月以来4か月ぶりにバードウォッチングに出かけた。コースは自宅から田んぼ道を花見川に出て上流に向かった。猪鼻橋までは右岸を歩き、橋を渡ったら左岸を歩き、花島公園までの往復10kmだった。今回から野鳥撮影に使う望遠レンズは200mm〜600mmのズームレンズを新たに買い入れた。今まで使っていた55mm〜210mmの望遠レンズでは、野鳥撮影に限界を感じていた。実際の体験から500mmは必要と思われた。
ダイサギは獲物を見つけると一瞬のうちに仕留める
カメラは前と同じのSONY-α6000のミラーレスである。カメラに望遠レンズを装着し、片手につるしながら歩いていると突然、「その望遠レンズは何ミリですか?」という質問がきた。私と同年代の男性だった。「600ミリです」答えると、「35ミリ換算では何ミリになりますか?」と新たな質問に、「800ミリぐらいですね」、と答えた。「ずいぶん大きく見えるでしょうね。でもそのぶん画角が狭くなるから難しいですね。いやどうもありがとう」、と言いつつその男性は去っていった。質問が専門的なので、昔、カメラに凝っていた人と思われた。川沿いには水彩画を描いている日曜画家もおり、のんびりした風景だった。
私はゴッホ・日曜画家
3月から新型コロナウイルスの感染拡大によって、川沿いの草刈り作業等が全て中止となり、草木の背丈は伸びて草ぼうぼうの状態だった。野鳥をはじめとした野生動物たちにとっては、格好の隠れ家となり好都合のはずだ。カワセミが一直線に川面すれすれに飛び去っていく姿が何度か目に止まり、元気に生活していることに安どした。どこかで撮影のチャンスがくるだろうと秘かに期待しながら歩いていった。カワセミの雌を撮影できたのは花島公園の池の畔だった。彼女が桜の枝に止まり池の中を泳ぐ小魚を狙っているところを撮影した。その場面では彼女は魚を捕ることなく飛び去って行った。
シジュウカラの動作は素早い
途中で花島公園までの中間地点にある神場公園に寄ってみた。この公園は森になっており、今の時期はカラ類の小さな群れが枝から枝へと移動していくのに出会う場所だ。案の定、シジュウカラ、エナガ、ヤマガラの混成の群れがやってきていた。森の中は暗いのでシャッタースピードを遅くして撮影するが、私はまだ600mmレンズに慣れていないため、対象をファインダーに捕えるのが大変だった。
飲み込むには大き過ぎる獲物
サギ類は抜き足差し足忍び足で獲物を探し、獲物を見つけると不動の石のように固まって風景の一部と化し、ここぞというチャンスに一気に嘴を差し込み獲物を仕留める。今日のダイサギの動きも見事だった。捕らえた魚が大きすぎて飲み込むことが出来ず焦っているように見えた。結局、飲み込むことができなかった。
人なれしたカルガモ
花島公園には4人のアマチュアカメラマンが水場に来る野鳥を待ち構えていた。私はそのような群れた場所には近づかないようにしている。池ではカルガモが10羽ほど泳いでいた。餌付けをしている人がいるようで、カルガモは人間を恐れずに私にも近づいてきたのには驚いた。馴れ馴れし過ぎる。野生動物にエサをやってはいけないと私は思う。カルガモはカモ類だが冬鳥ではなく1年中日本にいる留鳥である。
コスモスは姿の可憐さとは違い実にしぶとい生命力を持っている
花島公園で折り返すため昼食にした。ジェットボイルをザックから取り出し、あらかじめ沸かしてきたお湯をポットから注ぎ込み、ガスバーナーに点火。同時にラーメンを四つ折りにして投入。ものの1分もかからずに沸騰した。添付スープと油を入れて3分間待機。ラーメンが出来上がるまでに持参したパンを食べる。うましうまし。これが私のバードウォッチング時の昼食である。最近は昼食時にビールを飲んでいない。
ハシブトガラスの嘴は太くて立派だ
昼食後は暫しの休憩の後で歩いてきた道を戻ってきた。途中の空き地でハシブトガラスが3羽、嘴で土を掘り返していた。この周辺には2種類のカラスが棲んでいる。嘴の太いハシブトガラスと嘴の細いハシボソガラスである。身体の大きさはほぼ同じなので区別がつきにくいが、慣れてくると鳴き声と頭部の嘴の太さと角度から判別がつくようになる。ジッと見つめているとカラスはソワソワしだし、やがて鳴き声とともに飛び立っていった。見かけによらず繊細な神経を持っているのだ。
モズは高鳴きでなわばりを宣言する
今の季節にはあちこちでモズの高鳴きが聞こえる。モズの雄が高い梢などの目立つ場所から自分の縄張り(テリトリー)を宣言しているのだ。背筋を伸ばした姿勢で甲高い声でキューン、キチキチ、ギチギチなどと鳴いている。モズは決して群れることはなく、気高く孤高の鳥という印象を受ける。
10月21日 晴れのち曇り
翌日の2日目のコースは前日同様に自宅から田んぼ道を歩き花見川に出るまでは一緒だったが、川沿いを下流に向かって幕張の浜までの往復10kmだった。釣り人がのんびりと釣り糸を垂れていた。ハゼ釣りだろう。毎年収穫しているクコの木が生えている河川敷の土手が刈り払われてしまった。あと1か月もすると赤く熟した小さな実が収穫できるはずであったが、今年は収穫できなくなった。残念だが仕方がない。
ヒドリガモは日向ぼっこをしていても目は常に周りを警戒していた
冬鳥として渡ってくるカモたちの姿はまだまばらであったがキンクロハジロ5羽、ヒドリガモ20羽、コガモ5羽の姿が確認できた。年が明けるころになると数100羽の群れとなるカモたちも今は少なかった。ヒドリガモが堰堤で日向ぼっこをしていたが、目だけは常に警戒を怠らず周りを注視していた。雄が時たま頭部の羽を逆立て警戒の鳴き声を発していた。生き延びるために彼らも必死なのだ。
ヒヨドリがピラカンサの実を啄んでいた
朱色や橙色に色付いたピラカンサの実を求めてヒヨドリやスズメやオナガがやってきていた。横暴なヒヨドリはピーヨ、ピーヨとけたたましく泣き叫びながらスズメを追い払い、ひとり占めにしながら実を啄んでいた。こういうヒヨドリの態度が好かれない一因ともなっているように思われる。
キジバトの眼はビックリまなこだ
「鳩が豆鉄砲を食ったよう」というビックリした時の諺があるが、私たちが普段出会うドバトでもキジバトでもハト類の眼は真ん丸くびっくりしたように見える。黒松が植えられた防砂林の芝生広場に1羽のキジバトが餌を求めてうろついていた。キジバトも人を恐れない野鳥である。2〜3mの位置に近づいてもキョトンとした眼で見つめるだけで慌てて飛び立つようなことはしない鳥である。不幸にもたまに野良猫に襲われて命を落とすものもいる。
秋たけなわのピラカンサ
今年は不幸なことに新型コロナウイルスの感染拡大によって不要不急の外出自粛が叫ばれ、外出しない人が多いように感じられるが、全ては自己判断だと思う。手洗いうがいをはじめとして十分に感染に注意しながらの行動が必要であるが、自宅にこもっているだけでは心身ともに健康を維持するのは難しいと思う。私は自分の判断で時期と時間帯を選び、不要不急と言われている山登りにもキャンプにもバードウォッチングにも出かけている。