一直線に翔ぶカワセミ

 

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カワセミは水面上を一直線に翔ぶ

 

 1月20日(月)晴れ

 バードウォッチングに出かける場合は300種類ほどが載っているポケット版の野鳥図鑑、出会った野鳥名や気付いたことをメモするフィールドノート、望遠レンズ付きカメラの3点は必ず持って家を出る。野鳥の観察場所は1か所での定点観察ではなく、家から徒歩5分のところを流れている花見川沿いを上流、あるいは下流に向かって歩きながら出会う野鳥たちを観察する形をとっている。

 

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モズはジッと動かず獲物を狙う

 

 花見川沿いの田んぼも不耕作地が拡大し萱や雑木に覆われてしまった田んぼが目につくが、田植えを続けている農家は正月が明けると田起こしを始める。すると起こされた土の中の虫を食べるためにムクドリやスズメが群れをなす。今日もそのような風景が見られた。花見川の潮留橋より上流側には田んぼや雑木林が多く、下流側はコンクリート護岸の堤防が多いので出会う野鳥たちもそのような環境に影響されている。

 

鳥と文字の加工写真

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休憩するカワセミのオス

 

花見川沿いを望遠レンズ付きのカメラを首から下げて歩いていると「カワセミを見たいのですが、どこのあたりで出会えますか?」と質問されることがある。確かに花見川沿いでもカワセミは生息しており、度々鮮やかな青翠色と橙色の美しい小さな個体を目にする。カワセミの場合、行動範囲が決まっており、その行動範囲内に数か所の漁場がある。その漁場では留まる枝や岩も決まっている。その行動範囲を1日に数回行き来する習性があるので漁場さえ確認できれば、その場所で待機していれば必ずカワセミに出会うことが出来る旨を伝え、近くの漁場を教えることにしている。ただ、カワセミがいつ飛んでくるのか分からないので観察者が待つ時間のゆとりと辛抱強さがあるかないかである。

 

水の中にいる鳥

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羽ばたくカルガモ

 

 ムクドリやスズメが群れをなしている姿に度々出会う。電線に留まっていたムクドリの群れの数を数えたら103羽が確認できた。スズメも40羽、50羽の群れに出会うこともある。日本野鳥の会の機関誌を読んでいると、スズメやツバメの個体数が減少している旨の記事が目につく。確かにツバメの場合は巣作りに必要な田んぼの土が不耕作地の拡大により得づらくなっていると思うし、最近の戸建の建築様式が昔と違って梁や庇がなくなってきているためツバメの巣が作りづらくなっている点は多いと思う。しかし、スズメは冬季中は群れて生活しているため度々目にする。今日も右足を引きずりながらリハビリ中と思われるおじいさんが電線に鈴なりになっているスズメを見て手をはたいて追い払っていた。何をやっているのかなと不思議に思っていたが、しばらくすると「スズメの下を歩いている時にスズメに糞を降りかけられるとかなわないので追い払ってやったよ」と得意げに私に話しかけて来た。スズメにとっては驚いたことだろうが、おじいさんにとっては、なるほど、なるほど、である。

 

木の枝に止まっている鳥

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後頭部が赤いコゲラのオス

 

 今日出会った野鳥は21種類だった。撮影した写真の中ではモズ、コゲラ、ムクドリ、カワセミがよく撮れていると思った。特にコゲラのオスの後頭部に赤い羽があるのだが、ほとんど隠れて見えないことが多い。今回はラッキーにも後頭部の赤い羽が撮影できたのは初めてである。

 

 1月23日(木)晴れ

 雲ひとつなく晴れあがっていた。花見川沿いを上流に向かって歩いた。日当たりの良い南側斜面の土手の水仙が白い花を咲きだしている。もう少したつとこの斜面は真っ黄色の菜の花でいっぱいになる。亥鼻橋まで歩いて引き返そうと思っていたが、思ったより野鳥に出会えなかったので先の神場公園まで足を伸ばした。その選択は正解だった。神場公園は市民公園として整備され、子どもたちの遊具や芝生の広場の脇には小池やこんもりとした森や雑木林があり野鳥たちの格好の棲みかでもある。以前一度だけだったがシロハラ、シメ、ヤマガラに出会った場所でもあったので、今回も期待していたのだが今回はマヒワとヤマガラに出会い写真を撮ることができた。マヒワは初めての出会いだった。

 

木の枝に止まっている鳥

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ヤマガラの動きは速く素早い

 

 ウィークデーのお昼頃だったので公園には人影はなく静かだった。野鳥たちものんびりと餌をついばんでいた。その中でコツコツ音がする上方を見上げると2つの動くものが確認できた。コゲラとヤマガラだった。今までコゲラは何度も写真を撮ることが出来たがヤマガラは一度もなかったので、ラッキーと心の中で思いながらシャッターを押した。

 

砂の上にいる鳥

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木の実を食べるマヒワ

 

 鳥の習性は繁殖期とそれ以外とでは行動パターンも異なる。繁殖期になればそれぞれが番いとなって子育てをするようになるが、冬季の場合は単独・複数・集団で行動をする3パターンに分かれる。20日に出会ったコゲラは複数で行動していたが、今日出会ったコゲラやヤマガラは単独で行動し、ムクドリやスズメは集団で行動していた。

 

木の枝に止まっている鳥

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スタイリッシュなジョウビタキのメス

 

 私が野鳥の写真撮影をする場合は、キャノンの一眼レフカメラに250ミリの望遠レンズを接続し自動焦点で1/800秒の連続シャッター設定にしている。500ミリの望遠レンズも持っているのだが定点観察ならば三脚使用が出来るが、常に歩きながらの撮影なので機動性が必要になるために重い500ミリ望遠レンズではなく軽い250ミリ望遠レンズを接続することが多い。当然のことだが写した被写体の映像は半分の大きさとなってしまい、小さな野鳥たちを写す時は如何に野鳥に近づくかが必要となってくるが概ね10mが限度である。それ以上遠い場合の写真撮影は諦めるのである。そのようにして撮った写真をホームページの月ごとの表紙に使っているわけである。

 

 1月31日(金)晴れ

 午後、時間が空いたので花見川沿いを瑞穂橋から河口の美浜橋まで歩いてみた。こちらは上流側と異なりコンクリートの防潮堤が河口まで続いている。従って出会う野鳥も海辺の鳥が多い。今回出会った鳥は16種類だった。初めて出会ったのは、ハシビロガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、いずれも持ち歩いているポケット野鳥図鑑には載っておらず、帰宅してから山渓カラー名鑑『日本の野鳥』で調べて鳥名が判明した。いつも出会っている海辺の鳥では、オオバン、カルガモ、コガモ、マガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、ユリカモメ、などが多いのだが、今回は河口近くにある化学工場の廃液が流れ込んでいる場所で沢山のユリカモメの群れの中にハシビロガモ、ヒドリガモ、オナガガモが混ざりながら餌を摂っていたのである。

 

鳥が飛んでいる

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キンカンをくわえながら飛ぶオナガ

 

 瑞穂橋から美浜橋までは片道4kmほどの距離があり防潮堤の脇にサイクリングロードが整備されている。途中からは松、夾竹桃、ユーカリなどの木々による防風林が作られている。2人の子ども達が小さい時に遊びに来たアスレチック公園やテニス場、スケートボード場なども防風林の中に整備されている。その松たちは東京湾を埋め立てた時に植えられたものだが高さは15m〜20mほどに成長している。その梢からオナガの特徴ある濁声を確認したので注視すると5、6羽が確認できた。その中の1羽が黄色く丸いものをくわえていた。何だろうと考えたら、それはキンカンの実である。初めて見た光景だったので珍しいと思い写真に写した。オナガはカラスの仲間であり悪戯好きなのである。

 

水の中にいる鳥

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ハシビロガモのオス(左)とメス(右)

 

 浪花橋のたもとに掲示板が立てられていた。以前はなかったものなので確認してみたところ、「花見川の環境を守る会」という組織の活動報告が貼られていた。掲示板に貼られたA4版の12月8日の活動報告には、@清掃活動、A水質調査活動、Bお知らせとなっており、上流2名、中流6名、下流6名、合わせて14名が参加したとあり、ゴミの不当投棄状況、清掃活動の結果として5か所で可燃ゴミ22袋、空き缶5袋、その他のゴミ、市役所による防護柵の設置などが場所を特定して写真入りで掲示されていた。花見川の環境を守る会は毎週第2日曜日の7時〜9時の2時間の活動を行っているとのことなので、私も度々花見川沿いをバードウォッチングしているので月1回の活動に参加しようと思う。

 

ダイアグラム

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花見川の環境を守る会の掲示板

 

以前、上流の神場公園近くを歩いている時に花見川を清掃しているという方と話をしたことがあるが、その人の話ではボートを出して川に投げ込まれた自転車の不当投棄などにも対応していると話していたので同じ活動をしている組織なのかもしれない。ま、とにかく一度「花見川の環境を守る会」の活動に参加してみて、その後も活動を続けるのかどうか判断すればいいと思う。大切なのは気が付いたらまず実行し、その結果から継続するかどうかを自分の頭で判断することである。

 

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