私は潜りのプロフェッショナル
潜水が得意なスズガモの雄
1月21日 晴れ
スズガモが10羽ほどの群れとなって潜水を繰り返していた。スズガモは潜水が得意なので3〜4mの深さまで潜って海底の砂の中の貝を探して食べるのである。潜るときを見ていると、水面から身体を持ち上げジャンプするように勢いをつけて潜っていく。この時はしばらく見ていたが収穫はなさそうだった。雄は腹が白く背中が灰色で縞々があるが、雌は焦げ茶色で地味である。私も子どものころは碓氷川でよく潜ったが、連続潜水をすると酸欠で頭がクラクラしボーッとなってしまったが、カモは大丈夫のようだ。さすがに潜水のプロフェッショナルである。
目の周りの黄色いリングが目立つコチドリ
コチドリが1羽いた。ミユビシギに混じって波打ちぎわを歩いていた。以前は私の自宅近くの田んぼでよく見かけたが、そこが住宅地となってしまい、コチドリに会うこともなかった。久しぶりに目の周りに黄色のリングをつけたコチドリに出会った。相変わらずちょこまかちょこまか千鳥足で歩いていた。カメラを向けると睨み返されたように感じた。警戒心が強い個体だったようで、すぐに飛び去ってしまった。
エナガはマスコット的な存在だ
エナガとシジュウカラとメジロの混成群がやってきた。しきりに松ボックリから松の実をほじくり出しながら食べていた。写真を撮っていると私と同年代の方が声をかけてきた。「あの鳥は何ですか?」「エナガです」と答えた。「私の家の自転車置き場にもきます。スズメより少し小さい可愛い鳥ですよね。」ピンポーン。その通り。北海道に棲むシマエナガは真っ白のマシュマロのようでとても可愛い。こちらのエナガは眉毛のあたりに黒い線が入っているため、シマエナガに比べて可愛いさでは引けを取る。それでもエナガはマスコット的な存在だと思う。
団体で昼寝中のミユビシギ
ミユビシギは幕張には冬鳥としてやってきて群れを成している。大きさはツバメと同じくらいな小さなシギである。波打ちぎわでちょこまか動き回りながら小さな甲殻類を探している姿が目立つ。足の指の4本のうち、後ろの1本が退化しているため、ミユビシギという名前が付いた。胸から腹にかけて白く、背中や翼は灰色なので海岸で見ると明るく感じられる。
羽ばたくハシビロガモ(左が雄、右が雌)
野鳥は水あびが大好きである。いつも水に浸かっている水辺の鳥もよく水あびをしている。カモ類は里山の鳥と違い大型の鳥が多いので、水あびもバサバサバチャバチャという豪快な音をたてる。ハシビロガモもカモとしては大型である。淡水ガモなので花見川では河口まで広範囲で見られる。カモ類が羽ばたくと身体が浮き上がるので、あたかも浅瀬で羽ばたいているように見えるが水深は深い。ハシビロガモの嘴が異様に大きいのにも訳がある。
獲物をゲットしたカワセミの雄
カワセミが水面を睨み獲物を狙っていた。水中に一直線に突っ込んだ。3秒後に戻ってきた口には獲物が咥えられていた。カワセミは水中に飛び込んだ場合、留まっていた枝や岩の同じ場所に必ず戻ってくる。獲物の捕獲に成功したか失敗したかに関係なく、必ず元の場所に戻る習性があるのだ。カメラは飛び込む前の位置に焦点を合わせておけば、カワセミの姿を撮ることができるのである。
死んでしまったゴイサギの若鳥
私がゴイサギの若鳥を撮影していると、「それと同じサギが用水路で死んでいたので、川に投げたが川まで届かず草むらに落ちてしまった」と情報をくれた年配の方がいた。その方が言った場所で確認してみると、確かにゴイサギの若鳥が死んでいた。死因は分からないが、野生動物が生きていくというのは、厳しい試練の連続だということが分かる。
ゴイサギの若鳥
野鳥の場合、巣立ちをすると親鳥は1週間ほど子どもの面倒を見るが、その後は子どもが全て自分で判断して生きていくことになる。生きていくために1番重要なのが食料の調達である。親が助けてくれないので、自分で獲物を見つけて獲得しなければならない。食べ物が得られなければ徐々に体力が消耗し、やがて自らの消滅・死につながってしまう。食料のほかに外敵を含めて、自然界で生き延びていくためには、様々な困難が待ち受けているのである。
気持ちよく進むシーカヤック
穏やかな海でシーカヤックを気持ち良さそうに漕いでいる人がいた。以前カヤックを買おうと思い、いろいろ調べたことがあった。組み立て式のカヤックで20万円くらいだった。使用頻度を考えて買うのやめた。ずいぶん昔のことだ。
フリューゲルホルンを吹く男
検見川の浜で暖かな陽射しを受けながら、バードウォッチングの休憩で物想いに浸っていると、突如ラッパの音が鳴り響いた。びっくりして後ろを振り返ると、40代と思われる小太りの男性が練習を始めたのだった。かくして静かな午後のひと時は打ち破られた。最初はトランペットかと思ったが、楽器の形がずんぐりむっくりしていたので帰宅後に調べてみた。楽器の名前はフリューゲルホルンだった。平日の午後だったのでコロナ禍で仕事が無くなったのだろうか、と余計な心配をしてしまった。
羽ばたくホシハジロ
「カンダチ」という言葉がある。漁師の言葉で気象の急変で突風が吹くことである。先日、検見川の浜でカンダチを体験した。私が検見川の浜に着いた時は、曇り空ながらも無風で穏やかな海だった。それが30分もたたないうちに南風が急に強くなり、沖には三角波が立ち、みる間に海は荒れだしたのだ。急速に天候が悪化していった。思わずフードを被ったが風は増々強まり、顔を風上に向けていることができず、野鳥の観察も撮影も出来る状態ではなくなった。浜にいた人も全員いなくなった。このように急に突風が吹き荒れることをカンダチといい、漁師は非常に警戒したという。沖に出ていたならば舟の転覆などにより死に直結する天候の急変と突風であった。