日本和紙絵画展を訪れて
あじさい物語
「東京都美術館でモネ展と和紙絵画展をやっているので一緒に見に行きませんか?」
と朝食時に妻が言ってきた。
「モネ展?・・・モネは観たくはないけれど・・・和紙絵画は観たことがないので一緒に出かけてもいいよ」
ということになり上野駅へ。
上野駅公園口の改札口まで行って驚いた。平日にもかかわらず凄い人出だ。しかも圧倒的にお年寄りが多い。そのお年寄りたちが一方向に向かっていく。どこへ行くのだろうかと思いながら私と妻は都美術館に向かうと流れが同じ方向であり、お年寄りの流れは都美術館へと向かっていく。エスカレーターに乗って地下1階の出入り口に向かうとモネ展の入場券売り場は長蛇の列である。いやはや何とも凄い人気ぶりである。
私と妻は日本和紙絵画展が開かれていた第1展示室会場に向かった。会場の入り口で500円の入場券を買い、出品目録を貰って展示室に入って驚いた。和紙絵画に抱いていた私のイメージは覆された。もっと大雑把なものを考えていたが、思っていたものより色遣いが繊細でグラデーションひとつをとっても実に微細なのだ。近くから絵画を見ると材料が和紙であることが分かるが3mも離れると和紙であることは全く解らない。普通の絵画と感じられるのである。ちぎり絵とも違った創作の世界が存在していた。気の遠くなるような作業の上に出来あがった和紙絵画の世界があったのである。
公募展のため300点ほどの作品が展示されていたが、作者名の殆どは女性であり男性は数名だった。製作過程が地道に根気強いものを要求されるために女性が多いのではなかろうかという印象を受けた。
達磨 南天と福寿草
日本和紙絵画展を観たあとに向かったのは2階で開催されていた『国際書画芸術展』である。こちらは書と水墨画による日本と韓国の交流公募作品展で、展示されていた作品は約440点だった。私は主に水墨画を見て回った。いずれの作品も運筆のスピードが速いように感じた。躊躇していない筆の伸びやかさが感じられる作品だった。特に注視したのは達磨を描いた作品は重ね書きという手法を用いており、最初は薄墨で描きその上を濃墨でまとめるというもので衣服も髭もそのような手法で描かれていた。特に髭は2度書き出来ないが、見事な筆さばきだと思った。
目に着いたもう1作品は、南天と福寿草を描いたものだった。バランスが凄いと思った。私ならば南天の実を赤く、福寿草の花は黄色に着色してみるだろうと思ったが、まだまだ私の腕では南天は描けないと思った。