ツバメの巣作り
泥を運んできたツバメと巣を出るパートナー
4月24日 月曜日 曇り
若葉の頃となり青春の季節となった。木々の葉の青さが快い気持ちにさせてくれる。花見川沿いを亥鼻橋までのバードウォッチングに出かけた。ウグイスのさえずりがあちこちから届き、足元では朱色のポピーが風にそよいでいる。田んぼに張られた水のなかで、見慣れない野鳥のシルエットが目に留まった。双眼鏡で確認するとコチドリだった。今年初めて出会うコチドリとは久しぶりの再会だった。
獲物を捕らえたコチドリ
田植えの早い千葉県である。幕張でも田植えの準備が始まっている。1羽だけだったがコチドリが耕した田んぼなかで餌の虫を探して、あちこち突つき回わり土のなかに棲む虫を探し出していた。時たまウィウィピユッピユッという小さな鳴き声が耳に届いた。
水あびはいいなあ
しばらく見ていると小さな甲殻類を食べているようだったが、双眼鏡では詳細は分からなかった。望遠レンズで連写し、自宅に戻ったあとにPCで確認することにした。20分ほど採餌風景を見ていると、結構な確率で餌を探し出していた。やがてコチドリはお腹が一段落したのだろうか水あびを始めた。この水あびも結構長くて10分間ほど続いただろうか。野鳥が度々水あびをするのは、翼を清潔に保つことが野鳥にとって生命線だからである。
巣材の泥を運んできたツバメ
今年初めてツバメを見たのは4月13日の検見川の浜だった。その後、幕張の町なかでもツバメのさえずりや飛ぶ姿が確認できたので、毎年ツバメが巣をかける花見川沿いの民家を見に行った。やはりツバメは今年も同じ民家の通風口の上に巣をかけていた。つがいのオスとメスが忙しく巣作りをしていた。ツバメの巣の作り方はサラサラした砂は使わずに、ねっとりした田んぼの泥をくちばしで器用に丸めて、それを咥えてきて、お椀型に積み重ねていくのである。
巣材のワラを運んできたツバメ
泥だけだと強度が弱いので、泥を積み重ねるのと同時に、枯れ草やワラを混ぜながら積み重ねていって巣を完成させるのである。丁度、日本家屋の壁の作り方と同じである。日本家屋の壁の場合は、関東ローム層のような粘土質のねっとりした土をこねて、そのなかにワラを2、3cmに切ったものを混ぜて、竹とシュロで網目を作ったところに塗り固めていくのである。日本家屋の作り方を考えてみると、時代を遡り今から2000年前の弥生時代の住居は掘っ立て小屋で壁はなかった。やがて古墳時代へと移り変わり、多くの住居は基本的に弥生時代と同じ掘っ立て小屋だったが、約1400年前の古墳時代後期になると古墳から出土する家型埴輪に現れる権力者の住居は、壁のある日本家屋の原型となり、この時代に形づくられたものが現在まで続いている。
巣作りをするツバメ
昔の日本家屋の土壁の塗り方は、もしかしたらツバメの巣作りを見た職人が、そこからヒントを得て土壁の強度を増すためにワラを混ぜて塗ったのではないか、と思うほどツバメの巣作りは合理的なのである。ツバメの巣作りのほうが日本家屋の土壁よりも遥か昔から長い歴史を持っているのだ。ツバメのつがいは10分間隔ぐらいで水田からの泥を丸めて巣に運んでいた。
あぜ道にハルジオンの花がたくさん咲いていた
田んぼのあぜ道に白いハルジオンの花が一斉に開いていた。1つひとつは小さな花だが、集団でまとまっていると実に美しく感じる。花のなかにはピンクの花も混じり春を感じさせる。水の張られた田んぼに夫婦のカルガモがやってきて、餌を探しながら泳いでいた。これから巣をあぜ道に作り、子育ての季節がやってくるのだ。
田んぼを泳ぐカルガモの夫婦(前がオスで後がメス)
今回出会った野鳥は、コチドリ、ハクセキレイ、スズメ、ウグイス、ツバメ 、ヒヨドリ、ムクドリ、ハシブトガラス、カワウ、カワラヒワ、キジバト
、コガモ、オオバン、カルガモ、ツグミ、ホオジロの16種類だった。