見事な江戸型人形山車に感激

 

栃木秋祭りの山車:劉備玄徳

 

 栃木市の秋祭りが11月14日〜16日の3日間開催され、私は最終日の16日に訪れた。駅前で祭の実行委員に渡されたパンフレットには、〜よみがえる江戸の絆〜「見事な彫刻と金糸銀糸の刺繍<有形民俗文化財>人形山車が小江戸『蔵の街とちぎ』を練り歩く」とあった。会場を栃木駅前から続く「蔵の街大通り」を全面通行止めにし、栃木市内9町内会で保存している合計12台の山車を日ごとに牽き出し16日は9台が練り歩いた。栃木祭りの起源は今から140年前の1874(明治7年)に東京日本橋から購入した現在の山車が神武祭典に登場し、1893(明治26)から規模を大きくし町を挙げてのお祭りとなり現在まで受け継がれているという。山車を覆う幕は、金糸銀糸で刺繍された花、鳥、龍、鳳凰などが施され江戸時代末期から明治にかけての美術工芸の粋を集めた絢爛豪華の江戸型人形山車だという。

 

 人形山車は千葉県佐原にもあるのだが、私は人形山車を間近で見るのは初めてだった。私が当日出会った山車は、9町内会で牽き廻されていた弁慶、仁徳天皇、諫鼓鶏、張飛翼徳、関羽雲長、神武天皇、静御前、劉備玄徳、桃太郎の全てだった。先頭に2つの高提灯を掲げた町内会の連は、牽き綱をつけた山車を子どもから大人までがそれぞれ町内会独自の衣装で着飾りながら牽き廻している。祭りに参加している人たちは町内会を代表しているので誇らしげに練り歩いていた。その中の一人に山車の前でカメラのシャッターを押すのを頼むと気軽に引き受けてくれた。歩道や空き地には屋台が出ていたので焼鳥や串焼きをツマミにワンカップの地酒を味わいながら、そぞろ歩きに蔵の街の秋の散歩を楽しんだ。

 

山車の「ぶっつけ」

 

 散歩の途中で山車の「ぶっつけ」にも出会った。ぶっつけとは山車と山車が向き合って掛け声をかけながらお囃子を競いあうもので祭りの一番の見どころだという。私が出会ったのは、「張飛翼徳」と「諫鼓鶏」の「ぶっつけ」だった。顔を合わせている山車のどちらかのお囃子の調子がズレた方が道を譲るのが約束事になっているのだという。山車通しをぶつけるような荒いものではなく比較的に穏やかな対決だ。私は暫く見ていたが中々勝負が決まらないようだったので散歩を続けた。