特技は逆立ちでの食事です

 

水の中にいる動物

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逆立ちで食事中です。ヒドリガモの雄()と雌(左)

 

 花見川沿いを海へ

久しぶりに花見川河口の検見川浜から稲毛海岸までバードウォッチングに出かけた。花見川左岸に沿って野鳥を双眼鏡で確認しながら河口までくだっていった。10時に検見川浜に到着すると、堤防の上で7人が投げ釣りをしていたが、風が強いので7人のうちの3人は堤防の風下に降りて風を避けていた。富士山やスカイツリーは見えるのだが、空気が霞のようにモヤッとしていたので全体的に薄く見えた。浜辺に立つ黄色の吹き流しは真横に流れていて風の強さを感じた。

 

水の中にいる水鳥

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悠々と泳ぐハシビロガモの雄(手前)と雌(奥)

 

 花見川河口近くに下水道処理場(正式名は印旛沼流域下水道花見川終末処理場)が稼働し、近隣13市町の下水を濾過して花見川に放流している。処理場の排水口があるところに、冬鳥として渡ってきたカモ類が大勢集まっている。排水によって河口の水が撹拌されることにより、海藻類も繁茂し有機物も水中に浮遊しているようで、それらを目当てにカモ類が集まっているのである。その中で目立つのが大型のハシビロガモである。雌は茶系統の地味な色合いだが、雄は首から頭は緑色、胸は白く、腹は茶色、翼は白と黒のゼブラでカモ類としては目立つ色合いである。このハシビロガモが10羽ほど悠々と泳いでいた。

 

水の上を飛ぶ鳥の群れ

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波間に揺られる「かもめの水兵さん」

 

 排水口に集まる冬鳥の中で数が多いのはユリカモメである。この日も2つのグループに分かれていたが、合わせて150羽ほどのユリカモメが、童謡の『カモメの水兵さん』の歌詞のように、白い帽子、白いシャツ、白い服でチャプチャプと波に揺られながら、浮かび上がってくる餌を食べていたのである。

 

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検見川浜の彫刻

 

検見川浜の砂浜に2本の柱が立っており、そのうちの1本に額に入ったインド仏教の神様のような木彫りが取り付けられていた。初めて見た彫刻だが取り付けられてから、相当の年月を経ているようだった。顔は5面彫られており、左手は5本あったが、右手の3本は欠けていた。彫刻に慣れた方が彫った作品のようだった。快晴なのだが風が強く、ベンチで座っている人は風上に背を向けていた。

 

水の中にいる水鳥

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オナガガモの尾羽はピーンと反っている

 

稲毛海岸まで歩いてくると、4羽のオナガガモがテトラポットの周りを泳いでいて、2羽がテトラポットの上で休んでいた。オナガガモは尾羽がピーンと伸びて美しい姿をしている。色の配合も白、灰、黒、茶とすっきりしている。首が他のカモ類よりも長いので、水深の深いところに生えている水草を食べることができるのである。オナガガモを観察していると、カワウの大集団が空を舞いながらやってきた。その数は300羽ぐらいだったろう。首と脚を真っ直ぐに伸ばし、翼を力強く羽ばたきながら群れて飛ぶ姿は壮観だった。

 

 水の中にいる鳥

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食事中のヒドリガモ

 

ヒドリガモがピューィピューィという鳴き声を出しながら、打ち寄せる波に翻弄されながらも、水際のコンクリートに着いている海藻類を必死になって食べていた。あるものは“頭隠して尻隠さず“の姿で、上半身だけ水中に入れる逆立ちの体形で海藻類をあさっていた。今では見慣れた食事風景であるが、最初にこのスタイルを見た時は何をやっているんだろう、と不思議に思ったものだった。鳥類は角膜の外側に瞬膜というものがあり、水に潜るときは水中メガネの役割をするので、水中でもよく目が利くのである。逆立ちの食事風景も、今ではお馴染みになっている。

 

草の上にいる鳥

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草むらのビンズイ

 

砂浜に拡がる草はらで昆虫や落ちた草の実を探しているセキレイの仲間のビンズイに出会った。2羽のビンズイがいたので、カメラを構えて近づいていった。5〜6mまで近づくとビンズイが歩き出した。私との警戒距離の取り方だった。餌となる昆虫や草の実はなかなか見つからないようだった。

 

海の隣に立っている鳥

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食事中のミユビシギ

 

波打ち際でミユビシギが小さな甲殻類を探して食べていた。ミユビシギの動作はちょこまかちょこまかと忙しい。波の飛沫を浴びながらも、一心不乱に2mmほどの小さな甲殻類を探しているのはいじらしい限りだ。ミユビシギ、イソシギ、ハマシギなどの小形のシギは、どれも可愛らしい。

 

ボートに乗る人

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簡易ボートの釣り人

 

野鳥観察を終えて検見川浜の草はらでいっぱいやっていると、黄色のプラスチックボートに船外機を付け、赤い旗を立てた2名の釣り人がやってきた。短い竿でリールの投げ釣りをしているのだが釣れないようだった。やがてボートは防波堤の奥の方へ移動していった。風は相変わらず強く吹いているが、防波堤の中は波が静かで、あちこちでカモ類が羽を休めていた。防波堤の外は白波が立ち、吹き流しが真横になびいていた。

 

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吹き流しとスカイツリー

 

今回出会った野鳥は、ヒヨドリ、オオバン、アオサギ、コサギ、チュウサギ、ダイサギ、カルガモ、カワウ、キンクロハジロ、スズガモ、オカヨシガモ、ホシハジロ、オナガ、カンムリカイツブリ、ハシボソガラス、ハクセキレイ、スズメ、ユリカモメ、コガモ、ハシビロガモ、ハシブトガラス、オナガガモ、ヒドリガモ、カイツブリ、カワラバト、イソシギ、キジバト、ビンズイ、ミユビシギの29種類だった。

 

花見川沿いを上流へ

 9時に自宅を出て、久しぶりに花見川沿いを花島公園まで往復のバードウォッチングに出かけた。快晴で雲ひとつない青空なのだが、風が強くて冷たい。手袋をしないと手がかじかむようだった。カワヅザクラの蕾が膨らみ開花間近だった。おそらく立春のころには花が咲くだろう。気温はまだまだ低いのだが、春は着実に一歩一歩やって来ているのを感じる。

 

花が咲いた枝

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開花間近に膨らむカワヅザクラ

 

汐留橋を過ぎるとソメイヨシノの並木が1km続いている。その並木にエナガとコゲラの混成群がやってきた。小さい野鳥たちは天敵からの防衛の意味もあり、子育ての時期を除いて多種と混成の群れを作るのが度々見られる。エナガは10羽くらいでコゲラは2羽だった。エナガはたえず動いているが、コゲラは動きの少ない野鳥だ。

 

木の枝に止まっている鳥

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飛び立つエナガ

 

エナガはいつ見ても真ん丸なマシュマロのような顔をしており、特に冬の時季は羽毛を膨らませて空気の層を作って防寒対策をとるので、より丸くなる。ちょこんと付いた真っ黒いゴマ粒のようなつぶらな目が可愛い。

 

木の枝に止まっている鳥

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小さな幼虫を探し出したコゲラ

 

コゲラの鳴き声はギィギィギィとも、ジィジィジィとも聞こえる地味な鳴き声である。木の幹のなかや樹皮の中に棲む虫を見つけるために、トントントントン木を突きながら移動している。打診した時の微かな幼虫の動きが発する音を聞き逃すことなく見つけ出すのである。この日は小さな黄色の幼虫を探し出していた。見えるものを捕えるのと違い、隠れているのを探し出す素晴らしいプロフェッショナルの技といえる。

 

水の中にいる水鳥たち

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群れるオオバン

 

風が強いので川面に波が立っているなかを、2羽のハシビロガモと2羽のバンが悠々と泳いでいた。その脇では40羽ほどのオオバンが浮かんでいた。しばらくすると先ほどのハシビロガモとは違う3羽がやってきた。3羽のうち1羽は雌だった。

 

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風が強い・亥鼻橋の架け替え現場の吹き流し

 

花見川に架かる亥鼻橋の建て替え工事が行われており、工事現場に吹き流しがあるのだが、緑と白の安全吹き流しが強風のために水平になっていた。“近くの電線に注意”と書かれた黄色の桃太郎旗もバタバタと風になびいていた。本当に風が強かった。

 

草の上にいる鳥

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餌を探すアオジのつがい、左が雄で右が雌

 

アオジのつがいが仲良く草木の実を探していた。私が3mほどの距離に近づいても決して逃げることなく、必死に餌を探している。自転車が1mの距離を通過しても飛び立つこともせずに餌を探していた。野生動物は生きている期間は、常に餌を探し続ける過酷な世界に生きている。餌を見つけることができなければ、生命を維持することが難しいからである。

 

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陽だまりにルリタテハがいた

 

神場公園に寄ってみると、青い筋の入ったルリタテハが陽だまりで翅を広げていた。千葉は気候が温暖で温かいので、初夏、真夏、秋と年に2〜3回、蛹から成虫へと脱皮する。この個体は10月ころに成虫になったものが越冬しているのだろう。今の時期に花は無いし蜜は吸えないが、樹液を吸って春の訪れを待っているのだろう。翅を閉じている時は裏側が茶色や焦げ茶色の斑模様なので保護色になっている。

 

屋外に立っている鳥

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ミミズを捕らえたシロハラ

 

シロハラが積もった落ち葉を必死になってかき分けて餌を探していた。私からの距離は5mほどだろう。シャッターを押しながら少しずつ近づいても、時たま私の方をチラッと見るだけで、逃げようともせずに必死に餌を探していた。野鳥はもう少し警戒心があるはずなのに、餌を探すので必死のようだった。シロハラは道路の隙間からミミズを探し出した。反対方向から通行人がやってきたが、アオキの陰に隠れただけで、通行人が過ぎ去っていくとアオキから出てきて、再び枯れ葉を剥がしながら餌を探していた。アカハラとシロハラの違いはアカハラの場合は脇が朱色であるのに対して、シロハラの脇は白い。両方とも落ち葉などをかきわけてミミズなどを捕らえて食べているツグミ科の鳥であり、大きさもほぼ同じで24〜25cmである。つぶらな瞳の周りに黄色いリングがあるのも同じである。

 

 

水の中にいる動物

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飛沫をあげて水あびをするキジバト

 

12時に花島公園に着いて芝生広場の奥にある野鳥観察用の水場に入ってみると、水場の横にある石にどっかりと座り、タバコをふかしているお年寄りがいた。公園なので誰もが自由に利用できるため、隣が野鳥の水場であっても、少し移動してくださいとも言えないので、私は別の親水広場に移動して野鳥観察を続けた。キジバトが日当たりの良い水辺で水に浸かりながらまったりとしていた。しばらく見ていると突然水あびをしだした。すごい飛沫をあげている。鳥たちは水浴びがとても好きだ。野鳥たちは生命線とも言える翼を常に清潔にしておくために水浴びが好きなのである。どの野鳥も水あびは日課となっている。

 

岩の上にいる鳥

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水場にやってきたヒヨドリ

 

親水広場の方で2時間ほど野鳥観察をしていたので、芝生広場の奥にある野鳥観察用の水場に戻ってみた。バードウォッチャーは誰もいなかった。私が着いた時は14時だったので、15時までの1時間待機することにした。待機を始めて10分でヒヨドリが水を飲みに来た。1羽が水を飲んでいると2羽目が舞い降りた。仲良く水を飲めばいいものを、後から来たものが喧嘩をふっかけた。びっくり。最初に水を飲んでいたヒヨドリが逃げ出した。イヤハヤなんとも。

 

岩の上にいる鳥

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クロジの雄がやってきた

 

ヒヨドリが去った後にクロジの雄がやってきた。クロジの雄は文字通りに身体全体が灰色から黒なので、遠目には石とほぼ同じ色をしており、最初は見分けがつかなかったが、双眼鏡で確認すると餌場の粟を食べていたのである。夏と冬で日本国内を季節移動する漂鳥のクロジは撮影できたので、残りはルリビタキである。ルリビタキが撮影できた段階で帰ろうと思った。結局、15時まで待機していたが、ルリビタキは現れなかった。今回も空振りだった。この森には来ていないのだろうか?

 

今回出会った野鳥は、ハシボソガラス、ツグミ、モズ、ヒヨドリ、オオバン、ヨシガモ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス、コゲラ、エナガ、カルガモ、ハシビロガモ、バン、カイツブリ、ハクセキレイ、アオジ、カワラヒワ、シジュウカラ、キジバト、ウグイス、ヤマガラ、メジロ、コガモ、クロジの25種類だった。

 

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