チベット人の通行証
検挙されたドライバー
チベット人の通行証
日本人は国内のどこに行こうが「通行証」などというものを携帯しません。そもそもそのようなものは日本にはありませんが、チベット人は通行証を持っていないと道路に設置された数ある検問所を通過することができません。
通行証は1年更新の写真付きの証明書で警察署が発行するもので身分証明書とは違います。従って、移動するためには常時2つの証明書(通行証と身分証明書)の所持が必要です。ガイドのドルジさんはこの2種類がないと何もできない、と言っていました。江戸時代に関所を通る時の通行手形でもあるまいに、私はそういう時代錯誤のことがあることに驚くと同時に、チベットの人たちはどこにいくにも管理されていることが分かりました。
検問所では私たち外国人観光客も列に並び一人ひとりパスポートを掲示し、あらかじめ登録してあるデータと本人が同一人物であるかを照合し、車の中まで不審者が乗っていないかの人数確認をする徹底ぶりです。そのような厳重な警備をしながら中国中央政府は何を恐れているのでしょうか。
検問所横には「依法治辺」というアーチが道路に架かっていました。法に依って辺地を治める、という意味だと思いますが、チベット地域を辺境地・未開地・野蛮地と位置付けている中国中央政府の考え方が端的に表れていると感じました。カメラを向けると何をされるか分からないので撮影は出来ませんでした。
私も辺境や秘境と呼ばれている地域に旅行をしますが、そこに生活している人々は決して自分たちを遅れた未開地人・野蛮人などとは思っていないことを理解しておくことが必要であり、決して差別的な眼で見てはいけないことを肝に銘じておかなくてはならないと思っています。
中国軍の検問所とは異なる警察のチェックポイントも度々ありました。肩から自動小銃を斜にかけて検問している姿は私からすると脅威に感じました。
交通チェックポイント
私たちが乗っていた2号車が速度違反自動取り締まり機、いわゆるネズミ捕りに引っかかり制限速度30km/hのところを20km/hオーバー違反で捕まりました。チベット自治区内は最高速度が50km/hで家屋がある場合は30km/hに制限されており、他省内では最高速度は70km/hとのことです。運転手は何処にネズミ捕り機が設置してあるのか知っており、その場所を通過する時は200mも前から徐行運転をする注意深さでしたが、それでも速度違反のデータと通過時刻と車両の写真を突き付けられ、罰金2000元=日本円換算で34000円、免許証の持ち点12点全てを没収と告げられたとのことでした。後日、袖の下を使って点数の没収は避けられたとのことでしたが、中国という国は実に賄賂=袖の下の横行している国だと思いました。
運転手が警察に出頭したため私たちは公園で待たされていましたが、その私たちの見ている前で交通警察によって3台の乗用車が速度違反で次々に捕まりました。警察の月々のノルマ達成のために弱者から金を巻き上げている、とガイドのドルジさんは怒っていました。