探鳥日記
餌を探すアオサギ
1月22日(金)快晴
昨年、9月26日以来4ケ月ぶりにバードウォッチングに出かけた。午前中に2時間ほど家庭菜園作業をしてからの探鳥だったので、いつもの時間よりも遅めだった。それにしても天気予報によれば明日は千葉県にも雪が降るとのことだが、空を見上げれば青空一杯の快晴で雲ひとつない。一昨日が暦の上では大寒となっているため晴れてはいるものの気温が低く頬に当たる風は刺すように冷たい。
本当に久しぶりの探鳥だ。キンカンが黄色く染まっている。武石2丁目の田んぼの中の「ケアセンターつどい武石」の北側の空き地に戸建住宅11戸が建つとのことで整地が始まっている。花見川岸に出て川面に浮かぶ2羽のコガモの姿を双眼鏡で確認していると、自転車に乗ってやってきた60代と思われる女性が双眼鏡を覗いて「コガモですね」と私に確認するように呟いたので、「そうです。2羽ともコガモです」と答えると納得したように自転車をこいで次の野鳥に出会うため上流に走り去った。
川畔の家庭菜園のブロッコリーの葉をオオバンが食べている。冬の季節は青物が少ないのでネットで防護していない野菜類は野鳥たちの格好の獲物となる。私の家庭菜園でも菜の葉類が野鳥に食べられている。汐留め橋のたもとで初めてみる水鳥が2羽さかんに水中にもぐりながら採食しているのに出会った。カイツブリに似ているが大きさと色が違う、と思い持参していた2冊の野鳥辞典で探していると見つかったのはカンムリカイツブリだった。確かに頭部にカンムリのように見える冠毛を載せていた。残念なことに今回はカメラと望遠レンズを持参していなかった。
送電線保守作業
川岸を上流に向かって歩いて行くと送電線の点検をしているのに出会った。初めてみる作業だった。送電線の鉄塔は高い。その高い鉄塔に登り、2人で組みながら送電線の点検をしているわけだが、鉄塔から鉄塔まで張ってある送電線に一人乗りゴンドラでぶらさがり、一人が1mほどの間隔で締めつけてある古くなったラップを切り離し、他の一人が新しいラップを取りつけて行くという作業だ。送電線は何本もの線をよって束ねたものなのでバラバラにならないように締めつけが必要なのだ。1本の線に掛けられるゴンドラは1台だ。ラップの切り離し担当が送電線を点検しながらラップを切り離し別の線にゴンドラを掛け替えると、こんどは締めつけ担当が切り離しの済んだ線にゴンドラを乗せて新たに締めつけて行くという作業だった。移動は作業員が自ら滑車を手動で動かしながら行っていた。冷たい空気の中で風に吹かれながらの作業は辛いだろうなぁと思いながら見上げていた。
早咲きのサクラが咲きだした
1kmほど延びている桜並木を歩いて行くと暖冬とはいえ大寒の時季に早咲きの桜が蕾を膨らませ、気の早いものは若葉と同時に桃色の花を咲かせている枝もある。桜の枝にコゲラでは大きすぎる野鳥がいるのが目にとまった。双眼鏡で確認すると嘴が特徴的なシメだった。シメは冬鳥である。シメを花見川沿いで見るのは2度目だった。堂々とした体格をしていた。
亥鼻橋が老朽化したため橋の架け替えを行うため仮橋の設置工事が始まっており、黄色の油膜フェンスを張りながら長い鉄骨を垂直に打ち込む作業が行われていた。作業を見ていたら真横に滑空していく野鳥の姿が目に入った。その姿を追っていくと釣り人が作った釣り台の杭に留まった。飛び方で野鳥が何かは分かっていたが、まぎれもなくカワセミだった。カワセミに出会うのも久しぶりだった。双眼鏡を覗いていると自転車に乗ったカメラマンが停車し望遠レンズをカワセミに向けシャッターを切っていた。場所を変えながら写していたが残念なことに若干逆光気味である。強風が停めてある自転車を倒した。その音によってカワセミは下流方向に飛び去ってしまった。
瑞穂橋から花見川上流方向を望む
カワセミを写していたカメラマンに「いい写真が撮れましたか?」と訊いてみると、NIKONのデジカメの液晶画面に撮ったばかりのカワセミを出し、「カワセミは5年間で3000枚ほど撮った。花は5000枚撮った。人間は10枚だけだけど・・・」と話し出した。「5年前は汐留め橋から花島公園までの間にカワセミは5つがいいた。しかし、川畔に釣り人が釣り台を作り過ぎて賑やかすものだから、今はカワセミのつがいは2つしかいなくなってしまった。」と嘆いた。確かに釣り台が10mおきくらいに設置されているのだ。また、「カワセミの巣の場所も知っているけれど、以前、巣の場所を教えたらカメラマンが集まってしまい、結局カワセミは巣を放棄した苦い経験があるので、それ以来巣の場所を教えないことにしている」とも話したので、私は「絶対教えないほうがいいよ。野鳥の生態を考えるカメラマンだったらいいけれど、野鳥を写したいだけのカメラマンは野鳥の生態を考えないから、かえって野鳥に害を与えるからね」と答えた。60歳代と思われる話し好きのおじさんは自転車にまたがり下流方向に走り去った。
今回3時間ほどの探鳥で出会った野鳥は、ハシブトガラス、モズ、ツグミ、スズメ、ヒヨドリ、ムクドリ、カルガモ、コガモ、ハクセキレイ、オオバン、ホシハジロ、キンクロハジロ、カワウ、アオジ、カンムリカイツブリ、カイツブリ、シメ、バン、カワセミ、アオサギ、の20種類だった。