初めて千葉市水墨画同好会連合会展へ出品

 

千葉県立美術館とポートタワー

 

 昨年の4月から今年の2月までの10ヶ月間に渡って花見川いきいきプラザに通い、千葉市が主催する高齢者福祉講座のひとつであった「水墨画教室」に入り、水墨画とはどのようなものかの実践授業を受けた。それを卒業すると今まで授業を受けていた花見川いきいきプラザでも「千葉北水墨画同好会」があるので、そこに入会してもいいのだが、私の住まいがある幕張からは乗用車だと20分ほどの場所だが、車を持たない私は電車とバスを乗り継いで1時間ほどかかる非常に不便な場所にあるため、入会しようかどうかを迷っていたところ、自宅から徒歩10分の幕張公民館でも「幕張水墨画同好会」が活動しており、毎週木曜日の午後に2時間開かれていることが分かったため、翌月の3月から幕張水墨画同好会へ入会し、14人の仲間と共に水墨画を学んでいる。

 

入会してすぐの4月に7月14日から20日まで千葉県立美術館で『第47回千葉市水墨画同好会連合会展』が開かれるので、会員は1人2点ずつの作品を出品するようにとの指示が出た。すでに同好会で学んでいた人たちは、それまで描いた絵の中から2点を選べばいいのだが、入会したばかりの私には描いた絵のストックがないので早急に絵を描く必要があった。でも心配はしていなかった。題材は山岳画と花を描こうと思い、山岳画は水墨画で海外トレッキングで出会った氷雪の風景を描き、花は墨彩画で緋牡丹を描こうと思った。

 

スケッチ画集の中から牡丹を選んで8号の和紙に描きだしたのは4月だった。6Bの鉛筆で薄く牡丹のスケッチをしたあと、2時間かかって葉と枝の部分に墨入れを行った。花の部分は絵の具で描こうと思っていたので墨が乾いた翌日に1時間で色入れを行った。通常、色入れは岩彩という岩絵の具を使うのだが、私の手元にはないので今まで使っていた水彩絵の具を代用したのだった。緋牡丹の絵は仕上げを残してほぼ出来上がったが、背景の処理の仕方が分からなかったため同好会の開催される日に持って行き、林顧問に手ほどきを受けた。なるほどと思い背景を処理した。残りは絵全体のバランスを考えながらの仕上げである。作品名は牡丹の花言葉から「富貴」を選んだ。

 

私の作品「富貴」

 

 次は墨絵で描く山岳画の題材は何にしようか考え、パキスタンのバルトロ氷河を遡りコンコルディアのK2に会いに行ったトレッキングのなかから題材を選ぼうと思った。アルバムの中のトレッキング中に写した写真を眺めて、K2峰、マッシャ―ブルム峰、ムズ―グタワー峰の3枚の風景を選びだした。そして、3枚の風景を8号の縦幅を狭く、横幅を拡げてワイド感を出すサイズにしようと考えて描き始めた。最初に描いたのはムズ―グタワー峰だったが、左の峰に墨を入れ過ぎて画面全体が黒くなり過ぎた。この絵はボツにするのが惜しいので、絵の具の白をブラシにつけ網目で擦って小さな白点を画面全体に降らせて、あたかも雪が降っているようにし「雪降るバルトロ氷河(パキスタン)」という絵として完成させた。

 

私の作品「遥かなるカラコルム」

 

 2枚目に描いたのはマッシャ―ブルム峰だった。この絵は前回のように墨の入れ過ぎの失敗をしないように注意しながら描き進めて行った。山岳部分と氷河部分は描き終えたが、空と雲の処理の仕方が分からなかったので、同好会に持って行き林顧問に処理方法を訪ねた。空の部分は全体に刷毛で水を張り、薄墨を調整しながら丁寧に塗っていく。その後に雲の部分も墨の濃淡バランスを考えながら描き込んでいった。結構神経を使う作業である。作品名は「遥かなるカラコルム」とした。

 

 3枚目に描きだしたのはK2峰である。絵全体からすると70%程は出来あがっているが、今回の連合会展には一人2点の出品なので、私は「富貴」と「遥かなるカラコルム」を出すことにし、裏打ちを行った。裏打ちという作業は和紙のままではペラペラ状態なので、裏側に障子紙を張り付けて強度を増す作業である。この作業も見ているのと実際に自分でやっていくのでは大違いであり、結構面倒な作業で、体験のみが上手くなっていく方法である。裏打ちが終わるとユザワヤ津田沼店の画材部門に出向き、額を購入しマットを希望のサイズに切ってもらい、作品をマットに合わせて調整し額にはめ込み出品準備は終わった。

 

出来あがった作品は連合会展開催前日の7月13日に会員の車で千葉県立美術館まで運んでもらい、10時30分から第5展示室への設置作業に出かけた。作品の展示順番は幕張水墨画同好会として連合会事務局に提出した目録順になっており、私の順番は最後から2番目の位置だった。1時間ほどで幕張同好会としての展示作業は終わった。翌日の開催初日の午後が私の受付当番なので早めに出かけて他人の作品をじっくり眺めて勉強しようと思った。

 

林顧問の作品「紅葉から駒ケ岳」

 

開催初日の午前中に目録を手に展示作品数475点(内、会員:440点、公募:35点)で第4展示室〜7展示室に展示されていた全ての作品を観賞して行った。水墨画というと墨の濃淡で現わす世界と思われる方もたくさんいるが、展示されている作品は様々な手法で描かれていた。このような手法もあるのかと感心させられる作品も多々あった。私にとって氷雪の山岳画を描く場合に稜線の黒白コントラストと白の補正処理方法を取得することが課題となっている。午後から受付をしていたので開催初日の来場者数を確認すると平日の火曜日ながら190名だった。