紅葉を見に新宿御苑へ

 

新宿門近くの楓

 

 12月上旬の晴れた日に新宿御苑の紅葉を見に出かけた。幕張の自宅を出て総武線に乗り千駄ケ谷駅で下車。改札口を出て右折し線路をくぐると徒歩5分で新宿御苑千駄ヶ谷門に到着する。黄色に色づいた大きな銀杏の木が出迎えてくれた。園内の紅葉に期待がもたれる。入園券自動販売機で大人200円券を購入し自動改札機を入れば広さ58.ha(約18万坪)の憩いの場が広がる。入園券はJRのSUICA定期券のように再利用可能なデジタルデータ券だった。入口に置かれていた「新宿御苑へようこそ」というパンフレットを片手に公園内散歩だ。

 

 いただいたパンフレットには新宿御苑の沿革が次のように紹介されていた。

「新宿御苑は、徳川家康の家臣・内藤氏の江戸屋敷の一部がそのルーツといわれています。明治に入り、農事試験場を経て、明治39年(1906)に皇室の庭園となり、戦後昭和24年(1949)に国民公園として一般に公開されました。園内にはフランス式整形公園、イギリス風景式庭園、そして日本庭園が巧みにデザインされ、明治を代表する近代西洋庭園といわれています。」

 

 私は千駄ヶ谷門を入るとS字がたに園内を回ろうと考えた。最初は桜園地だった。桜木は既に葉を落としていたが黒々と聳えている大きな桜の木が見事だ。桜の咲く4月は本当に鮮やかだろうと想像できる木々の大きさである。下の池、中の池、上の池と繋がる中央の池畔に沿った道に踏み込むと、そこはモミジ山と名付けられた楓の山だった。見事な紅葉が目に飛び込んできた。と同時にアマチュアカメラマンが雨後の筍のように湧いて出てきた。三脚を設置し構図を決めているカメラマンの傍らをモミジ山に登っていった。逆光になるようにカエデの木の下に潜り込むと太陽の光を通して紅葉した葉は燃えるようにより一層と輝きを増す。私は逆光で仰ぎ見る青葉や紅葉が好きだ。私もアマチュアカメラマンの群れの中の一人としてカメラのシャッターを押した。

 

 紅葉は見頃だった。カエデは春の若葉の季節には淡い緑の葉を輝かせ生命の息吹を感じさせるが、秋の紅葉の季節はまた一段と華麗に輝く。写真を写したあと暫くの間、楓の下で真っ青な空を見上げていた。風もなく穏やかな日差しが差し込んできていた。以前から昔の人は「花鳥風月」を愛でる生活をしていたと言われているが、現代人は忙しさのあまり自然を省みなくなって久しい。「忙しい」という字は「心を亡ぼす」という構成で成り立っている。身体全体で自然を体感することが人間も自然の一部として必要だと思う。

 

 池に目を移すと初冬の日差しを浴びながらホシハジロやキンクロハジロ等の鴨たちがゆっくりと泳ぎ、芝生の上でのんびり談笑する二人連れや三人連れも目立ったが、鉛筆のように尖ったNTTドコモ代々木ビルが青空に聳え立っているのに出会うと急に慌ただしい現実に引き戻されるようだ。

 

 お腹も空いたので園内にある「レストランゆりのき」に入ると15人ほどの方が談笑しながら食事を摂っていた。自動販売機で食券を買い窓際の席が空いたのでそこに座った。ほどなく50歳代と思われる係りの方が注文の確認に来たので、私が注文したのは「エコドライカレー&季節のハーブサラダ みかんラッシー付き」とグラス白ワインだった。

 

 ドライカレーを食べるのは久しぶりであったが美味かった。ハーブサラダをツマミにワインを飲んだ。白ワインなのでほんのりした甘味が口に残った。ワインも美味かった。ラッシーは係りに方が「スプーンでヨーグルトとジュースをよく混ぜてからお召し上がりください」とアドバイスをくれたので、そのようにして飲んだ。こちらも美味かった。テーブルに置かれたラッシーはヨーグルトとジュースが綺麗に分離していたので見た目も美しかった。家に帰ってさっそく飲むヨーグルトと100%オレンジジュースで作ってみたが、レストランで出されたようにヨーグルトとジュースが分離せずに混じり合ってしまった。分離するためには飲むヨーグルトよりも密度の濃いヨーグルトでなければならないと思った。レストランで頂いたレシピにはプレーンヨーグルトとの記載があった。公園内での持ち込み飲酒は禁止だが、レストランではビールやワインは飲めるので来年は桜の季節に訪れたいと思った。

 

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