山ふかき癒しの宿

 

 夫と夕食中に見ていたテレビの旅番組の中で四万温泉の‘時わすれの宿『佳元』’という旅館が紹介されました。お部屋は全8室で料理は出来立てを部屋に運んでくれるという。私は四万温泉がどこにあるのかも知りませんでしたが衝動的に泊まってみたいと思いました。夫がインターネットで検索すると群馬県の山奥にあり、スタンダードのお部屋で1泊おひとり2万円弱の料金でした。私の勤務状況を確認し12月下旬の土日が空いていましたからすぐに予約をしました。

 

 夫はすでに退職し家で主夫をしてくれていますのでネットでいろいろ四万温泉の情報や周りの観光施設を調べてくれました。その結果、1日目は関越自動車道で渋川伊香保インターを降りて、「卯三郎こけし」を見学し、昼食は水沢うどんを食べ、水沢観音にお参りし、その後に伊香保温泉を散策してから『佳元』に向かう計画が出来ました。

 

幕張の自宅を8時に出発すれば3時間後の11時に「卯三郎こけし」に到着です。職人さんがこけしを作っているこけし工場の見学と販売をしている場所でした。私は初めての見学でしたが夫は小中学校のクラス会の時に訪れたとのことでした。ひととおり展示作品を眺めたあと私は3個のこけしを買いました。毎年やっている仲良し3人組の忘年会に持っていきプレゼントにするためです。夫はスーパー袋のようなものに詰め放題で500円のこけしの部品を買っていました。いわゆるワケアリ品のこけし材料で、節があったり小さなヒビが入ったためにこけし材料には出来ないものです。夫はそれを自分で組み立てて絵を描きプレゼントすると言っていました。「卯三郎こけし」は、ほんのりとする素朴の感じがいいですね。

 

 1時間近く「卯三郎こけし」を見学していましたから水沢観音に向かう途中で昼食に水沢うどんを食べました。水沢うどんは、秋田の稲庭うどん、香川の讃岐うどんとともに日本三大うどんに挙げられているうどんとのことで、以前に一度食べたことがありました。事前にネットから印刷した「水沢うどん」MAPには14のお店が載っていました。夫が車を運転していましたから私が店を決めたのですが、どれでも同じだろうと考えて一番最初に目にした『万葉亭』に入りました。駐車場に車が数台止まっていたのですが、お店に入るとお客さんは誰もいませんでした。どうやらお客さんを釣るために従業員の車を止めていたようです。うどんを注文してから茹で出すようで30分くらいたってから注文したうどんが運ばれてきました。夫は天ぷら付きうどん、私は釜揚げうどんを食べましたが、平たいうどんで美味しかったですね。私たちが食べている途中で若いカップルがお店に入ってきました。静かなお店でしたね。

 

 水沢観音と六角堂にお参りしました。六角堂には六地蔵が安置されており回転軸に乗っているのでグルッと回転させることができる珍しい造りです。身体全体を使って押しながら左回りに3回転するのが決まりとなっているようです。夫は回しませんでしたが、私は回しながら家族の健康をお祈りしました。

 

水沢観音にも手を合わせ駐車場に向かう道路の脇のお土産屋さんに入り、竹炭が混じっている真っ黒な「竹炭まんじゅう」、刺身こんにゃくの中に鉄砲漬けが入っている「水沢こんにゃく」を買いました。ピリッとした味が心地よい水沢こんにゃくでした。

 

 境内や参道脇には雪が残っていました。夫が1週間前に宿泊旅館の『佳元』に道路と雪の状況を問合わせた時に、雪が降っています、という返事だったとのことで、その時に降った雪がそのまま溶けずに残っているのだと思いました。水沢観音にお参りするのも2度目でした。

 

 『佳元』に向かうには、時間にまだ余裕がありましたから伊香保温泉の散策に向かいました。水沢うどんを食べたお店に伊香保温泉の女将さんたちが階段のところで写っているポスターが貼ってありました。すごい数の人たちの写真でした。その場所を自分の目で確かめるのも楽しみでした。私は伊香保温泉に来た記憶がありません。365段あるという長い石階段の脇にお土産屋さんや旅館やホテルが並んでいました。一番上にある伊香保神社まで登ってお参りし、そこから見えた景色は素晴らしいものでした。重なる山並みと霧のような雲が湧き上がり、そこに雲間から一筋の光が当たっていました。階段を降っている途中に射的屋がありましたので入ってみました。忍者の手裏剣投げコーナーがあり、200円で3個の手裏剣を的に向かって投げて、見事に的に刺さると賞品をもらえるというゲームです。さっそく投げてみました。夫は3個投げて2個突き刺さりましたが、私は全てダメでした。投げる時にコツがあるようです。サービスで追加の1個を投げさせてもらいましたが、やはり夫の投げたものは突き刺さり私が投げたものは跳ね返されました。う〜ん・残念(>_<)

 

 いよいよ楽しみにしていた四方温泉の『佳元』に向かいました。渋川、中之条を通り、一本道の行き止まりに四万温泉がありました。四万温泉の由来が『佳元』の栞に書いてありました。それによると、その昔、源頼光の四天王の一人である碓氷定光の前に一人の童子(山神)が現われ、四万の病気を治す温泉を与えるというお告げのとおりこんこんと湧き出していた湯が四万温泉の由来とのこと。

 

 道路はバスも通れる舗装道路でしたが、山奥に入っていくのに連れて溶け残った雪が随分出てきて、特に日陰の部分では凍っていました。タイヤはスタッドレスタイヤに交換してありましたが、夫は十分注意しながら運転していました。『佳元』に到着すると、すぐに掛け流しの温泉に入りに行きました。貸切家族風呂もありましたが、四万川の清流を見下ろしての露天風呂が最高でしたね。お湯はとても透き通ってサラサラした感じでとても清潔感のある湯でした。私がお風呂に入っているあいだに他の部屋のお客さんは一人も入ってきませんでしたので、お風呂は貸切状態で伸び伸びと入ることができ本当にゆったりとリラックスできました。

 

 温泉の他に楽しみにしていたのが部屋でのお食事です。福島から来ているという20代の若い仲居さんが作りたての料理を運んできて、ひとつひとつ説明してくれました。上州牛、麦豚、赤城地鶏、山女魚・岩魚・銀光という鱒の刺身、豆乳豆腐、吹き寄せ蕪、茄子の揚げ出し、などなど、どれも美味しかったですね。目で味わい、器で味わい、料理で味わう、という3度の楽しみが外食の楽しみですが、特に旅館やホテルの食事には、その味わいが深いものに感じますね。夫は追加で「岩魚の骨酒」を頼んで飲んでいましたので、私もひとくち飲んでみましたが岩魚の脂が滲みでた熱燗の味はしつこすぎで好きにはなれない味でした。ひとくちだけで十分でした。

 

 翌日も朝おきてすぐに露天風呂に入りに行きました。旅行先の温泉入浴は、仕事のことも家事のことも何も考えることなくのんびり入ることができ本当にいいですね。入浴後の朝ごはんも美味しかったです。

 

 2日目は前橋市のALSOKぐんまアリーナで高校卓球部の全国大会予選を兼ねた関東大会が開かれており、その大会に碓井翔馬くんが木更津総合高校代表として出場しているので応援観戦に行きました。その日は3試合予定されていましたが、幕張への帰宅時間の関係で2試合まで応援しました。木更津総合高校は2連勝でしたが、翔馬くんは1勝1敗でした。私は中学校、高校と卓球部に所属していましたが、卒業後は大会会場に足を運ぶことはありませんでした。久しぶりに卓球の試合を生観戦でき、私が毎日ラケットを振っていた頃のことが思い出されました。帰宅後に3試合目の結果が届き、木更津総合高校は3連勝して来年3月に北海道札幌市で開催予定の全国大会出場を決めたとのことでした。全国大会出場なんて素晴らしいことです。翔馬くんこれからもガンバレー!

 

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