龍屋のどら焼きは上品な味

 

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龍屋のどら焼きは高級感いっぱい

 

 広尾から麻生十番までの散歩に出た。地下鉄広尾駅に下車し小奇麗な広尾商店街を進み東光寺門前を左折し突き当りを右折したところのビルの1階に『龍屋』がある。店の看板が奥まったところにあるので見過ごしやすく店の前を何回か往復してしまった。バターを入れた粒あんでこしらえたどら焼き「波渡亜」が有名だ。紺の和紙に龍の絵がデザインされた包装紙に包まれている高級感いっぱいのどら焼きだ。値段も立派である。小豆を寒天で固めた「広尾のP2013_0423_151129石畳」という小ぶりの和菓子もある。この値段も結構高い。ま、妻への手土産に購入して麻布十番までの散歩のスタートである。

 

 広尾商店街を駅の方に戻ると有栖川宮公園に出る。私が電電公社に入社した47年前には訓練施設として東京学園が広尾駅から徒歩5分のところに有り、学生寮の「青雲寮」も近くにあった。現在、東京学園はNTTコミュ二ケーションズ社の訓練施設となっているが当時と同じ場所に建っている。

 

 有栖川宮公園の坂の上の広場に有栖川宮熾仁親王の騎馬銅像が建てられている。熾仁親王は皇女和宮と婚約をしていたのだが江戸幕藩体制が終わりを告げようとしていた動乱期に公武合体という政治の波に飲み込まれる形で結婚1年前に婚約は破棄され、皇女和宮は14代将軍徳川家茂と結婚するに至ったのである。このあたりの話は小説やテレビドラマに何回も登場している。熾仁親王は明治持維新後には明治天皇に仕え、福岡県知事、陸軍参謀総長などを歴任したことが銅像の前に表示されている。電電公社入社当時は学園とも近かったのでよく遊びに来た場所だっただけに久しぶりに訪れると当時のことが蘇ってきた。森の中の散策路には中国系の若者がたくさん歩いていたし、公園広場には小さな子どもを連れた親子が遊ぶ姿が目立った。有栖川宮公園は都会のオアシスという感じを受けた。

 

 有栖川宮公園の周りにはたくさんの各国大使館が置かれている。地図で確認しただけでも、ドイツ、ノルウェー、スイス、フィンランド、パキスタン、マダガスカル、フランス、中国、イラン、アルゼンチン、スロヴァキア、ルーマニア、ラオス、オーストリア、P2013_0423_155304韓国、オーストラリア、というように実に多くの大使館が設置されている。そのため大使館に勤務する人たちの家族も近辺で生活をしており、生活用品を購入するスーパーマーケットも有栖川宮公園の隣にあるが、中に入ってみると横文字の商品がたくさん並べてある。また、喫茶店なども道路沿いに椅子や机を出し、道行く人を眺めながらお茶を飲みながら話し込んでいる風景があちこちに登場している。

 

有栖川宮公園を出て南部坂を登っていくとドイツ大使館がある。フェンスにはドイツとフランスの歴史的和解やベルリンの壁の崩壊、EUへの統一過程が写真パネルとなって掲示されていた。一つひとつの写真を自分の生年月日と育ってきた年月に照らし合わせて見ていくと感慨深いものがあった。

 

 南部坂から仙台坂上を通り氷川神社にお参りをすると拝殿越しにビールグラスのようなマンションが見えた。ビックリ。近づいて建物の名前を確認すると元麻布ヒルズのフォレストタワーフロントビルだった。面白い形をしているものだ。下部よりも上部の方が大きいビルは以前勤務していた東京大手町のNTTビルに近い場所にあったサンケイビルと同じだ。デザイン的にはいいのかもしれないが不安定さは否めない。しかし、このあたりは歩いてみると分かるが高級マンションがたくさん建っている。静かな高台の高級マンション群という地域だと思った。麻布十番駅まで歩いていく途中にお寺もたくさんある。坂と緑の木々とお寺に囲まれた静寂な地域という感じを受けたのが今回の広尾から麻布十番までの散歩だった。

 

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