旅鳥が休む船橋三番瀬干潟
一斉に翔ぶハマシギの群れ
4月9日 水曜日 快晴
ひとつの雲も浮かんでいなかった。朝から快晴である。来週(4月17日)から船橋三番瀬の潮干狩り会場がオープンするので、賑やかになる前にバードウォッチングに出かけた。今日の船橋港の最大干潮時刻は9時23分だったので、三番瀬の最寄り駅の市川塩浜駅に8時30分に降りた。駅前のコンビニで500ml缶を2本、おにぎりを2個買った。これで準備万端である。
5合目まで雪を被った富士山が見えた
船橋三番瀬にバードウォッチングに来るのは、昨年11月以来5カ月ぶりなので、景色のなかにどんな美しいものが見つかるのか楽しみだった。干潟に着くと西風が強く吹き抜けていた。西に5合目まで雪を被った富士山が見えた。
汀線は遠かった
幅1kmの干潟を双眼鏡で見渡すと、バードウォッチャーは3人だけだった。バケツを持った貝掘りの人も3人いた。干潟はまだ荒らされていなかった。潮干狩りの準備なのだろうか、三番瀬自然館の方が浜辺に打ち寄せられたゴミを拾っていた。
ミヤコドリの羽根が強風に煽られバタついていた
荷物を置いた草はらの目の前に7羽のミヤコドリがいた。ミヤコドリの羽根が強風に煽られバタついていた。最初の観察と撮影はミヤコドリだった。ミヤコドリは三番瀬では以前は冬鳥だったが、今では1年中いる留鳥となっている。白黒のツートンと朱色の長いくちばしが美しい。
オオソリハシシギは旅の途中
別の11羽のミヤコドリの群れのなかにオオソリハシシギが混じって菜食していた。オオソリハシシギは旅鳥である。春は南の地域から北の地域へ渡っていく途中で、日本の干潟を中継地として1週間くらい滞在し、休憩と同時に菜食することによって体力を回復させ、再び北の地域へ子育てのために飛び立っていくのである。秋には北の地域で子育てを終えると、逆に北の地域から南の地域へ渡っていく途中で、日本に立ち寄るのである。だから渡り鳥に会えるのは、春と秋の短い期間だけである。
採食中のメダイチドリ
強風に向かいながら8羽で採食中のチドリ類の群れがいた。逆光になっていたので鳥の種類がハッキリしなかったが、体型と動作でメダイチドリだと想った。撮影したあとで映像を拡大して確認すると、やはりメダイチドリだった。メダイチドリも旅鳥で春と秋に日本に立ち寄るのである。西からの強風で手持ちの600mm望遠レンズが煽られて撮影するは大変だったが、どうにか撮影できた。
ユリカモメは頭が白い冬羽から黒い夏羽に変身中のもいた
200羽ほどのユリカモメのなかにハマシギが混じっていた。ユリカモメは冬鳥で、頭が白い冬羽から黒い夏羽に生え変わるのもいた。同じように頭が黒く見えるズグロカモメは濃い茶色チョコレート色をしている。遠目ではあまり判別できないが、望遠レンズで撮ってパソコンで拡大してみるとよく判る。「先週はここでズグロカモメを見た」と隣で撮影中のバードウォッチャーが話してくれた。ユリカモメもハマシギも喧嘩することなく、お互い仲よく菜食していた。
休憩中のオバシギ
汀線よりも沖で中型のシギ類で9羽の群れが休憩中だった。群れのなかには翼の色が夏羽の褐色に変わっているのもいた。初めて見る種類だったので撮影して帰宅後に図鑑で確認すると、オバシギという旅鳥だった。シギ類やチドリ類は種類が多いので判断に迷うことがある。
採食中のハマシギは騒がしい
300羽ほどのハマシギの群れがやってきた。ピィョピィョ鳴きながら菜食していた。動きを止めて立っていると、私の足元までやってくる。ハマシギも冬羽の白系統から夏羽の茶系統へ羽が生え変わっている途中である。何に驚くのか一斉に翔びたつ群れの姿は翼の紋様が美しい。
ミヤコドリの上を翔ぶユリカモメ
11時に鳥の観察と撮影を終えた。周りを見ると12人のバードウォッチャーが双眼鏡を覗き、望遠レンズのシャッターを押していた。潮はまだ満ちて来ていないが、2時間近く観察と撮影をしていたので終了することにした。富士山は薄くなっていたが、まだ西の方に見えていた。
まだ貝掘りには早すぎる
荷物を置いた草はらに戻る途中で、貝掘りをしている人のバケツを覗き込みながら話してみると、「全く貝がいませんね」という答えだった。バケツのなかには小さなハマグリが5個入っているだけだった。そうでしょう。4月上旬では、まだ海水温が低いために貝は浅瀬までやってきていないのだ。潮干狩り会場は前日に収穫しておいたアサリをばらまくので、潮干狩り客には一定の貝が獲れるわけだが、自然の場合はそうはいかない。来月になれば水温もゆるんでくるので、貝も深場から浅瀬まで移動してくるのだ。
草はらで一人宴会が始まる
草はらに座ってお昼ご飯の一人宴会である。今日はキリン春れ風500ml、サントリー196無糖ダブルレモン500ml、バーボンウイスキー。ツマミはおにぎりが2個と山に持っていく柿ピーなどの行動食である。暖かな春の日差しを浴び、拡がる干潟を眺めるのは清々しい気持ちである。
4月17日から潮干狩り会場がオープンする
潮干狩り場を確認すると、昨年まであった「1番」「2番」「3番」という会場区画看板や区画分けの網も外されていて、ひとつの広い会場となっていた。昨年までは週を区切って第1会場・第2会場・第3会場と区画分けしていたのだが、今年はそれを取り払い大きな潮干狩り会場としたのだろう。その方が客も主催者も良いのではないかと想う。
女の子は潮が満ちてくるのが怖いようだった
いっぱいやっているうちに潮は徐々に満ちてきた。潮が満ちてくる流れがはっきり見えるようになってきた。お母さんと女の子がやってきた。女の子は小学3、4年生と想われた。手をつないで浅瀬を渡っているのだが、女の子は潮が満ちてくるのに慣れていないようで怖いようだった。
乱舞するハマシギは美しい
今日出会った海どりは、ミヤコドリ、メダイチドリ、カワウ、アオサギ、ユリカモメ、オオソリハシシギ、ハマシギ、オバシギ、ダイサギ、ドバト、スズメ、ハシブトガラスの12種類だった。