シギ・チドリに会いに船橋三番瀬へ
干潟には餌を探して様々な野鳥が集まる
チュウシャクシギ・オオソリハシシギ・ハマシギ・メダイチドリ・ミヤコドリ
4月21日 晴れ
昨年12月以来4ヶ月ぶりに船橋三番瀬の野鳥観察に出かけた。天気予報は午前中が晴れ、午後から曇ってきて夕方から雨が降るとのことだった。船橋三番瀬にある潮干狩り会場が今日から5月22日まで約1ヶ月間オープンする。そのため潮干狩り場が開場する前の静かな干潟で野鳥観察と撮影をしようと思った。今回の野鳥観察の目的はシギ・チドリ類であった。今日の船橋港の潮見表によると最大干潮時刻は13時45分となっていたので、自宅を6時半に出た。
清楚な薄紫色のダイコンソウが咲いていた
船橋三番瀬の最寄り駅のJR二俣新町駅に着いたのは7時20分だった。柳の若葉が美しい遊歩道を40分ほど歩き、船橋三番瀬に着いたのは8時だった。草はらにはダイコンソウの清楚な薄紫の花がたくさん咲いていた。最大満潮時刻が6時45分だったために潮は徐々に引きつつあったが、まだ干潟は現れておらず、バードウォッチャーの数も中央に7、8人がいるだけで少なかった。西防波堤の突端で3人の釣り人が竿を振っていた。
干潟に集まるバードウォッチャー
潮干狩り会場を取り囲む柵の上にカモメたちが連なって潮の引くのを待っていた。また、沖合の遥かかなたに200羽ほどのミヤコドリが波間に揺れていた。汀線は徐々に引いていったが、まだまだ干潟には程遠い状態だった。数100羽のカワウの群れが上空でダイナミックに舞っていたが、どこかへ飛び去った。その後、10羽〜20羽のカワウの群れが上空を舞っていた。
採餌中のハマシギ
私は第3潮干狩り会場の前の草はらで待機していたが、第2会場でバードウォッチャーの動きがあるので双眼鏡で確認してみると、ハマシギの大群が干潟に降りて餌を探していた。私もその群れに近づいて写真を撮った。十分すぎるほど撮ったので、西防波堤の方に双眼鏡を向けると、ミヤコドリが中州に降りていた。その方向に「だるまさんがころんだ」の要領で徐々に近づいていった。
餌を探すミヤコドリ
7羽のミヤコドリは時たまピューィと甲高い声を出しながら徐々に西方面に歩いて行った。私もその距離を詰めて行ったが、30mほどまで近づいた時に危険距離に入ったのだろう。ミヤコドリは甲高い鳴き声とともに一斉に飛び去った。干潟の広がりがまだ不十分なので、シギやチドリ類の姿は少ない。草はらに戻ってしばらく待機することにした。
採餌中のチュウシャクシギとミヤコドリ
9時の段階でバードウォッチャーは13人に増え、潮干狩り会場のネット越しにミヤコドリや柵の上に止まっているソリハシシギやダイゼンを狙っていた。干潟がもっと広がり中洲が登場するようになると、柵の上の鳥たちも舞い降りるだろう。やがてバードウォッチャーは25人に増え、そのいずれもがバズーカ砲のような超望遠レンズを構えているのである。干潟のなかに所どころ中洲が見えるようになり、ハマシギ、ミヤコドリ、チュウシャクシギ、ソリハシシギ、ダイゼンなどが中洲に降りて、餌を探すようになってきた。
採餌中のメダイチドリ
10時になると潮は随分引いて干潟が現れてきた。野鳥たちは潮干狩り会場内の中洲に舞い降りて自由に餌を探している。野鳥たちにとって潮干狩り会場内は実に安全な場所となっている。バードウォッチャーにとっては野鳥との距離が離れているために悔しい思いをするが、それは仕方のないことである。潮干狩り会場は5月22日までの約1ヶ月オープンしているので、それを過ぎなければ自由に潮干狩り会場の中に入って野鳥を撮影することができない。
採餌中のオオソリハシシギ
撮影場所に制限はあるもののネット越しに観察と撮影を続け、潮干狩り場がオープンする前の11時に野鳥観察と撮影を終了した。残りの時間は貝堀りをすることにした。貝掘りをしている最中に海浜公園事務所の方がやってきて、潮干狩り会場の第3会場の柵に、「密漁厳禁」という漢字とハングル文字の横断幕を取り付けていた。私が貝掘りしていることは、厳密に言えば密漁になるのだろう。
餌を探すダイゼン
12時に貝堀りを終了したが、昨年と違って今年は貝がほとんどいなかった。私は1時間ほど掘って袋がいっぱいになったので貝掘りを終了したのだが、貝掘りをしている2人と話をしてみたが、両人ともに今年は全くいないということで、30分掘ったけど10個だけと言った。
潮干狩り場がオープンした
今日の潮干狩りは第2会場で12時30分〜15時30分まで3時間オープンとのことで、会場前に30人ほどが列を作っていた。私は潮干狩り会場がオープンしている時期に船橋三番瀬を訪れたのは初めてだったが、拡声器によって注意事項や周知事項が10分間隔くらいで放送されているので、野鳥はまったくこの干潟からは姿を消してしまった。やはり潮干狩り会場のオープン時刻前の静かな時間帯に野鳥観察と撮影に来て正解だった。13時40分に双眼鏡で潮干狩りをしている人の人数を数えたら約100人だった。
広がる干潟には低生成物がたくさん棲んでいる
水中に浮いて生活している生物のことをさすプランクトン=浮遊生物という言葉は耳にするが、水の底にへばりついて暮らしている生物のことをさすベントス=低生生物という言葉はあまり聞かない。潮の引いた干潟に行くとカニ、エビ、ゴカイ、貝などのベントスをたくさん目にすることができる。水の底で生活しているベントスの多くの種類が、子どもの時はプランクトンとなって水の中を浮遊しているのである。潮の引いた干潟にはコメツキガニ、ホソウミニナガイ、シオフキガイ、アサリ、ミズクラゲなどのベントス=低生生物がたくさんいた。
貝掘りの収穫量
貝掘りを終えたあとはいつものように草はらでの宴会である。平日の午後、潮の満ちてくる干潟を眺めながら、のんびりとビールやウイスキーを味わうのは年金生活者の特権である。14時になり空に雲が広がりだしてきたので自宅に戻ることにした。自宅に戻り、獲ってきた貝の表面をこすり合わせながら洗った後は、蒸して貝の口を開かせて身を取り出し、身を4度5度と洗って砂出しを終えたあと、身の半分を味醂とそばつゆで炊き込みご飯を作った。半分はタマネギと一緒に煮込んで卵とじを作った。また、鍋の底に溜まった貝のエキスはキッチンペーパーで濾したあと、豆腐とモヤシを入れてすまし汁を作った。晩酌の美味いつまみとなったのである。