よれよれの第35回安政遠足侍マラソン よたよた
スタート前の記念写真・今年のランナーは4人
5月10日午前8時、岡田安中市長の敲く6つ目の太鼓の音により「第35回安政遠足侍マラソン」はスタートを切った。今年も思い思いの衣装をこらした仮装ランナーたちが旧中仙道を「碓氷関所コース」「碓氷峠コース」のゴールに向けて約2000人のランナーが走る。天気予報によると5月としては記録的な暑さで前橋の最高気温は32度と予想されていた。実際、朝から雲ひとつなく晴れ上がった空と無風、更に太陽に焦がされたアスファルトからの照り返しがランナーをいやおうなく苦しめる。スタートに先立ちウオーミングアップとして1kmほどの足慣らしをしただけで汗が噴出す状況であった。
今回の関所コースは私にとって19回目のエントリーである。今回一緒に走るのは、お馴染み甥っ子の一騎、初出場で私の職場の後輩の河野、更に初出場のイギリス大使館勤務のスーちゃんの4人である。スーちゃんは大使館が皇居の傍にある関係で1週間に3回か4回は5kmの皇居周回コースを走り込んできたとのことだが、初出場のため昨晩は興奮してあまり眠れなかったとのこと。会話をしていても緊張しているのが伝わってきた。しかし彼女は速かった。スタート直後の混雑の芋洗い状態から抜け出し中仙道に出るや否や、あっという間に私たち3人を残して走り去ってしまった。結局、関所コースゴールには女子の部で6位という好記録であり、自性寺焼き賞状、表彰楯、更にメダルを11時からの表彰式で頂いた。控えめなスーちゃんがこんなに速いとはビックリしてしまった。根性あるイギリス娘であることを改めて感じた。
スタート直後の安中市内
一方、私は今までのレースの中で最悪の状態だった。仮装姿は毎年同じの素浪人姿だが、被っている鬘のチョンマゲは全く通気性がないゴムのため汗と熱が鬘の中に篭り、頭が極度に熱せられた。スタートして5kmの原市小学校前辺りで既にバテ気味であった。11km辺りの松井田下町交差点で妹たち応援団がスポーツドリンクを給水してくれたが、傍目から見ても私の消耗振りが判ったのだろう「走るのを止める?」と2度も棄権を確認する状態だった。私にとって最悪のコンディションだったが21km先のゴールを目指して進むことになる。
コース上には多くの市民による給水所がいたるところに設置されており、スポーツドリンク、麦茶、冷水、バナナ、レモンスライス、梅干、氷、飴、黒砂糖、等が供給される。私は水分補給のため次々に給水所に立ち寄り感謝の気持ちを込めて頂いた。私は練習で痛めた左足のふくらはぎが肉離れ気味であったためサポーターをしていたが、ふくらはぎについては案じていたような事態は起きなかったが、足が全くイメージどおりに前に進んでくれなかった。
18kmの碓氷関所の門をくぐり、いよいよ坂本宿のゴールを目指すわけだが亀のようにスローな走り方は変わらない。坂本宿の手前で幼馴染のみどりちゃんが今年も冷水を準備し待っていてくれた。碓井の関所を過ぎると残り3kmのため、市民の給水所は出されていない。そのような中で私たち3人は感謝を込めて冷水を頂く。後ろから走ってきたランナーも一緒になって給水を受けていた。さぁ、ラスト1kmでゴールだ。苦しさからも開放される。ゴール後のキュウリの味噌つけと冷水を頭に浮かべて最後の力を足に込める。ゴール手前に高校の同級生であった大滝が応援していた。例年だとカメラで私の走る姿を撮ってくれていたが今年は椅子に座って声援を送っていた。60歳定年で仕事をリタイヤしたせいなのか、心なし元気がなかったように感じたのは気のせいだろうか。
ゴールは目前・20、5km
坂本宿を過ぎ右折して「やすらぎの里」のゴールは目前だ。苦しかったレースも初出場の河野を真ん中にして3人でゴールに飛び込んだ。ゴール前で家族が応援の拍手を送り妻がカメラで写真を撮っていた。30分前にゴールに飛び込んでいたスーちゃんが娘のイーバとともに拍手でゴールを祝ってくれた。ゴール後、冷水をコップで5杯立て続けに飲み喉の渇きを癒した。キュウリの味噌つけを3本食べた。一休みした後で「峠の湯」に向かった。その頃には暑く苦しかった最悪のレースは過ぎ去っており、天然温泉の露天風呂で汗を流した後の生ビールが目に浮かんでくるのであった。峠の湯で1時間を過ごし玄関に出てきたところ今年3月にNTTコミュニケーションズを退社した後輩の斉藤に出会った。斉藤は股旅姿に仮装し両親と一緒だった。斉藤もこれからゆっくり湯につかるのだろう。お互いの健闘を祝福した。かくして私の60歳の侍マラソンは終了した。勿論、来年もエントリーするが、今年の経験から頭に乗せるものは鬘ではなく「木枯らし紋次郎」のような笠を被るのが良いだろうと思った。それが暑さ対策になるだろうと思われる。
表彰式のスーちゃんと応援団
私の記録は2時間25分46秒、距離別順位292位(エントリ―:1438人)、男女別順位251位(エントリ―:1015人)だった。