ゆったり
のんびり 済州島
関東地方が冬に逆戻りした気候となった3月28日〜30日にかけて東洋のハワイといわれている韓国最南端の済州島(チェジュドゥ)に、お袋、弟、愛、私の家族4人で2泊3日の観光旅行に行きました。
9時45分成田発の大韓航空に乗れば2時間20分で済州島空港に着陸です。九州に出かけるのと同じ感覚です。成田を飛び立つと直ぐに機内食が出されビールを2本飲みながら美味しくいただきました。2泊3日のスケジュールの1日目は昼食後に空港近くの島内北側観光、2日目は島内中央と東側観光、3日目は島内中央と南側観光、というものです。観光バスは大型の50人乗りですがツアー客は20人なので車内はゆったり。バイタリティ溢れる現地女性ガイドはサイさんで2人の子どもがいるお母さん。旅行中はいろいろなことに気をつかっていただき感謝しています。
済州島は火山島で世界自然遺産が3ヶ所あります。済州島そのものを形成した中央に聳える漢拏山(ハンラサン)、漢拏山から噴出した溶岩で形成された万丈窟(マンジャングル)、海底火山が隆起した城山日出峰(ソンサンイルチュルボン)です。済州島観光に向かう1週間前に偶然TBSテレビ番組の『世界遺産』シリーズで済州島を取り上げており、今回訪れた観光地が紹介され予備知識が得られたのでラッキーでした。
万丈窟は大きな洞窟です。噴火によって海に向かって流れ出した溶岩流の表面が徐々に周りから冷却していったが中の流れは止まらずに移動して空洞ができたと説明されていましたが、洞窟は入口から1km地点まで足元の灯りを頼りに潜っていくことができます。まさに大きなトンネルで自然の偉大さに圧倒されましたが天井から落ちてくる雨水で足元の水溜りを避けて歩くのに苦労しました。あとからパンフレットを見ると天上には蝙蝠が沢山ぶら下がっている場所があるとのことでしたが暗くてよく見えないのが実情です。なぜ洞窟内を明るくしないのかというと、洞窟内で生息する小動物をなるべく自然環境のままにしたいという意図があるとガイドさんから説明を受け、なるほどなぁと感心し少しぐらい薄暗くてもいいかと思い直したしだいです。
城山日出峰は娘と一緒に登りました。登山道が整備されているのでゆっくり登れば小学生でも年配の方でも誰でも頂上まで登れます。登山道から見下ろす物凄く透きとおった海が印象的です。済州島には現在55万人が生活していますが島内に工場がないので工場廃液等の流入がないことと農業漁業を主体とした産業と観光に力を入れているために環境破壊による海洋汚染源が少ないことで綺麗な海が残っていると思われます。旅行中に海に潜って漁をする海女さんの姿も度々目にする機会がありました。
漢拏山は済州島中央にどっしり構える山で島のどこからも遠望でき、韓国一の標高1950mの山です。私は再度今月出かけて漢拏山に登りますが今回は4つある登山口のひとつである霊室登山口に行き、漢拏山を紹介している自然センターを見学しました。センターの前から登山道入口のはるか奥に漢拏山山頂が望めました。韓国の新学期は3月から始まるので3月下旬が修学旅行のシーズンです。駐車場に大型観光バスが20台ほど停車しており学生達の体験登山がピークを迎えていました。霊室登山口からの登山コースは頂上には登れませんが4時間ほどで戻ってこられるコースで、半日コースとして親しまれているハイキングコースです。山は1週間前に雪が降ったとのことで谷筋にまだ雪が残っており木々も芽吹く前で丸坊主でした。
済州島は4面を海に囲まれているため魚介類が新鮮で、他に白菜、大根、葱のキムチ、モヤシや青菜の漬物、アワビ粥、ウニと海草スープ、黒豚焼き、海鮮鍋、チジミなどどれも美味です。朝昼晩にビールとマッコリを飲んで気分は最高でした。前回、ソウルからソラクサンに山登りに行ったときにも感じましたがキムチは各家庭や食堂で自ら作りこんでいるので店ごとに味が異なります。また、真っ赤な粉赤唐辛子を見ると物凄い辛さを想像しますが食べてみると甘みのある良い味で辛さで喉がヒリヒリするようなことは1度もありませんでした。ツアーでは定食屋に何回か入りましたが家庭的な雰囲気でとても良かったと思います。
今回の旅行で一番印象に残り、かつ面白かったのは『NANTA(乱打)』というショーの観劇です。内容は厨房を舞台にコネで入ってきた会社役員の倅と料理人たちのやりとりをコミカルにダイナミックに演じるので言葉は通じなくても実に面白く楽しめました。特に両手に包丁を持ってまな板をドラミングするところや野菜を乱切りにするところは怪我をしないかと心配するほどの迫力です。一歩間違えば大怪我をするのは必定です。さすがプロだなぁと思いました。
韓流ドラマのロケ地も訪れました。済州島は開発を遅らせているために昔の風景が残っています。そのためドラマのロケに多く使われるようです。島内に鉄道がないところは沖縄県と同じですが沖縄の場合は米軍基地と観光開発のための本土資本の流入で自然環境は急速に悪化していますが済州島はのんびりしています。南部を回ったときに食べた名産品の「デコポン」も甘酸っぱく美味しかったです。
天候が不安定と言われる3月下旬に3日間とも天候に恵まれ84歳のお袋もとても喜んでいました。腰も大分曲がり歩くスピードもゆっくりとなりましたが、出てくる食事は何でも食べオプションの観劇にも積極的にでかけ、友達に配るお土産買いに情熱を燃やし、心から喜んでいる姿を見ると親孝行は親が生きているときにするものとつくづく感じます。