過去の災害から学ぶ
公開講座のチラシ
7月15日、神田外語大学日本研究所主催による『第3回 災害と日本』という公開講座が神田外語大学7号館クリスタルホールで開かれたので聴講に出かけた。神田外語大学は自宅から自転車で10分ほどの所に位置している。講演開始20分前に100人収容ほどの会場に着くと私が出席1番目だった。プロジェクターを使用しての講演となるので画面の見やすい正面前列に座った。開始前までに大学関係者、学生、地域の人たちが次々に会場に入って来た。
講座は2部構成で第1部は、神田外語大学外国語学部准教授の土田宏成さんの「神田外語大学周辺の災害の歴史」の講演。第2部は、千葉市総務局防災対策課
啓発・訓練担当課長の白井一広さんの「千葉市の防災対策」となっており、ふたつの講演が終わったあとに聴講者の質問に答えるという形だった。
学長の挨拶のあと土田さんの講演に入った。講演の趣旨は、神田外語大がある幕張周辺の東京湾北部沿岸地域でこれまでにどのような災害が起きているのかを振り返ることによって今後の防災対策に活かすというもので、江戸時代の災害として@元禄地震、A宝永富士山噴火、B安政江戸地震から話を起こし、近代の災害であるC大正6年東京湾台風災害、D関東大震災と話を続け、更に現代の災害としてE千葉県東方沖地震、F東日本大震災までの災害内容と千葉県や幕張での被害状況を説明していった。
また、埼玉大学教育学部の谷謙二准教授が開発した『今昔マップ』という時系列地形図閲覧サイトを紹介し、現在のGoogle地図と過去の地形図をリンクすることによって約100年前からの地形が同一画面に対比表示される優れ物で、新興住宅地の盛り土などの崖崩れ現象や埋立地の液状化現象への対策を取る上で重要な視点を与えてくれると思った。その地形図を観ることによって神田外語大学周辺は過去は海の中の干潟であり東日本大震災時の液状化現象が理解できる。また、地形図には標高が表示される画面もあり、津波被害に対する目安ともなると思った。もっとも、私が住んでいる幕張4丁目あたりは地盤もしっかりとしており裏の神社の境内に上がれば津波からの避難も完了となる。
白井さんの講演は千葉市が作成した津波ハザードマップ等を使いながら危険地区の説明。市内283個所で開設される避難所への非常用物品配備の完了。災害時の千葉市からの情報発信を受診する安心安全メールの登録。まず自分が助かるという自助の考え方の説明などを話された。
二人の講演者の話を聞いた後の受講者からの質問も次々に出て来た。
1人目は神田外語大男子教員から、平日2500人いる学生の対策はどうなっているのか? については、千葉市としては大学の運動場を広域避難場所に指定しているが寝泊りをする避難所には指定しておらず、在学生の対応は大規模事業所同様に自己解決であって大学自身で解決するように対策を考えて欲しい、というもので、学長からは現在2日分の食料は食堂業者が確保している、というものだった。
2人目は女子学生から、最悪の場合、神田外語大周辺に海水が溢れる状態になるがどのくらいの深さになるのか? については津波ハザードマップからの浸水状況予測が説明された。
3人目は4年前に東京江戸川区から転居してきた二人の通学生を持つ女性からは、江戸川区では学校から防災対策チラシの配布や防災訓練が度々行われていたが、千葉市からはそのようなことが殆どないが子どもを持つ親として非常に心配している。どうなっているのか? については教育委員会の対応範疇なので防災対策課からは回答できないが、教育委員会へそのような質問があったことを伝えますと答えていた。
4人目は女子学生から、千葉市の情報通達ツールの安心安全メールを千葉市住居者だけでなく千葉市に通学する学生への拡大も考慮するべきではないか? 初めて聞く内容だった。については、このような講演会等の場所で宣伝し拡大していく方向で対応していますが、千葉市民96万人のうち4万人が登録しているのが現状なので、学生を含めもっと増加するよう努力していきます。というものだった。
1時間半の公開講座時間を大幅に超えたので終了することになったが、いつ発生するかわからない災害について考え、その対策を事前に準備していくことによって被害を最小限にしていくことの大切さを学んだ時間だった。災害発生後、「自助・共助・公助」のなかでとりわけ自助という考え方が重要なポイントとなってくると思う。また、今回のような講座や話し合いの場所を様々な場所や地域で開き、そこへ地域住民が参加することによってみんなで考えていくことが重要だと思う。