遺跡の宝庫・ローマ

 

世界遺産のコロッセオ

 

 イタリア各地を旅して感じることの1番は昔の建物を大切にしながら現在の生活をしているということです。過去の歴史のうえに現在の生活があるということです。そのような環境の中で小さな子どもの時から育っていって大人になるのと、日本のように明治以降、それまでの日本の文化の全てを破壊しながら欧米化していく生活の中で育っていった大人とは本人自身のなかで形成されていくアイデンティティがかなり違ってきてしまうのではなかろうか。このようなことを考えながら各地の観光地を訪れていました。

 紀元72年から8年の歳月をかけて完成されたという5万人収容できる4階建ての円形競技場・コロッセオは、それ以後300年以上も剣闘士同士の戦いや、剣闘士と猛獣との血生臭い戦いが繰り広げられたとのことです。4世紀末にローマ帝国は滅んでいきますが2000年前の建造物が日常生活の隣に今も存在し続けているという環境が個人個人の精神に及ぼす影響は大きいと思われます。街中が遺跡だらけのフォロ・ロマーノ地区は現在でも発掘が続けられています。

 

トレビの泉にコインをポイ

 

 世界各地からいつの間にか恋人たちが必ず訪れる観光地となってしまった感じのトレビの泉ですが、ご多分に漏れず私たちも訪れてしまいました。泉に背を向け右手に持ったコインを左肩越しに投げ込むコインの数によって願いが違ってくるとのことで、1つのコインはこの地・ローマを再び訪れることが出来るといい、2つのコインは恋人との想いが聞き入れられるといい、3つのコインは反対に嫌なパートナーと別れることができる、という伝説が残る人気の泉です。

 ポーリ宮殿の前にトレビの泉が湧き出ているのですが広場は思ったより狭いものです。宮殿の壁面を飾っている彫刻は神話上の半人半魚の海神・トリトンや大洋の神・オケアノスたちですが、ひときわ中央の海神・ネプチューンが見事です。

 トレビの泉の成り立ちを調べてみました。1453年に教皇・ニコラウス5世が、紀元400年頃にアウグストゥス皇帝が築いた古代水道「処女の泉」を1000年ぶりに復活させたようと着手したもので、1762年に現在の姿に造りかえられたとのことです。現在の姿になってからも250年の歳月が流れていることになります。

 私も泉に背を向けてコインを1つ投げ込みましたが、毎日投げ込まれているコインは泉の清掃時に集められて国連の児童基金であるユニセフに寄付されているとのことです。メデタシメデタシ。

 

スペイン広場

 

 映画『ローマの休日』で一躍有名になったスペイン広場は語り合う恋人たちで一杯でした。この広場周辺がローマでも一番の繁華街で、広場の前の通りは一流ブランドショップが立ち並んでいます。繁華街といっても日本のようにネオンぎらぎらの繁華街の趣とは全く違います。有名ブランドの店にしても入り口のドアに店名が書かれているだけです。私は妻からルイ・ヴィトンの小銭入れを買ってきて欲しいと頼まれていたので、娘の愛と一緒に広場から歩いて3分ほどのルイ・ヴィトンの店に入り丸い形のかわいらしい小銭入れを買いました。日本に帰ってきてからお土産として妻に渡すと、この小銭入れは日本では売っていないデザインとのことでとても喜ばれました。

 スペイン広場とスペイン階段について調べた結果は、17世紀にスペイン大使館がこの場所にあったために「スペイン広場」と名付けられているという実に単純なことでした。もっと違う由来があるのかと思っていただけに拍子抜けの感じでした。

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