抱卵交代で巣穴から飛び出す瞬間を撮影
抱卵交代でメスが巣穴から飛び出した
5月12日(6日目) 月曜日 晴れ
昨日は1日骨休みをしたので、今日からクマゲラ観察と撮影の再開である。6時50分に宿を出た。気温は12℃、日中でも14℃だ。利尻山の旧登山道を3合目まで登り、観察テントには11時に入る予定を変更し、直接観察テントに向かい7時45分に着いた。テントのなかに水が溜まっていた。巣穴にはメスが抱卵しているはずで、2回目の交代はまだ終わっていないだろう。
キツツキ類が幹に垂直に止まれるわけ
宗谷地方には風速10m〜14mの強風高波注意報が発令されていた。森のなかは風の音が強く、鳥の声はあまり届かなかった。クマゲラが巣を作っているミヤマハンノキも大きく揺れていた。キツツキ類はどうして垂直の幹に止まることが出来るのかというと、野鳥の足指は通常前足指が3本、後足指が1本で構成されているが、キツツキ類の前足指は2本、後足指も2本の構成になっており、そのために幹に垂直に止まることができるわけである。
メスからオスへの抱卵交代
8時45分 テントに入って1時間経過したが交代が現れなかった。
9時45分 テントに入って2時間経過したが、やはり交代が現れなかった。
9時55分 オスが巣穴の下に止まり、中のメスとやり取りしていると、すぐにメスが巣穴から飛び立った。変わってオスが巣穴に潜り込んだ。観察テントに待機してから2時間10分後だった。抱卵交代が終わったので次の交代までテントを離れた。
メスが巣穴から飛び出した
ポン山分岐まで野鳥観察に出かけた。雪の残った荒地に巨大な蕗の薹がたくさん出ていた。今夜の酒のつまみにするために6本採った。途中で宿に常駐している「利尻はなガイドクラブ」の人たち4人と出会った。オーナーの平澤さんとガイドの村岡さんが新人ガイド2人を研修しているところだった。
原生林のなかを歩いた
甘露泉水の手前で昨日オタトマリ沼の野鳥観察の際に出会った女性に再会した。彼女は4日間の日程で利尻島の野鳥観察に来ているとのことで、望遠レンズが壊れてしまい双眼鏡による観察をしているところだった。「珍しい鳥が撮れましたか?」と尋ねられたので、私が撮影したクマゲラをモニター画面で見せると、「是非、その場所に連れていってほしい」と頼まれた。しかし私はガイドではないし、地元のガイド仕事の邪魔をしてはいけないので依頼を断り、「クマゲラに会いたいのならば、ネット検索をしてネイチャーガイドの渡辺さんに連絡を取ってほしい。必ずクマゲラに会えます」と伝えた。彼女は「来月、再び利尻島に来るので渡辺さんに連絡を取ります」とのことだった。クマゲラウオッチングツアー(3時間)は、1名の場合は3万5,200円のガイド料金がかかることを彼女に伝えると、「わかりました」とのことだった。
サンショウクイが梢に止まっていた
3羽か4羽の鳥がエゾアカマツの梢に止まっていた。最初は名前が分からなかったが、ムクドリくらいの大きさの鳥で、腹が白く頭は黒く、背中と翼が灰色で眼過線が黒のスマートな鳥だった。宿に戻ってから調べてみると、サンショウクイという夏鳥だった。初めて出会った鳥だった。
抱卵交代でオスが巣穴から飛び出した
11時30分 観察テントに戻った。
11時55分 先ほどの交代から2時間経過したが変化はなかった。
12時55分 交代から3時間経過したが変化はなかった。
13時40分 メスがやってきてオスと交代をした。今日2回目のシャッターチャンスだった。抱卵交代で巣穴から飛び出すのは、ほんの1秒〜2秒間である。その瞬間に合わせてシャッターを押さなければならないので、精神を集中し結構緊張するのである。オスの抱卵時間は3時間45分だった。今日は午前、午後と2回の交代にオス・メスが同時に写っているものが撮影できて満足の結果だった。これから約3〜4時間後の夕方に交代があるだろうが、今日はこれで観察と撮影を終えることにした。
巣穴から飛び出したオスの眼は鋭い
今日で4日連続利尻富士温泉に入った。観察テントのなかで過ごしたのが5時間ほどあったので、テント内では足を伸ばしていたが、動きがないために血行不良のような気がしたので、温泉で十分温めて足腰をマッサージした。風呂から上がったあとはビールでいっぱいである。
温泉を上がったらいっぱい
宿に帰って新しく採ってきた蕗の薹のお浸しを作っていると、キッチンで冷奴の準備をしていたアメリカから来た若い女性に「これ食べてみろ」って食べさせたら「美味しい」って言った。味玉もやったら「大好き」だって。デレー。(*^^*)
今日の夕ご飯(5月12日)
今日の夕ご飯は、幕の内弁当、冷奴、味玉、焼き餃子、ビーフン、蕗の薹のお浸し、サッポロビール500ml、キリン晴れ風500ml、増毛の地酒・鬼ころしというラインナップだった。
オーナーから差し入れがあった
指定席で利尻富士を見ながら飲んでいると、花ガイドをしている元気娘の村岡さんが「オーナーからの差し入れです」と言って、タコの刺身と天ぷら盛り合わせを持ってきてくれた。いやはやなんとも、ありがたいことだ。