抱卵の交代でメスが巣穴から飛び出した
抱卵の交代でメスが巣穴から飛び出した
5月10日(4日目) 土曜日 曇りのち雨
今日は午後から雨が降る予報なので、クマゲラの観察は午前中とし、食パン1枚と水を飲んで宿を6時に出た。観察テントに7時に入る予定だった。
コマドリが「私のヒップ素敵でしょう」と歌った
北麓野営場への車道を歩いていると、ヒンヒンカラカラカラカラというような鳴き声が左前方から聞こえてきた。コマドリの声だと想って鳴き声の方を探すと、地上1mあたりの木の枝にコマドリの姿が確認できた。コマドリはウグイス・オオルリとともに美しい鳴き声で知られ、日本3鳴鳥にあげられている。今日最初の野鳥撮影だったが、コマドリは薄暗い場所にいて、カメラのピントを合わせるのが難しかった。
アオジも繊細に歌っていた
観察テントに着いたのは7時10分だった。風もなく気温は13℃なので比較的に暖かく感じられた。巣穴のなかではメスが卵を温めているはずだ。これから約5時間テントからクマゲラの観察と撮影をする。キュィキュィキュィというアカゲラの鳴き声が時々聞こえてくる。コマドリ、ウグイス、アオジの声がひっきりなしに聞こえていた。
抱卵交代にやってきたオスと巣のなかのメス
観察テントは自作した。100円ショップのダイソーに行き、1000円でモスグリーン色の簡易自立式テントと黒と茶のラッカースプレーを買ってきて、テントに吹きかけて迷彩色にしたものである。テントの頂点から30cm下がったところの網を横に切り裂き、そこから望遠レンズを出して撮影することにしたのだった。
抱卵の交代でメスが巣穴から飛び出した
7時40分、巣穴から顔を出したのは、想像した通りメスだった。あと30分もすればオスと交代になるのだろう。
7時55分、キョーンキョーンキョーンと鳴きながらクマゲラが上空を飛び去り、Uターンしてきて巣穴の下に止まった。しばらくするとメスが巣穴から飛び出し、北に去ったので、入れ替わってオスが巣穴に潜り込んだ。昨日はオスは南に飛び去ったが、今回のメスは北に飛び去ったのだった。オスとメスが同時に映るシャッターチャンスをものにできてラッキーだった。12時までにあと2回ほど交代があるだろう。
北麓野営場のテント場はよく整備されていた
次の交代まで時間があるので野営場までバードウォッチングに出た。雪の残った荒れ地に巨大な蕗の薹がたくさん出ていた。野営場は5月15日から開設なので、トイレもまだ開いていなかった。テント場はよく整備されており綺麗だった。
巣のなかのオスが外の確認のために顔を出した
10時ころの交代を観察するために9時20分にテントに戻ると、ササ藪のなかのササや枯れ木を踏む音で、巣のなかのオスが外の確認のために顔を出した。私はすでにテントのなかに潜っていたので、オスに見つからなかったが危ういところだった。テントに戻る時は音を立てないように細心な注意が必要だと思った。
巣穴に入る直前のメス
11時05分に巣穴からオスが顔を何回か出し入れしたので、いよいよ飛び出すのかと想ったが再び引っ込んでしまった。オスの抱卵時間は3時間を超えていた。
11時42分にキュォーィと小さく鳴いてオスが巣穴から飛び出した。直ぐにメスがやってきて巣穴に入って抱卵を交代した。約3時間50分オスが抱卵していたことになる。午後は雨の予報なので、今日の観察と撮影は12時で終えて温泉に向かった。露天風呂に入るとポツポツ小雨が落ちてきた。天気予報では今晩は雨が続くとなっていた。
雪の残る荒れ地に巨大な蕗の薹が出ていた
これまで3日間の観察からオスとメスの抱卵時間の違いについて考えてみた。今日の観察では最初にメスがオスに交代した時刻は7時55分だった。一昨日の観察では徹夜したオスとメスが変わったのは6時だった。これから推測すると今日の最初のオスからメスの交代は6時前後だったと想われるので、メスの抱卵時間は約2時間だ。
サクラが咲きだした
ここからの推測ではメスが約2時間、オスは約4時間ということになるだろう。ガイドの渡辺さんは大体2時間ごとに交代すると言っていたが、実際はオスの方が長いようだ。メスはまだ産卵中で体力を消耗するために餌もたくさん食べなければならず、休憩はオスが短くてメスが長い。その結果、抱卵はオスの方が長くなりメスが短いのだろうか。クマゲラの主食はアカアリと虫で、大きな体を維持するため1日に1000匹のアリを食べるとのことだ。
早春に咲くザゼンソウ
クマゲラの巣作りは雪の残る3月、4月から始まるので、地元の人でないと巣の場所はわからないと思う。巣穴のなかに入って産卵が始まると、抱卵時間は2時間から3時間で交代するが、それ以外は全く親が巣に近づくことはなく、なかなか巣を見つけることが難しいと想う。子育ての段階になれば、頻繁に雛に餌を運ぶので親の動きが活発になる。その時は比較的にクマゲラとの出会いのチャンスが増えると想われる。
今日の夕ご飯(5月10日)
今日の夕ご飯は温泉から宿に帰ってきて、将棋の藤井聡太名人と永瀬拓矢九段の名人戦7番勝負の第3局をアメーバテレビで観ながら、15時半からスタートした。名人戦は第1局、第2局と藤井聡太が2連勝しており、4局先勝なので今日勝てば3勝で名人位防衛の王手となる。温泉で350mlを2本飲んだので気分はほろ酔い。まだ仕出し屋の弁当が来なかったので、蕗の薹のおひたし、味玉、鮭のフライをツマミにサッポロクラッシック500mlからだった。16時に弁当が配達されたので、飲むのを中断してつまみを作ることにした。焼き餃子、冷奴、ホッキ貝の海鮮サラダ、酒はサッポロ極ゼロ500ml、夕張地酒・まる田を追加した。
餌を探すアカゲラ
泊まっているゲストハウスは、外国人利用者が70%とオーナーは言っていたが、実際、今日は5人の宿泊者の3人が外国人である。言葉が通じないので話さないが、アメリカ人は北海道大学の講師で、いつもパソコンを見ながらキーボードを打っていた。フランスからやってきた彼と彼女は4連泊で、スーパーで食材のニンニク、ナス、ニンジン、キノコ、肉、スパゲッティ、ヨーグルト、フルーツ、ビール、酒などを買ってきて、キッチンで仲良く料理していた。外国人にとっては連泊しながら旅を楽しむ、というのが当たり前の姿なのだろう。日本人も日程に余裕を持ち、旅行会社のツアーでなくて、自分のプランによる旅をすればいいのになぁと思う。将棋の結果は藤井聡太が3連勝し、名人位防衛に王手をかけた。藤井聡太はつよいなぁ。