パトナさんが我が家にやって来た
まずは、ビールで乾杯
昨年11月に出かけたネパールの「アンナプルナ内院トレッキング」でパトナ・マガールさんに初めて出会った。実に面白いキャラクターの人でトレッキング終了後に「ネパールの両津勘吉」という文を書いたことがある。そのパトナさんに今年3月に出かけた「ジョムソン街道&プーンヒルトレッキング」でも再会し、4ヶ月で2度の出会いとは珍しいことで、そのパーティのサーダーとしてお世話になったパトナさんが西遊旅行社の研修生として5月中旬から8月中旬まで3ヶ月間日本にやってきているという情報が入った。パトナさんは日本語を上手に話すことが出来るのでコミュニケ―ションには全く問題はないので幕張の我が家に泊まりに来ないかと声をかけてみた。今回ネパールからミンマ・シェルパさんとパトナさんの二人が研修生として日本にやって来たというが、私はミンマさんとは面識がないけれども二人で遊びに来ないかと誘ってみたのだ。電話口からは若干緊張しながらも即、伺います、の返事が返ってきた。
ネパールでは5月から8月までは雨期のためトレッキング客はやってこない。ポーターやサーダーは失業状態になり、そのため日本に来られる人は山小屋などでアルバイトをしているわけだが、日本に来るためには日本人の保証人が必要であり、パトナさんの保証人になってくれていた方が一昨年に亡くなってしまったので昨年は来ることが出来なかったわけだが、今年は西遊旅行社の研修生というかたちで日本に来ることが出来たのだという。
日本では要町にある西遊旅行社借り上げのアパートで生活しながら、月曜日から金曜日まで神保町にある西遊旅行社に出社し10時〜18時半までの勤務時間の中でツアー旅行者のパスポートを預かり大使館に出かけてビザを代用取得したり、会社の不要書類をシュレッダーにかけたりしているが、山小屋で働いている時のような肉体労働ではないのでものたりないという。
熊谷に住み、いつも海外トレッキングに一緒に出かけている私の幼馴染みの武者夫妻と西遊旅行社の堤夫妻もやってきて賑やかな宴会が19時から始まった。土曜日だったが妻が一日勤務だったため料理は全て私が作った。15時に幕張駅で待ち合わせたパトナさんとミンマさんを乗せて武者の運転で20分ほどの距離にある鮮魚・肉・野菜のスーパー「カネカ」に買い出しに行き、家に戻ってきてから宴会料理を作りだす。毎年、夏の暑気払い、暮れの忘年会時には10数人が集まって我が家で宴会をしているわけだが、その時も料理は殆ど私が作っているので今回の8人分の料理を作るのも簡単なのである。買い物に向かう車の中でパトナさんとミンマさんに食べ物の好き嫌いを訊ねると、パトナさんは好き嫌いなしだが、ミンマさんは魚介類の生ものは無理だという。それを知ってから献立を考えた。結局、私が作った料理は、トマトの肉巻き串焼き、砂肝のニンニク茎炒め、ゴ―ヤチャンプル、イワシのサンガ焼き、真鯛の姿造り、鯨とエンガワの刺身、キュウリとトマトの浅漬け、筍と椎茸の炊き込みご飯、エシャレットの薄切り焼海苔まぶし、ブロッコリーとミニトマトのサラダ、となった。
宴会はビールの乾杯から始まり日本酒へと進み、やがてワインが出てくる。パトナさんとミンマさんはたまにネパール語で話すことはあるが日本語で話し続けている。二人とも日本人の民家に招待されたのは初めての経験だという。8人の会話は途切れることなく夜中の12時近くまで続いたのである。
翌日は、二人ともにネパールには海がないため近くで海を観た事がないというので、房総半島の内房にある「海ほたる」と「鋸山」にドライブに出かけ海鮮料理を食べることにした。日曜日ではあったが、まだ夏休み前である事と幕張の家を早めに出発したこともあり高速道路も海ほたるも鋸山も空いていたので気持ちが良かった。パトナさんもミンマさんもスマートフォンで写真を盛んに撮っていた。きっとその写真を見るたびに思いだす良い思い出が出来たことだろう。