お袋が元気なうちは国技館へ相撲見物に
両国・国技館前で
大相撲5月場所が両国国技館で、初日:5月11日、千秋楽:5月25日の予定で興行が持たれていた。今年も群馬のお袋が相撲見物にやってきた。5月に入ってインターネット申し込みで7日目を検索したが既に完売で、14日目の2階椅子席に変更して3席を申し込んだがバラバラの席を指定された。席がバラバラでは話にならないのでキャンセル連絡を入れると折り返し「連番の西側3席が確保できました」と連絡が入った。いったいどうなっているのか?と首を傾げたが、とにかく今年も大相撲を見物できることになりほっと胸を撫で下ろした。来年はもっと早くにアクセスし向正面の席を確保しようと思う。
24日の午前10時に上野駅公園口で待ち合わせをし、国立博物館で開催されている『平城遷都1300年記念・国宝 薬師寺展』に向かったが、入り口で待ち時間を確認すると入館まで50分とのことなので、あっさり日光菩薩、月光菩薩との対面を諦めて娘の愛が通う東京芸術大学の美術学部のキャンパスに向かった。
美術学部のキャンパスは群馬のお袋が「愛ちゃんが勉強している場所を見てみたい」という希望でもあった。美術学部と音楽学部は道路を挟んで対面している。まず音楽学部の門の前で記念写真を撮影し、続いて反対側の美術学部の門の前で記念撮影を行った。音楽学部のほうが古い門で潜り戸の下側は靴が当たった跡だろうと思われるが中央が抉られた状態であり、煉瓦に掛けられた銅製の表札は緑青が浮かび上がり実に年代を感じさせる門である。反対側の美術学部の門はスマートな明るい茶色の門である。
東京藝術大学・音楽学部門前
美術学部のキャンバスに入り学生食堂前のテーブル席に腰を下ろし、家から作ってきた料理を肴にビールを飲みだす。土曜日で授業は休みのため通る学生も疎らで道路からも離れており実に静かな場所である。ビールを飲んだ後は焼酎の水割りを飲み始める。昼食を兼ね2時間近くを薄日の差す木の下で過ごした後、国技館へ向かう。
両国駅を降りると様々な力士名や部屋名が染め抜かれた色鮮やかな幟りが5月の風にはためいている。取り組みを終えた力士が駅に向かうのを捕まえて国技館と幟りをバックに記念写真を撮る。10枚ほど撮影し館内へと入った。今場所は大関の琴欧州の成績が良く初優勝が確実な情勢であり、14日目に優勝旗がヨーロッパに渡る歴史的瞬間に立ち会えるかもしれない予感の日でもあった。
取り組みは特別な波乱もなく淡々と進行し、いよいよ琴欧州の登場である。対戦相手は9勝4敗の関脇:安馬である。琴欧州の立ち上がりは落ち着いたもので、そのまま上手を引き付けて押し倒し14日目で13勝1敗の初優勝を飾った。琴欧州が関脇から大関に昇進した当時は動きも機敏で直ぐに横綱を張るだろうと期待されていたが、その後の度々の故障でもう旬は過ぎたと誰もが思っていたときに、突然の噴火の如き活躍であり周囲もビックリという状況である。琴欧州本人もビックリしているのではないだろうか。
この優勝を契機に2枚目でもある琴欧州が復活し強い横綱になれるならばダーティのイメージの強い朝青龍に変わって人気が復活するであろう。翌日の新聞に遥かブルガリアから息子の応援に駆けつけた親父さんのガッツポーズが掲載されたが本当に喜んでいる感情が身体全体から滲み出ていた。
今場所の大相撲も沢山の外国人が見物に来ていた。パリで興行を張っても大入り満員だという。なぜなのか? 相撲は礼に始まり礼に終わる、という礼儀の基本が入っている世界であり、それは言葉を必要としない身体表現である。決まり手は48手という型を最大限重視する世界であることと無縁ではないと思う。型は万国に通じる表現形態なのだと思う。これからも、お袋が元気なうちは国技館へ相撲見物に出かけていこうと思っている。