オー美会展を観に行く
石間さんの作品「巨木ヒマラヤ杉」
山仲間の石間さんから『第18回オー美会展』の案内葉書が届いたので仲間と日程を合わせてJR大崎駅前の会場に出かけた。待ち合わせ時刻は17時となっていたので、その前に新宿武蔵野館で上映されている映画『生きる街』の14時開始を観ることにした。映画の内容は7年前に発生した東日本大震災で被災し漁師だった父親は行方不明となり、母親、娘、息子は心的外傷後ストレス障害となったが、明日に向かって復興が進んでいるなかで3人がそれぞれの人生を生きていくというものだった。映画の舞台となった石巻に今でもボランティアで度々訪れている山仲間も同時間帯で映画を見に来ていたので映画を見終わったあとで大崎に向かい久しぶりの親交を深めた。
石間さんの作品「紅染の山頂」
大崎駅前の美術館には待ち合わせ時刻丁度に到着した。受付で展示作品リストを受け取り、絵画の部から1点1点注意深く展示作品を観ていった。書家でもある西中さんの5点の作品が目につく。前回も展示されていたが中国製の紙と絵の具を使った作品とのことで透明性にある花鳥風月画である。5点の作品の中で私は「椿」と題された墨彩画いいなぁと思った。墨のグラデーションが良いと思った。裏側からも墨を入れるという手法は私が現在習っている水墨画にも応用できると感じた。描く用紙が薄いというのが特徴だが、それ故に何回も何回も色を重ねていかなければならず、作業時間が随分かかると感じた。60代とのことだが、出来るならば次回はお会いして話が聞けたらと思っている。
西中さんの作品「椿」
山仲間の石間さんは写真の部で5作品を展示していた。全てネパール・ヒマラヤの山岳写真である。石間さんは昨年、東京銀座のギャラリーで写真展を開催した。その時の作品から4点を出品し、新たに1作品を作ったとのことだった。その新しく作った作品がサマからヒマラヤ杉越しに望んだマナスルである。尖った山頂から強風に舞う雪煙が左に流れ、氷雪に覆われた白い山塊とその前面の黒いヒマラヤ杉の対比が素晴らしいと思った。私はまだマナスル山塊を自分の眼で見ていないが、チャンスがあれば見てみたいと思う。
同じく石間さんの作品で夕陽に染まるマナスル山頂を捉えた「紅染の山頂」も素晴らしいと思った。1956年に日本人が初登頂した8163mのマナスルである。世界に14座ある8000mを越える山頂への初登頂を目指して各国の登山隊が鎬を削っていた当時、各国に先駆けての初登頂という快挙は、太平洋戦争の敗戦から10年経ち、復興から成長へと向かう日本人にとって勇気を与え、日本に第1次登山ブームが訪れたのは周知のことである。私まだ小学3年生で8歳のことだった。
懇親会はエビスビアガーデンで
JR山手線の線路に人が立ち入ったとして止まっていた山手線が動き出し、会場への到着が遅れていた仲間もようやく会場に到着したので展示作品を一通り観たあと、懇親会にして予定していたビアホールへと移動した。4人は1月以来、2か月ぶりの再会だった。私は5種類あるエビスビールを順番に飲んでいった。仲間との会話を肴に飲む酒は実に美味い。次に4人で会うのは7月に私の水墨画が千葉県立美術館に展示される「千葉市水墨画同好会連合会展」のときである。それまでに私は北海道宗谷岬から青森市までの45日間にわたる917kmの徒歩の旅が待っている。