第20回オー美会展を観に行く

 

テレビの絵画

中程度の精度で自動的に生成された説明

大蔵高丸山頂から眺めた「雪待の秋」

 

 東京大崎駅前にあるO美術館で『第20回オー美会展』が2022年3月25日〜30日まで開かれる、という案内状が届いた。差出人は今から9年前の2013年12月に、ネパールのアンナプルナトレッキングに出かけた際に知り合った石間さんだった。トレッキングで会って以来、石間さんの写真展や私の水墨画展などが開催されるたびに、同じトレッキングで知り合った4人の仲間が、作品の鑑賞後に酒を飲みながら歓談しているのである。

 

部屋, 表示, テーブル が含まれている画像

自動的に生成された説明

富士川町の池の茶屋林道から眺めた「あかね雲」

 

『オー美会展』は絵画の部、写真の部、陶芸の部の3部に分かれており、今回は絵画の部は9人の37作品、写真の部は6人の28作品、陶芸の部は6人の40作品が展示されていた。写真の部では、石間さんは5枚の写真パネルを展示していた。「春爛漫」は富士宮市から眺めた手前に桜を置いた4月の残雪の富士の光景。「あかね雲」は富士川町の池の茶屋林道から眺めた7月の夕焼け空の光景。「初冠雪」は富士吉田市の奥庭から手前に色づいたカラマツを配した10月の光景。「凍てつく湖」は2月の山中湖平野からの富士の夕景。「雪待の秋」は大蔵高丸山頂から眺めた10月の秋晴れの光景。朝日が当たりだしたススキと赤く色づいた木が印象的だった。石間さんは来年には80歳になるので、来年が最後の出品になるかもしれないと言っていた。

 

木の枝に止まっている鳥

自動的に生成された説明

テンニンチョウが舞う「天翔」

 

毎回海外の野鳥の写真を展示する栗原さんは、今回も5枚の写真を出品されていたが、そのなかでは「天翔」という題名でテンニンチョウが舞い上がる姿を写したものが素晴らしいと感じた。撮影場所は南アフリカとのことだった。野鳥撮影の場合、木の枝に留まっている場合や餌を食べている場合などは、野鳥の動きが少ないために、比較的に撮影しやすいのだが、翔んでいる場合はピントが合わせづらく難しいのである。

 

複数の絵画

自動的に生成された説明

「どくだみの花(青)」と「どくだみの花(赤)」

 

絵画の部では、西中さんが工筆画の4作品を出品していた。私は以前から西中さんの作品に注目していた。今回の「竹林挽歌」「桜」「どくだみの花(青)」「どくだみの花(赤)」だった。4作品のいずれもが独特のタッチで描かれている素晴らしい絵だと思う。どくだみの花を描いた2枚は同じ下絵を用いて色付けを青と赤に塗り分けている作品で、版画家の吉田博が同じ板木で朝・昼・晩の3風景を刷った手法と似ている。私も同じ下絵で「狐塚」の春夏秋冬の4枚を墨彩画の作品にしたことがあった。また、「どくだみの花(青)」のバックを墨絵のようにした部分があったので、会場の受付に西中さん本人がいたので、色々と話すことができ水墨画を描くうえで非常に参考になった。塩を落とすことによって墨を塩に吸わせてマダラ模様にし、乾いてから塩を洗い流すという手法など、考えもつかない全く新しい手法だった。

 

部屋の隅に置かれた絵画

中程度の精度で自動的に生成された説明

鉛筆で描いた「早春・雪の室生」

 

植村さんも5作品を出品していた。そのなかに鉛筆で描いた「早春・雪の室生」は、実に細かく描き込まれているのが印象的だった。私も水墨画の下絵を6Bの鉛筆で描くが、似ているタッチだと思った。水彩画の「ロッキーの宝石」というのが隣に展示されていたが、淡い水彩画で描かれていたので、もう少し陰影・濃淡を付けた方がいいのではないかと思われた。

 

ベッド, 窓, 写真, コンピュータ が含まれている画像

自動的に生成された説明

大斎原を上から見下ろした「熊野本宮大社」

 

筧さんの「熊野本宮大社」は熊野川沿いの熊野本宮旧社地に建つ大斎原を、現在の熊野本宮大社側から見下ろした構図の絵だが、熊野の深く重なる山並みは、丸く明るいフォルムとして描かれていた。この絵はかつて熊野古道の大峯奥駈道を歩いた時に見えた光景だった。真夏に大峯奥駈道を吉野から縦走してきて、ようやく到着した熊野川で火照った身体を水に浸し、気持ちが良かったことや、川のほとりの大斎原に建つ大きな鳥居を思い出したのである。

 

屋内, 座る, テーブル, 食品 が含まれている画像

自動的に生成された説明

陶板額の「犬ころとボール」

 

陶芸の部では、内池さんの板額「犬ころとボール」が愛らしかった。私も陶芸教室でしばらく土をこねていた時期があるが、陶板は反りやすいので大きな作品を作るのは難しいと思う。

 

1時間ほど時間をかけて展示されている作品を鑑賞したあとは、今回集まれた3人のトレッキング仲間が会場近くの居酒屋に入り、旧交を温めたのは言うまでもないことだった。新型コロナウイルスの感染拡大によって、なかなか集まることができなかったので、顔をわせたのは2年ぶりだった。顔を見ながらお互いが元気であることが分かり、有意義な美術展と懇親会だった。

 

戻る