六本木へ『第45回 日本美術展覧会』を観に行く

 

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同級生の小林和香ちゃんの入賞作品の前で

 

 六本木の国立新美術館で111日〜12月8日まで『第45回 日本美術展覧会』俗に言う「日展」が開かれているので友達の武者と一緒に観に行った。前月に武者夫妻とともにネパールのアンナプルナ・サンクチュアリ・トレッキングに出かけた折に、小中学校の同級生であった小林和香ちゃんが日展の書の部に応募し入選したとの話が出た。和香ちゃんは9月にも読売新聞賞を受賞しており、頑張っているなぁとの感想を持っていたが、武者から妻がトレッキングから帰国してから体調が優れないので入場券余ってしまうから一緒に観に行かないかと誘われたのである。二人のスケジュールを調整して国立新美術館に出かけた。

 

 以前、日展は上野公園にある東京美術館で開かれており秋になると自然と足が向いたのだが、このごろは足が遠のき久しく観ておらず六本木の国立新美術館で開催されるようになってから初めて訪れた。日展は日本を代表する日本画・洋画・彫刻・工芸美術・書が一同のもとに展示される公募展で毎年秋に開かれている。今年は開催前から書の部の篆刻で過去から派閥に特賞の割り当てが行われていた事実が判明し、関係した日展理事が辞任し今年は特賞を設けないなどの当座しのぎで開催にこぎつけた経緯がマスコミに報道されていた。たとえ公募展とはいえ日展は日本美術界のピラミッドの頂点に位置する展覧会なので審査員や顧問などの形で何々会派などの古い体質が残っているのだろうと思う。

 

 さて二人はまず「書の部」を最初に観ることにし会場の案内図をもとに3階へ進んだ。受付で撮影の許可を取るため、住所・氏名・連絡先をカードに記入し黄色のテープを腕に巻いた。目指す和香ちゃんの作品は草書体で「かささぎの」というもので、流れるような文字が書かれていたが私には草書の素養がないために残念ながら全く読めない。おそらく万葉集や古今集などの中から選んだ歌を書いたのであろうと想像はつくのだが残念なことである。武者によると読売新聞社賞受賞の時は作品の横に明朝体の詩が貼られていたので内容を理解することができたという。

 

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 書は草書にしても漢文にしても読めないので工芸美術の部門に移った。ここは展示されている5部門の中で一番面白いのではないかと思う。漆・陶器・磁器・染色・彫金・鍛金・七宝・木工・竹工などの工夫された作品が所せましと展示されているのである。中には首をかしげるような作品もあったが大方はなるほどなぁと思うものが多かった。工芸美術は作品が具体的な立体の形で目の前に展示されているので分かりやすいのだ。私の目に付くのはやはり陶芸作品であった。いずれも4050cmと大きいものだが、デザインとして斬新なものが多い。私が陶芸教室で作成している陶器は雑器といわれる日用品を作っているのでデザインの方はあまり考えていないが、皿・茶碗・壺など使って楽しい容器という視点から考えれば形や色のデザインについて考えてもいいのではないかと思う。私は陶芸教室に通いだして2年半になり、来年3月で満3年になるため春季作品展に向け作品を制作しなければならない時期に来ているが、今回はデザイン上からも考えた作品を作り出していきたいと思う。

 

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 先月出かけたネパール・トレッキングでもアンンプルナ・サンクチュアリで氷河が岩山を削った細かい砂と、流れ下るキュムロン河の雲母の入った煌く砂を500mlペットボトルに1本ずつ採取してきたので、粘土にその砂を混ぜ込んだもので作品を作り上げたいと思っている。特に雲母の砂の焼き上がりがどのような化学変化を起こすのか楽しみである。

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 国立新美術館は初めて訪れた美術館だがガラス張りの大きな美術館で、近代的という言葉がぴったりくる印象を受けた。ガラス張りのため館内も明るく開放的な雰囲気であった。

 

 10時半に入館し13時まで各部門を鑑賞した。彫刻の部を観ていた時に私と同年輩と思われる男性が「この作品に比べて、あの作品のモデルはもっとスマートに造ってあげないとかわいそうだよねー」と声をかけてきた。素直な感想であろうが、製作者はあくまでもモデルに忠実に作品を作るものなので、男性が指摘したモデルは元々がそのような体型をしていたものと思われる。そのことを男性に行っても仕方ないので、だだ一言「そうですね」と相槌を打った。

 

 地下鉄六本木駅に向かう途中でラーメン屋「光麺」に入り、魚介類スープのつけ麺を頼みビールとともに昼食とした。久しぶりに食べたつけ麺は美味かった。武者は酒を飲まないので塩ラーメンを食べていた。

 

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