ネパールトレッキングで出会った子どもたち

 

学校に行けず働く子ども

 

今回のネパールトレッキング14日間で山に入っていたのは9日間でした。その山旅の中でたくさんの村々を通過していきました。そこには山村の生活が垣間見られ、水牛、山羊、鶏、馬、驢馬、騾馬などの家畜や、ジャガイモ、キャベツ、麦、ニンニク、トウモロコシなどの農作物、様々な建て方の家屋、そして生活する家族に出会いました。

 ネパールは北海道の2倍弱の面積に30を超える民族が生活し、言語や方言は50以上にのぼると言われています。その中で真っ黒に輝く目をして真っ直ぐに私を見つめてくる多くの子どもたちに出会いました。純真無垢という言葉がピッタリ当てはまる子どもたちでした。また、たくさんの働く子どもたちにも出会いました。ネパールでは学校が足りないためにトレッキングルート上でも学校建設資金と運営資金の寄付を呼びかける人に出会います。義務教育制度が整っていないために家庭に余裕がないと学校に行けず、子どもなりに家事分担があり、薪の運搬や家畜の世話や餌取りに行かされます。かつて日本で大ヒットしたNHK朝ドラマの『おしん』がネパールでも大ヒットしましたが、ネパールでは過去の物語ではなく現実の生活なのです。少しずつ生活は改善していますが、農業以外にこれといった産業がないネパールは厳しい現実が続いていくと思われます。

 

私が今まで海外に出かけたところは20ヶ国程ですが、パキスタンやネパールは私が育った群馬県の環境に近いという感じです。私が生まれたのは農家だったということもあり、子どもの頃から牛や豚や鶏や兎は友達でした。当然世話もしましたし、猫や犬はいつもそばにいて遊んでいました。その世界が今のネパールの山村にあります。そういう牧歌的なノスタルジアとは真逆に衛星通信を通しての世界が山奥の村々まで普及し、携帯端末が生活に影響を及ぼす状況においてポーターたちもSkypeを利用し相手の顔を見ながら交流を深めています。ポーターの日当は30kgの荷物を1日行程15km程を背負って500ルピーです。日本円に換算すると500円です。すごい低賃金ですが、仕事にありつけただけでポーターたちは喜んでいます。それはビール瓶1本を飲んだ金額です。

チチ村の子どもたち


 私が山旅で感じたのは教育です。勉強したくても学校に行けず働いている子どもたちにたくさん出会いました。私は教育によって自己存在を確認し、未来に向かって夢を抱くことができると思っていますが、そのことをネパールの子どもたちができたらと思います。また、今でも農村では生活苦ゆえの女子の人身売買が起こっています。行先はインドの売春巣窟であると女性NGOのレポートが告発し、昨年はBS-TBSの女性レポーターが兄によって売られた妹にインタビューをしていましたが、実際に農村を歩いてみると美しい自然ばかりを賛美しているばかりではいけないのではないか、とつい考えてしまいます。人身売買は貧困が故の問題ですが、私に出来ることはトレッキングによってポーターやガイドやロッジに幾ばくの料金を支払うよりほかないのかな・・・ 今回の旅行代金は、464,940円+小遣いでした。真っ直ぐに見つめてくる子どもたちに少しでも明るい社会が来ることを願ってやみません。